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03-03-10 魔石武器と事件の終わり

 門のところでの王女との接触は上手くいき王女の泊まる館へ招待された。

 最初誘われたのは女性陣だけだったのだがリーナが内緒話を王女にするとついでに俺たちが行っても良くなった。

 何を言ったんだこいつは? 悪口か?

 まあいい。


 それから俺たちは一度宿に戻っていつでも旅に出発できる準備を整えて馬車を連れて領主の別館を訪れた。

 迎えてくれたのは領主に仕える執事のおっさんだったが驚いたことにあの襲撃現場に来ていたおっさんだった。

 俺たちがドローンで見ていた映像では人物は小さくしか映されてなかったし声を聞いた時は話している人物は見えていなかったからか俺以外の皆は奴の正体に気がついていないようだ。

 だが向こうは俺たちが偽王女一行として追われていたことを知っていたのかちょっとびっくりしていた。

 おい、そんなに顔に出ていて大丈夫か?


 まあ俺たちの事は新人修行者とでも言っておけば向こうも納得するだろう。

 ただたまたま王女たちに似ていて間違われただけだと。

 俺たちにあてがわれた部屋は王女の部屋の近くでいつでも行くことが出来る距離だった。ただし女性に限る。


 まあ俺は別に行きたくなかったのでそれで良かったんだがガッシュはそうでもなさそうだった。なんだ? 王女が好みなのか? それとも侍女の方か?

 俺の問いにガッシュは答えなかった。詰まんねえ奴だなあ。


 その日は一緒に夕食を食べ女子と男子に分かれて就寝した。

 ヘルにドローンでの警戒を頼んでおいたがなんだかやる気になっていた。なにをやる気だ? 変なことするなよ?


  ~ ~ ~ ~ ~


 私は謎の女鎧騎士ヘルシング。そしてまたの名を謎の怪盗ヘルシングとも呼ばれているわ。

 今日は領主邸に忍び込んで機密書類を盗み出すのがお仕事よ。

 早速屋敷の裏の壁を颯爽と飛び越えて侵入に成功よ。

 見回りの人たちがいつ来るのかなんてのは秘密のセンサーで全部お見通しよ。


 さて領主の部屋は本館にあることは事前の調査で分かっているので陰に隠れながらタイミングを見計らって移動するわよ。

 結構多くの衛兵がいるので色々な部屋に隠れたりしながら向かったんだけどちょっと衛兵の数が多すぎない?

 凄く時間が掛かったわ。


 やっと領主の部屋に到着よ。

 謎のセンサーで隠し金庫のありかを探ると絵画の裏にあったわ。定番ね。

 私は怪盗なので金庫なんかちょちょいのちょいで開けられるわ。と思ったけど鍵がないと開けられないタイプみたいね。残念。

 でも安心して。

 私には謎のレーザーがあるから金庫の扉の蝶番を切断してしまえば簡単に開けられるわ。

 まあ泥棒が来たのは丸分かりになってしまうけどしょうがないわね。


 早速レーザーで扉を開けて中を確認するわ。

 ふむふむなるほど。

 中の書類を読むと意外なことが分かって来たわ。

 するとここで誰かがこの部屋に近づいてきたわ。

 早く隠れなくちゃ。いそいそ。


 扉を開けて誰かが部屋に入って来たわ。

 部屋の中になにか違和感があるのかキョロキョロしているわ。

 そして隠し金庫の異変にも気が付いたみたいね。


「おい! 誰だ?! そこに隠れているのは! 出て来い! 」


「あら、私がいるのに気が付くなんて結構やるわね。」


「フン。お前みたいな重量のある奴がいれば床板が軋んで直ぐに分かるわ。というか箪笥の影からはみ出ておって丸分かりだ! 」


「あらそう。お恥ずかしい。オホホホ。」


「いったいなんの用で忍び込んだ? この盗っ人め! 」


「あら。私の名前は謎の怪盗ヘルシングよ。よろしくね。」


「なに? 貴様が謎の女鎧騎士ヘルシングか?! 」


「あら。その名前はどこから聞いてきたの? 秘密の名前なのに。」


「なにが秘密だ! お前が暴れていた辺りの住民はみんな知っていたぞ!

 良くも色々計画を邪魔してくれたな! 」


「ん? 変ねえ。 どうして知られたのかしら?

 まあいいですわ。

 それと邪魔をしていたのではないですよ。

 たまたま私の前を通りかかったからですわ。

 ごめんなさいね。」


「そんな理由で今まで邪魔していたのか?! 」


「ええまあ。それよりそこに隠してあった書類の事は本当ですの? 全部あなたが指示をしていたなんて。領主が指示を出していたんじゃなくて。」


「ふん。その通りだ。

 うちの今の当主はまだ継いだばかりのボンボンだからな。

 前当主から頼まれて今は私たちが全てを差配している。」


「そうなんですの。

 私の方で入手した情報でもとても今回の不祥事を起こせるようには思えなかったので納得ですわ。

 では黒幕のあなたには責任を取ってもらって私に美味しく命をいただかれて下さいな。」


 私の必殺の秘技「仮面フラッシュ」でいくわよ!


