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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第三章  魔石武器の物語

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03-03-09 魔石武器と王女の帰還

 バカちんどもをしこたま怒ったところでさてどうするか。

 そう言えばヘルに報告してなかったな。

 ヘル、そういうことになったからそっちのドローンは近衛の人たちの動向を見るのに使ってくれ。


『はい。分かりました。

 皆さんが無事で見つかってよかったですね。』


 ああ、なんとかな。

 こっちの街からほとんど離れていないところに居やがったよ。

 ホント人騒がせな奴らだよなあ。


 ヘルに連絡するとなんだかそんなに心配していなかったような気がする。

 もしかしてなにか三人の動向を知る手段を持ってるのか?

 そう言えば前にもあったな。

 三人が街に来るのが遅れて俺がやきもきしていた時もっと仲間を信頼しろとかなんとか言ってたがなんか不自然だった。


 三人の事を知る手段があるのに俺に黙っているのはなにか思惑があっての事なのか?

 俺が成長するようにとかだったら止めてくれると有難いんだがなあ。

 まあ今は俺に黙っていてもそんなに影響はないから取り敢えずはほっとこう。


  + + + + +


 あれから朝になるまで三バカには道の脇の少し開けたところでたき火をして休憩をさせた。

 ドローン弐号機は頭上で旋回させて魔獣の対処をさせておいた。

 あいつらは焚火の周りで座った姿勢のまま熟睡していたようだ。

 どんだけ疲れていたんだ? ホントバカだよなあ。


 ヘルの方は明け方近くになって近衛の人たちが間道を近づいて来たのを確認してそっとその場を少し離れてドローンで見守っていたが何事もなく上手く王女を引き渡せたようだ。

 最後になにか陰謀でもあって王女を暗殺するかもと警戒していたがそんな事はなく皆で大喜びしていたみたいだ。

 もうお忍びは止めたほうが良いとつくづく思うよ。ホントに。


 ヘルには一度全員で集合するという事で三バカのところに向かってもらった。

 最初は俺もそちらに行こうかとも思ったが良く考えたらあいつらの荷物がまだ宿屋に残っているんじゃないか?

 三バカにはヘルから王女は無事近衛の人たちと合流できたと伝えて貰い一度この街に戻ってくるように頼んだ。

 夕方には帰って来られるだろう。

 俺はそれまでベッドで睡眠だ。

 ほとんど徹夜状態で本当に疲れた。

 もう勘弁してくれよ。ホントに。すや~。


  + + + + +


 夕方になって目が覚めると気分はすっきりしていたがこの後あいつらが帰ってくることを思うと気が重い。

 今回は本当に命の危険が有ったのできつく言わなければならないのだろうがなんだか言いにくい。

 こちらも王女の事を隠していたのでお互い様のような気もするしなあ。

 まああいつらの言い分を聞いてから後で考えよう。


 程なくしてヘルが帰ってきた。

 あれ、ヘルだけなのかと思ったらあいつらの方もなんだか顔が合わせづらかったみたいで今日は自分たちの宿屋に直接帰り明日顔を出すということらしい。

 なんだ? あいつらにしてはしおらしい事を言ってるな。

 今回の事はよっぽどこたえたのか?

 まあそういうことなら仕方ない。

 お説教は明日に延期だな。


 俺はヘルに気になっていた王女たちの今後の動向をなにか知っているかを聞いてみた。

 するとこの街に少し滞在する予定だと近衛の人たちと話していたのを集音機で拾ったという。

 うーん。出来たらここら辺からは出来るだけ早く離れたほうが良いと思うんだがなあ。


 なんといっても王女誘拐事件の影の黒幕が管理している領地なんだからな。

 でもそれを知ってるのは俺たちだけだしなあ。

 王女たちに影の黒幕の事を告げ口しても明確な証拠もないし言ってるのはただの若造だしな。なんの影響力もないし。

 王女たちがこの街に滞在するのって多分領主関連の施設だよな?

 これって危なくないか?

 それこそ暗殺の可能性が高くなってると思うんだが。


 そういえば領主側がやけに近衛の人たちに協力的に見えていたんだけどこれも王女を近衛の人たちに見つけて来て貰った方が確実だという思惑もあったんじゃないか?

 次善の策という奴で。

 それが見事にハマって自分の懐に転がりこんで来たというんだから言うことはないだろう。


 やっぱりどう考えても王女暗殺の可能性がなくならないなあ。

 もう後がないんだろうし。

 うーん。どうするか。

 やっぱりここはリーナのトモダチ作戦で行くしかないか。

 たまたま旅に出ていた友達と旅先で偶然出会ってお邪魔するという体で王女の近くに居る事でどうにか暗殺を防ぐしかないだろう。

 今回はリーナにも暗殺の事を話して上手く協力していくしかないな。これで鬱憤が収まればいいが。


 それにこれにはヘルが身バレするから連れていけないよな。

 仕方ない。裏方に回ってもらってドローン二機を使ってサポートしてもらうか。

 ヘルツーには俺の護衛をお願いするよ。

 そんな感じでどうだ?


