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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第三章  魔石武器の物語

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03-03-04 魔石武器たちと対人戦

 間道を旅するようになってしばらく経つが順調に進んでいる。

 修行の方でも順調と言うのか魔獣が結構襲ってくる。

 皆は大喜びで戦っているがその所為であまり距離は伸びてない。

 ヘルは料理が気に入ったのか色々な味に挑戦するようになった。おい、飯が不味くなる予兆じゃないだろうな。心配だ。


 俺たちの旅は王都を出て南に向かい南端に着く前に東に向きを変え海岸沿いの中くらいの街を通るというルートを辿っている。

 このままいけば隣国との境界の街に着くがその後どうしようかねえ?

 この隣国っていうのとはそんなに仲が悪いとは聞いてないので国をまたぐってことも出来るかもしれんが俺たちはまだ旅の初心者だからなあ。

 まあ別にどうしても外国に行きたいという訳でもないし今回は外国の香りを嗅ぐくらいで皆には勘弁しておいてもらうか。

 外国に行くのはもうちょっと国内を回って旅に慣れてからでも良いだろう。


 そんな事を昼の休憩時間に皆と話し合っていた。

 今日もヘルの料理は美味しいねえ。

 ヘルを誉めるとなんかもじもじしていた。


 ここは間道の脇にあるちょっとした空き地で通る人の休憩所か野営地として使われている場所だ。

 俺たちの他にも休憩している人たちが何組か見かける。

 俺たちは一見若者たちのグループっぽい集まりで初心者感丸出しなのでたまにちょっかいを出されそうになったりするが完全フル装備のヘルがいるのを知るとすごすごと帰っていく。


 なんかヘルは偉い貴族の専属護衛のように見られているようだ。

 集団の中にすんごい美人が一人混じっているので余計に貴族のお遊び集団のように取られているらしい。

 まあちょっかいが減るのならちょうどいい。


 そんな感じの道中だったのだが今日はいつもと違ったようだ。


『マスター。こちらを付けて来ているらしい人たちが大勢います。前方にも待ち伏せているらしい人たちがこちらも多数います。今までなかった対人戦が起こりそうですがどうしますか? 今なら誰にも気づかれずに対処できますが。』


 おうふ。初めての対人戦で敵は大勢なのかよ。

 これは魔獣のように間引きは出来んだろうしなあ。

 するなら殲滅しかないし。

 さてどうするか。

 襲われる理由は何か聞き取れないか?


『ちょっと無理ですね。

 マスター。こんな時になんですがドローンとかを一つくらい作っておいてはどうでしょう。

 出来ますよね? 』


 おう。多分出来るぞ。

 魔石だけで出来るからこれが終わったらすぐ作っておこう。

 まあそれは後に置いといて今の事だ。

 ちょっとみんなを集めてくれ。指向性スピーカーも持ってたよな?