「フン! そんな訳にいくか! 」


 あら、おっさんは既に黒メガネをかけていて「仮面フラッシュ」が効かなかったようだわ。失敗ね。


「貴様の技などすでに見抜いておるわ!

 強い光を発する魔道具で相手の目をくらませてその隙に倒すという下らん技など私の武術の足元にも及ばんよ。

 さあ、覚悟しろ! 」


「フフフ。そうかしら。良く私の顔を見てみなさいな。」


「なんだと?! な、なんだそれは?! き、貴様は化けもぎゃっ……。」


「あら。女性の顔を見て化け物だなんて言ってはいけませんよ。ってもう死んでいらっしゃるようですね。」


 おっさんの額にはすでに風穴があいていたわ。

 これで一応今回の件はけりが付いたようですわね。

 もうここには用がないのでとっとと帰りましょう。

 あ、そうそう。最後にカードを残しておかなくちゃ。

 ……お命……頂戴いたしました……謎の怪盗ヘルシング、と。これで完璧ね。


「執事長。なにかありましたか? なっ?! き、貴様執事長に何をした?! 衛兵! 侵入者だー! 」


 あら見つかってしまいましたわ。

 ではこれでお暇しますわ。ごきげんよう。オーホホホホ。


「オーホホホホ。」 「オーホホホホ。」 「オーホホホホ。」


 屋敷のいたるところから私の笑い声が響き渡りましたわ。

 秘技「ドローンこだまの術」よ。

 これで騒ぎに紛れて逃げられるでしょう。オーホホホホ。


  ~ ~ ~ ~ ~


 夜中に突然ヘルの高笑いが聞こえて来たと思ったら屋敷の本館に侵入者が現れて執事のおっさんが殺されるという事件が起きたらしい。

 別館にも衛兵がやってきて捜索していったが俺たちは眠くて目をパチパチさせるだけだった。

 ヘルの奴め。やってくれたな。

 まあそうしなければならなかったんだろうけどもっと静かにやってくれよ。ホント。眠いんだよ。


 翌朝、まだ眠い目をこすりながら起きるとすでに色々変わっていた。

 死んだ執事のおっさんに代わって新しい執事がもう決まっていた。

 まだ若いが誠実そうな青年だった。

 実際はそうなのかは分からんけどね。

 領主とは幼馴染らしい。フーンとしか言えんね。

 まあ頑張ってくれよ。


 ヘルからの報告によると事件の黒幕は始末したので王女の暗殺はもうないだろうということだった。

 執事が事件の黒幕だったのね。

 こうして王女誘拐から始まった一連の事件は呆気なく終結した。

 おかげで俺たちはその日のうちに旅立つことが出来たのだった。

 次の目的地は境界の街だ。やっとだよ。

 リーナは王女と別れるときなにか話し合っていたようだ。

 まあどうでもいいか。


 街の門をくぐってしばらく進むとヘルがひょっこりと顔を出した。顔はないけども。

 俺はヘルを見る。ヘルも俺を見ているようだ。

 ヘルはなにも言わずにみんなと合流する。

 そして楽しそうに一緒に歩き出した。


 空を見上げると二機のドローンが高いところで追いかけっこをしながら飛んでいるのが見える。

 今日は良い天気だ。雲も高い。旅には絶好の日だ。





  第三章 魔石武器の物語 end




















 やっと王都に帰れると安心して眠っていたら領主の館で殺人事件が起きたらしいわ。

 皆で不安がっていると近くの部屋から起きだしてきたハーロック君が大あくびをしていた。

 リーナが動向に気を付けるように言っていた彼だが見た感じ普通の少年みたいなんだけど。


 昼間リーナと偶然出会って宿泊地に招待をした時に詳しくは言えないが少し様子を見てなにか気が付くところがないか確認してくれないかと言われてついでに誘ってみたんだけど。

 杖を売ってもらった時はちょっと意地悪な子だと思ったけれど今日話して見ても特に変わったところはないみたいよね。

 リーナはなにを気にしてるのかしら。


 次の日の朝、リーナたちは修行の旅に出る事になってまたしばらくお別れね。寂しいわ。

 別れ際にヘルさんという人の事を気に留めておいてと言われたんだけどヘルシングさんじゃないの?

 ああ同じ人の事ね。分かったわと答えて別れたんだけどどうすればいいのかしら?

 おうちに帰ってから皆に聞いてみましょう。





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