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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第三章  魔石武器の物語

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03-03-05 魔石武器と事件予想

 俺の言ったことをよく分かっていないようだった三バカにも分かるように俺たちの今いる状況を詳しく教え込んだ。

 取り敢えず俺たちは無銭飲食の罪で指名手配されていると思って行動するしかない。


 だけどあれだよね。

 貴族が言ったことは全部正しいなんて世の中はやっぱりおかしいよね。

 なんで総合ネットワークはそんな世界を許しているんだろう?

 その方が都合が良いんだろうか?

 まあいい。


 それより現状を思い返してみて今起こっていることを考えてみよう。

 その前にヘル。そっちで掴んでいることを教えてくれ。


『はい。マスター。

 現在総合ネットワークで確認していることを順に話していくとこんな感じですね。

 まず最初に王女が視察か何かで港町を訪れて船でこの国の領域にある島にも行くことになりました。

 あ、王女はやっぱり杖の件で知り合ったビジターナ様ですよ。

 港町を訪れた王族は彼女だけなので間違いないでしょう。

 そして海上に出て陸地からかなり離れたところで謎の船団に襲われたらしいですね。

 相手は最初から王女を狙っていたみたいで連れ去られたのは彼女とあの付き添っていた侍女の二人だけのようです。

 そして船は身代金を要求する手紙を渡すように言われてそのまま返されて現在に至るってところですね。

 国の方はしょうがなく要求を呑むようでお金を準備をしている段階ですね。

 でもどうやって受け渡しなどをするつもりなんでしょうか?

 あまり上手くいくとは思えませんね。』


 そうだよなあ。

 俺もそんなに上手くいくとは思えないんだよなあ。

 まあそれは置いといて犯人の方を考えるか。

 まず王女たちだけを誘拐したことからあらかじめ計画していたのは明らかだ。

 身代金の要求に口頭ではなく手紙を用意していたのならそれを裏付けるだろう。


 彼女たちが視察に向かうのは政府の上層部や領主は知っていておかしくない。

 島に視察に行くのも予定を立てたり船の準備をしなければならないのならばその関係者は知らされていただろう。

 あれ? ヘル。彼女たちが乗った船っていうのは商船だったよな?

 どんな船なんだ?


『はい。

 特別に用意されたものではないようですね。

 島と行き来する定期便だったようです。

 それとなんだかお忍びで向かった可能性が高いようですよ。

 近衛の人が一緒には乗ってなかったみたいです。』


 あれまあ。またか。

 あの人お忍びしか知らないんじゃないか?

 いやまあ今まで役立たず状態で干されていたのなら二人で行動するのに慣れているのかもしれんがもう正式に王家の使者とかを任されるようになったんだからもう少し考えて行動しようよ。

 これってある意味自業自得だよな。


 お忍びで船に乗ったのならそれを知っている人も少ないはずなんだがなんで相手は知ってたんだ?