『はい。分かりました。ゆっくり近づくように言っておきますね。』


 おう。頼む。

 さて、本当にどうしたもんか。

 いつかはこいつらも対人戦をしなければならないとは思っていたがいきなりで集団戦とはちょっと荷が重いだろう。

 まあいざとなったらヘル姉妹とパトランプで簡単に殲滅できるとは思うが俺がただの大量殺人犯にされてしまう可能性も無きにしも非ずだしなあ。

 こいつらは多分ドン引きするだろうしあまりやりたくは無い。


 ところで俺が人を殺す事に忌避感をあまり感じてないように見えるのは多分に慣れのためだ。

 領主のお仕事には色々あって人を殺すこともその中に入っている。

 バズの奴はなんでも経験だと言って俺をいろんなところに連れまわした。

 処刑場とかもその中に入っている。

 世の中には死んでも仕方ない奴がいるってことを否応なく俺は教わった。


 まあ今はそのことはどうでもいい。

 まずは奴らの目的を聞かなければ始まらないだろう。

 皆にも意識を共通化しておかないといらない死体が増えるかもしれん。

 馬車の速度を落とし皆が集まりやすくする。


 全員が馬車の御者席の右側に集まってきた。

 俺は何者かの集団が前後に多数集まって来ていること。

 多分この馬車に用があるんだろうと予測されること。

 なにかあればすぐにでもヘルたちが殲滅できるので無用に波風を立てず取り敢えず用件を聞くので大人しくしていて欲しいこと。

 もしヘルか誰かが逃げろと言ったら射撃の邪魔にならないように馬車の周りに集まること。


 などと皆に言い聞かせた。

 これを守らないと巻き込まれて死んでも知らんぞと付け加えて。

 さてこっちの準備はこんなもんだろう。

 後は向こうがどう動いてくるかだよな。

 まったく関係ない用事で襲われたと分かった時はどうしようかなどと変な事を考えていたら前を塞ぐように数人が飛び出してきた。


 俺の視界にはヘルツーがAR表示してくれているマップが見えているがそこには道の脇にまだ数人が隠れていることが示されている。

 俺たちがそんなに驚いていない事に気づいた襲撃者は前に出てきたヘルを見てなにか納得したような顔をしていた。

 ヘルが誰何するとゲラゲラと笑って答えようとしない。

 用事は何かと聞いても同じだ。


 あ、これは後ろから来てるやつらの中に主犯格がいるなと分かったのでヘルにそいつらは放っておいて後ろに回るように言った。

 ヘルは飛ぶように走って馬車の後ろに回ると静かに近寄って来ていた奴らを取り敢えずぶんなぐって吹き飛ばした。

 ゴロゴロと転がった奴らが足元に来たのでよけていた奴が主犯格らしい。

 一人だけ身なりが違うので丸分かりだ。


 またヘルが話しかけると今度は返答してきた。

 だが言ってることの意味が分からん。

 なにをそんなにのんびりしてるのかねえ。

 誰かを待ってるのか?

 余裕があるねえ。

 それがいつまで続くのやら。


 俺は口元を隠してニヤニヤしていた。

 もうこいつらはただのゴミクズだと判明したので殲滅戦に突入だ。

 なんで分かったのかって?

 そんなのは簡単だ。

 それは襲った理由を言わないからだ。

 いや言えないのかもね?

 誰か宛が有って襲ったのなら人違いでは済まないので最初に聞いてこないとおかしいじゃないか。

 つまり襲う相手は誰でも良いってことだ。

 後は分かるだろ? 悪い奴らが女性にすることなんて言うまでもない。


 つまり殲滅だ。これしかない。

 俺は自分ちの領地でこういう奴らをたくさん処刑してきた。

 それと何にも変わらんよ。

 ただの処分だ。もう出来るだけ手間をかけたくない。

 ヘルツーに前方で隠れている奴から殲滅許可を出す。


 パトランプから数発のレーザーが発射されたが撃つと知ってる俺でさえ見逃しかねないほど分かりにくい。

 これではなんで死んだのかも分かるまい。

 前方で通せん坊をしていた奴らはどうするか。

 一応三人にも聞いておくか。


「おい、みんな! もう殲滅する事が決定したぞ! 前方の奴らとやりたい奴はやっても良いけど最後は絶対に始末をつけろよ。じゃないと許可は出さん! 」


「分かった。俺はやる! 」


「私もやるわ。何人でも良いのよね?」


「私は止めておく。ごめんなさい。」


「いや。謝る必要は無いよ。こんなことはやりたい奴だけにやらせておけばいいんだよ。ほらこっちに来て一緒に座って待っていよう。」


「うん。ありがと。ロッくん。」


「ほら! 早くしないと置いてくよ!」


 俺が脳筋二人組に発破をかけると二人は剣を思いっきり振りながらゴミに突っ込んでいった。

 まあ結果は言うまでもないがあっという間に切り伏せていたよ。

 二人とも前と比べると随分と強くなったなあ。

 なんか思いっきりがよくなったというかなんというか。

 やっぱりなんでも慣れかねえ。


 ちなみに後ろの方ではこんな事が起きてました。


 ヘルのバイザーがカシャンと跳ね上がると目からビームが多方向に一斉に発射された。

 それはゴミな奴らの眉間に狙いたがわずぶち当たりジュッという音を立てて中身を沸騰させた。

 当たった奴らはドサドサと皆その場で倒れて立っているのは主犯格だと思われる奴だけだ。

 そいつは怯えた声を上げ尻餅をついていたがヘルはそいつの服の襟の部分を捕まえるとずるずると引きずって道の脇の草むらに引きずり込んだ。

 それからしばらく悲鳴のようなものが聞こえた気がしたが気のせいだろう。多分。


 サーラ以外の全員でゴミの持ち物をさらってみたが碌なものを持ってない。金もほとんど無い。

 こいつらどうやって生活してたんだ?