『はい。分かりました。今回はツーに任せますね。頑張りなさい。』


『了解しましたー! 張り切っていきましょー! 』


 後はリーナに上手く話せるかだけどどうなるやら。


  + + + + +


 次の日の朝に三人は俺の泊まっている宿屋に現れた。

 会ってすぐ揃って頭を下げられたがなんかもう見慣れた感じがして大して驚きもないなあ。

 だが今回は一応命の危険もあったからか少し真剣な感じがする。少ーしね。

 まあ俺の方も皆を信用できず王女の事を黙っていたからお互い様だとしてもう怒らないと決めていたのですんなり謝罪を受け取った。


 それよりも王女の事だ。

 ヘルの検索によるともうすぐこの街に到着するようだ。

 この到着時を逃すと王女が建物に引きこもってしまい例の作戦どころではなくなってしまう。

 早いとこ皆に説明して街の門辺りで偶然を装って接触しないといけない。

 俺は作戦の肝になるリーナに先ず声をかけた。


「そのことはもういいよ。

 ところでリーナ。ちょっと話があるんだけどいいか? 」


「分かったわ。だけど私の話も少し聞いてくれる? 」


「うん? いいけどなんだ? 出来るだけ早くしてほしいんだが。」


 なんだ? リーナから話なんて珍しいな。


「うん。手短に話すわ。

 今回の事は私がきっかけで起こったことなの。

 だから他のみんなには責任はないわ。

 私が悪かったの。

 なんだかみんなに邪険にされているように勝手に思っていて皆に反発してしまったから今回の事が起こったの。」


「うん? そのことはもういいって言っただろ。」


 実際王女の事で暴走しそうになっていたので少し邪険にしていたしな。


「いいえ。そういう訳にはいかないわ。

 だから私は追い出されても良いから他の皆の事は許してあげてほしいの。」


「はあ? なにを言ってるんだ? 」


 ホント。何を言ってるんだ? リーナを追い出してどうする?

 作戦が成り立たなくなってしまうじゃないか。


「ヘルさんにここへ帰ってくる途中に聞いたわ。

 本当はビジターナの事なんか放っておいて旅を続ければいいのにわざわざこの街にとどまってヘルさんまで助けに出していたって。」


「まあな。」


 でも王女の事を先に解決しないと俺たちが旅をするのに邪魔ばかり入って全然進めないからだぞ。

 王女の事を思ってじゃないからね! 勘違いしないでよね! フン!


「そして近衛の人たちを呼び寄せてビジターナをしっかりと引き渡したって。

 それなのに私は余計なことをして迷惑ばかりかけてしまって。

 私たちが帰らなかった事ですごく心配させてしまったみたいでビジターナの方も危なくなりかけたって。

 本っ当に御免なさい! 今まで迷惑かけて!

 これまで一緒に旅ができて楽しかったわ!

 ありがとうございました! 」


 リーナは頭をもうこれ以上下げられないって所まで下げるとバッと頭を起こしたと思ったら部屋を飛び出していこうとした。

 なんだか泣いているように見えた。


「ええっ?! 」


 どういうこと?! こいつ出てっちゃうの?!

 急な展開についていけなくて呆然としていたらリーナはヘルが部屋から出ていかないように押さえていた。

 あっ、ヘルの奴あらかじめなにが起こるのか大体分かってたな?!

 そんな部屋のドアのところで立ってるなんて変だなと思ってたんだよ!


  + + + + +


 あれから場の雰囲気はめっちゃ悪くなっている。

 サーラはリーナに抱き着いて慰めているしガッシュはなにか言いたいことがあるのか俺を睨みつけている。

 ヘルは知らん顔でよそを向いている。顔などないが。


 なんか俺が意地悪してリーナを追い出そうとしたみたいな感じになってるけど俺そんな事一言も言ってないよね?!

 冤罪だ! これってどう見ても冤罪だよね?! 弁護士を呼んでくれ! それまでは絶対に話さないぞ!


 弁護士の人は忙しいので来てくれそうもありませんでしたのでヘルさんに弁護士代理を頼んだ。

 今は俺と皆の間に入ってとりなしているところだ。

 でも良く考えるとなんかこれってヘルに仕組まれたんじゃないか?

 雨降って地固まるっていうのがやりたくて昨日帰りがけにリーナにいろいろ吹き込んで追い込んだんじゃないの?

 いわゆる自作自演という奴だな。


 ずっりーなこいつ!

 いやなところは全部俺に押し付けて自分は安全なところから口を出す。

 なんか最近とみに人間っぽくなってきやがって。

 前は他人にどう思われようが全然気にもしなかったのにどんどん変化してるみたいだ。


 まあヘルのAIの進化の話は後で良い。

 それよりもこのグダグダをなんとか収めて王女の帰還に間に合わさないと不味いだろ。

 ちゃんと協力しろよヘル!


『もう。しょうがないですね。マスター。』


 なにがしょうがないですねだ!

 自分であおっておいてよく言うよ。まったく。

 それからリーナにもなぜか俺が謝って落ち着いてもらった。なんか納得がいかん。


 ようやく王女暗殺疑惑の件を話し終わったときにはもう時間いっぱいになっていて皆で急いで門のところに向かった。

 ぎりぎり間に合って王女と偶然を装っての接触に成功した。

 王女はやっぱりこの街の領主の別館に泊まるらしく俺たちも招待してくれた。

 これは友達と話をして王女の気が休まるようにとの近衛の人たちの心遣いみたいだ。気を使わせて悪いね。


 さあ、あとは影の黒幕が舞台に上がってくるかどうかが問題だな。





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