 だとすると急にこんなお忍びを思いついた原因を作った奴が一番怪しいな。

 この港町に来て思いついたってことならここで会った人物でなにか告げ口をした奴と言うことか。

 行こうとした島は港町と同じ奴が領主なのか? ヘル。


『はい。同じですね。』


 なら領主がそそのかしたんじゃないな。

 自分の領地の悪いところをわざわざ言う訳がないし。

 後の可能性はその港町の商人か役人か。

 そこの領主に何か思うところでもあったのかね。

 実行犯はそいつらだとしても真の犯人はあれかねえ。

 政治関連かねえ。


 今まで表に出てこなかった王女がいきなり出て来て大きな顔をされたらそりゃ邪魔にも思うだろう。

 下手に釘も刺せないし自分が泥をかぶってなにか言っても周りからそういう目で見られるだけで得は無い。

 自分から行動を自重させる為には一度痛い目に遭ってもらった方が今後のためにもなるだろう。


 と言うわけで身代金誘拐事件の発生だ。

 きっと最後は王女が無傷で帰って来て身代金は取られなかったという落ちだったんじゃないかな。

 そして王女は反省して少しは大人しくなるだろう。


 だけどここで思ってもいなかったことが起きて何故か王女が逃げ出してしまったらしい。

 ここで王女を逃がしたら反省させるという効果は激減で更に調子に乗るかもしれない。

 そしてもしかすると今回の事の真犯人として特定されて今まで自分が積み上げてきたものを全てを失ってしまうかもしれない。


 もう手段を選んでいられるような状態ではないのかもしれんが今日見たおっさんはなんかまだ余裕があったな。

 そこまでひっ迫はしてないのかもしれん。


 うーんここまで考えてきたが王女関連の方は俺たちにはやっぱりどうにもできないな。

 出来るとしたらこのまま偽王女として周囲を引っ掻き回すということくらいか。

 だとしても王女がこの近くにいたら犯人たちの目をここに集めてしまってそれも逆効果でしかない。


 取り敢えず今俺たちに出来る事は偽王女っぽく振る舞って時間を稼いでその間に情報を集めるしかないか。

 だがその為に俺たちが捕まっては元も子もない。

 幸い俺たちの手配容疑は無銭飲食らしいので飯屋に寄り付かなければそうそう特定されないだろう。


 後は人員を分けることだな。

 相手は美人な姫様とその護衛の侍女が一緒にいるもんだと思っている節がある。

 俺たちを襲って来たゴミたちがヘルを見た時なぜか納得したような感じを一瞬だけ見せていた。

 もしかしたら本当の侍女も似たような格好をしてるのかもしれん。


 だから美人と護衛で俺たちを王女と誤認したのかもしれないのか。

 一応向こうも襲う理由が有ったのね。

 結果的にゴミだったからよかったが今後はもう少し慎重に行かないとな。


 まあ過ぎたことは良い。

 つまりその二人が別れれば相手からは特定しにくいということだ。

 この後この領地を出るまでは人数を分けて行動するようにしようと皆に言ってみたら皆も納得していた。

 さてそれじゃあどういう風に分けるかねえ。


  ~ ~ ~ ~ ~


 私たちは二組に分かれて行動することになったわ。

 友達のビジターナが困っているというので直ぐにでも助けに行ってあげたいんだけど居場所が分からなければ行きようがないわよね。

 今は情報を集める時間が必要だっていうのでその間は私たちは偽王女っぽく行動するらしいわ。

 そしてその偽王女に私が選ばれたんだけどどうすればいいのかしら。

 まあ取り敢えずビジターナの真似をしておけばいいわよね。


 そして今はガッシュ君とサーラさんの三人で次の街へ向かっているんだけど結構魔獣が襲ってくるから先へ進めないわ。

 今までは索敵をヘルさん任せにしてきたからそれに慣れすぎて魔獣が急に出てくると慌ててしまうということが多くて気を抜けないので疲労がたまって来てもいるし。

 一度休憩した方が良いんじゃないかしら。


 皆に聞いてみると私の意見に賛成のようなので道から外れて背負いカバンから水筒を出して中のお茶を飲む。

 ヘルさんが入れてくれたお茶はすっきりしていてとても気持ちいいわ。なんてお茶かしら。後で聞いておこう。

 ちょうどあった岩に腰かけて一息つくと皆で今後の事を話し合う。


 ハーロック君が集合予定地点に指定していた次の街に今日中に着けるかしら。

 結構余裕をもって計画していたと思うんだけどちょっと分からなくなって来たわね。

 今の私たちの手持ちの装備では野営なんて到底できないからどうしても次の街に今日中に着かないと。

 もう次の魔獣が出ても追いかけてこないなら無理に倒さないようにしようと皆で決めて再出発よ。


 もう走るような感じで次の街まで急いだわ。

 街の門が閉まる時間ギリギリでなんとか入ることができたけどこの人数分けどうにかならないかしら。

 向こうにばかり魔法使いがいても意味ないんじゃない?

 こっちにも一人欲しいわよ。

 そうすれば魔獣を倒す時間が速くなって早く街に着くことが出来ると思うわ。


 必然的にハーロック君がこっちに来てサーラさんと交代かしら。

 ガッシュ君が馬車に乗ってても意味ないわよね。

 それとも馬車にはヘルさんだけでも良いんじゃないかしら。

 うん、それがよさそうだわ。皆に提案してみよう。


 ハーロック君が取っているだろう宿屋の前に座り込んでいたので声をかけたらひどくびっくりしていた。

 もう会えないんじゃないかと心配していたらしい。

 なにを大げさなと笑っていたらあっちは二度目の襲撃があったんだって。羨ましいわ。

 もちろん被害などなく直ぐ様殲滅したらしいんだけど主犯格を尋問したらこっちにも別の奴らが向かっていたらしいと分かったので迎えに行こうかどうしようか悩んでいたらしい。


 私たちはなぜかそいつらには合ってないのよね。

 皆で顔を見つめあって首を傾げるしかなかったわ。


  ~ ~ ~ ~ ~


 二手に分かれて目をくらませるという作戦は半分上手くいったという感じだろうか。

 俺たちの方にはやっぱり馬車が目印になってしまったのか襲撃があった。

 前よりも多くの奴らがいきなり襲い掛かってきたがこちらは慌てることなく遠距離攻撃の弓を先に殲滅して後はゆっくりと始末していった。

 逃げようとする奴もいたが誰一人として逃がすことなく全員を片付けて主犯格らしきものにヘルがお話を聞くと別動隊がガッシュたちの通る予定の間道の方に向かったらしい。


 こちらと変わらないほどの人数で向かったらしいのであいつらだけで迎え撃てるのかと心配になったがヘルが仲間をもっと信頼しろと言って助けにはいかないことにして先に街に来た。

 宿を先にとって待っていたがいつまで経ってもあいつらがやって来ないので宿の外に出て心配でやきもきしていたらあいつらがのんきな声で呼びかけてきた。

 俺は気が抜けたようになってしばらくそのまま座り込んでいた。


 その後皆にどういった行動をしていたか確認すると襲われなかった原因が大体分かった。

 こいつらは只の新人冒険者ムーブを全力でやっていて全然王女様の一行っぽい事をしていなかったという。

 そりゃ逃げているだろう王女が全力でそれも剣で魔獣と戦っていたらこいつらは違うなと思うだろう。

 ましてやリーナは全力の時は例の掛け声とかをガンガン飛ばすんだから絶対に違うと確信するだろうな。


 はあ。なんだか疲れた。

 もう別行動は止めだ。

 三人がなんかやらかしそうで心配になって俺の気力が持たん。

 また明日からはみんなでの旅に戻ろう。

 その方がずっといい旅になるだろう。

 絶対だ!





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