 ゴミは道から出来るだけ遠くに投げてそれでおしまい。

 後は野となれ山となれだ。

 自然に優しいねぇ。


 ところでヘルの拷問と言う名のお話し合いでは特にいい情報は出なかったらしい。

 こいつは本当の主犯格ではなかったらしく理由も知らされずに部下と共に襲撃するように言われたらしい。

 うーん。これはもしかして嵌められたか?

 急いで犯行現場を離れて高跳びしようかとも思ったがここでただ逃げても敵の思惑が分からんと手の打ちようがない。


 しょうがないのでそこから大して離れていないところに馬車を隠蔽して誰かが現場を確認しに来ることに賭けてみた。

 そのためにヘルに言われていたドローンを急きょ作成した。

 取り敢えずの性能として無音飛行が出来てカメラとマイクで中継できればいい。


 大分待っていると数頭の騎馬と馬車がやってきた。

 騎馬から降りた兵士がガッシュたちが戦った後を見つけて続けて死体も発見した。

 馬車から降りて来たのは身なりのいいおっさんで偽主犯格の男の死体を見つけるとなにも言わずに馬車に引っ込んだ。

 こいつは悪事に慣れてるなあ。

 下手な事を言わないようにしているしなにかしゃべる時は遮蔽物に隠れてから行っているようだ。


 今回用意したドローンには高性能な集音マイクは付けられなかったので馬車に入られると途端に聞こえにくくなる。

 しまったなあと思いながら聞いているとヘルがドローンを操作して兵士の死角をついて馬車の屋根の上にそっと着陸させた。

 初めて操作したにしては上手いなあと感心していると馬車の中の声が聞こえてきた。


「…………そうですか。やっぱり魔法で倒した跡が有りましたか。

 そうなると逃げた王女の可能性が多少上がりましたね。

 ですが逃げている最中だとしたら堂々と旅をしているというのも変ですがそれも偽装工作の一環なのでしょうか。

 まあいずれにしても所在を確認しなければ始まりませんか。

 この近くの街全てに手配書を配布しなさい。

 容疑はそうですね、無銭飲食にでもしておきなさい。

 では私は先に帰ります。

 片付けは程々にして手配書を優先しなさい。

 屋敷に帰りなさい! 」


「はい! 出発します! 」


 そうして馬車が発車して来た道を戻っていった。

 ドローンもこのまま後を付けさせても良かったが行先も大体分かったしリモート操作が出来る範囲を超えるかもしれないので取り敢えず少し離れてから帰還させた。ご苦労様。


 さて。色々分かったが色々分からんことも増えたな。

 まず前提として俺たちが狙われているという訳じゃなく誰かと言うか逃げた王女が追われていて俺たちはそれと間違われているということだ。

 この逃げた王女ってあいつじゃないよな? 確かビジタードだったか?

 やだなあ。これ無理やり巻き込まれるとかいう展開じゃないよね?


 最悪なのは今の映像を皆で見ていたことだ。

 ガッシュはなぜかやる気満々な様子で鼻息が荒いし女性陣は追われている王女の身を案じている感じだ。

 特にリーナは友達が災難に遭っているのかと取る物も取らずに飛び出していきそうな顔だ。

 はあ。ホントこいつらみんな脳筋だよなあ。


「なあ皆。なんか勘違いしているようだから言っておくけど今困っているのは俺たちの方なんだけど分かってるよな?

 他人の事よりまず自分たちの事を心配しろよ。」


 俺がそう言うと皆首を傾げて何がって顔をしている。

 やだなあホントにもう。





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