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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第二章  旅の物語

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03-02-10 旅の途中の岩山で

 鉱山街の領主のシアターさんの屋敷に呼ばれてお話し中です。

 なんで呼ばれたのか戦々恐々としていたら只のバズのダチだったって落ちでした。俺の緊張を返せ。

 そんでバズの事や昔の話などで盛り上がりお昼ご飯もごちそうになった。


 やっぱり領主の家の料理は美味いね。うちとは違うね。普通はこうだよね。

 なんでうちの飯は大して美味くないんだろう。もう慣れてしまったが不思議だ。

 もしかして余所で食べた時に不味く感じないようにとかの変な気遣いじゃないよな? そんなのだったんなら勘弁してくれ。


 まあいい。

 そんで色々話しているうちにもう総合ネットワークの支部を新たに設置することを話してしまおうかと思えてきた。

 まあその前に現状確認だな。


「あのー、ちょっと聞きたいんですけど精霊の神殿が以前は山間に立っていたと聞いてたんですけど今は無いみたいですよね。

 なんでなんでしょう? 」


「ほう。そんな昔のことをよく知ってたな。

 あれはハーロックの所のご先祖のパンロック様が移設したみたいだぞ。

 そこの動甲冑を作りにこの領地に来ていた時に時間が余っていたのでその時の領主に提案したらしい。

 うちの領民が全然お参りに行かないのならどうせなら他の事に使わないかってな。

 なんでも使わなくなった坑道を使って魔獣の養殖みたいな事が出来ないか試したらしい。

 それが成功したかしてないのかは俺が領主を引き継いだ時の記録には残ってないようだったな。

 それを試した坑道も事故で埋まってしまったかなんかで今は使えないって話だったような気がする。

 すまん。よく覚えてない。」


「じゃあ今は精霊の石碑とかない状態でなにも困ってはいないんですか? 」


「いやそうでもない。たまにお力が授かりたいって人がいるんだが人数が揃ったら大勢で隣の町に観光がてら出かけて行って授かっているようだ。

 領主としてはご先祖がそんな迷惑をかけてしまっているのでなんだか申し訳ないんだがどうにもできないので困っているかと言われればそうだな。」


「そうですか。ならこの話はどうでしょう?

 実は今精霊の石碑の小型版とでもいうようなものをたまたま持っているんですけどこれを買いませんか?

 自分たちが手に入れたのは良いんですが使い道がなくてどうしようかと思っていたんです。

 値段は手に入れた時に掛かった実費で良いのでどうでしょう?

 多分ちゃんと使えると思いますので試して貰っていいですよ。」


「ほう? そんなのがあるのか。

 だったらこの際買っとくか。有っても困るもんじゃないしな。」


「はい。でしたら宿屋に帰ったらまたこちらに持ってきますね。」


「いや。帰りも送っていくんだしその時ついでに持たせてくれればいい。代金は今ついでに払っとこう。」


「有難う御座います。これで旅の路銀に少し余裕が出来ました。」


 よし! これで総合ネットワークのお使いは無事にやり遂げたぞ。

 後はシアターさんに丸投げでいいだろう。自分で上手く使ってくれ。

 そんなに安くもない代金をポンと払ってくれたシアターさんはやっぱり儲かっているんだろう。羨ましいねホントに。


 後この街での懸案事項は魔獣の増加なんだけど話を聞いていた範囲では埋まっていた坑道が何かの理由で通れるようになったとかが原因じゃないかな。

 だけども別段すごく困っているという訳でもなさそうだしそのおかげで儲かってもいるみたいだしで俺たちがどうこうする必要もないだろう。

 それとなく原因をちらつかせておけば自分たちでどうにかするんじゃないかな。


 これで後顧の憂いもなくこの街を旅立てるってもんだ。

 オッと俺の銃がまだだったな。後はそれだけか。

 領主邸を後にした馬車の中で皆にこれからの予定を話しておく。

 また皆好きな事をして過ごすのかと思っていたら全員魔獣狩りだそうだ。ヘルも一緒にだ。皆好きだね。


 俺は武装が出来るのを待っている状態なので必然的に置いてけ堀だがまあ少しゆっくりしますかね。

 ヘルツーちゃんとのお話でも良いだろう。

 のんびり行こうよ。


  ~ ~ ~ ~ ~


 ロックの奴は領主邸から帰るとなんだかやり遂げた感を出して自分の武装が出来るまではのんびりするようだ。

 まあ武器がないのに魔獣狩りに行くほど馬鹿じゃないか。

 ヘルさんの体が出来た時の事はみんなが浮かれていたからあれはノーカンな。


 俺たちは示し合わせた訳でもないが皆魔獣狩りに行くみたいだ。ロックは留守番だ。

 あいつは領主様に原因らしきことをチラッと話しただけで後は知らん振りするみたいだがこの問題を俺たちが解決してしまっても良いんだろ?

 別にロックに断る必要もないので目的を言わずに皆で魔獣狩りに出発だ。


 今回はヘルさんも一緒だから索敵は全部お任せで良いだろう。

 ヘルさんより凄い人はこの世に二人と居ないしね。

 あ、ヘルツーちゃんもいるか。

 でも最近始めたばかりだからな。年季が違うよな。


 魔獣が出て来る方角はこの何日かで大体把握しているのでそちらに一直線に向かう。

 やっぱり領主様の言っていた廃坑道が怪しいようで山の麓から見上げると少し上がったところに人が一人通れるくらいの岩の裂け目がある。


 しばらく離れた岩陰から様子を窺っていたらそこから中に出入りしてるのか魔獣が何頭か中に入っていった。

 体が大きくなり過ぎて中に入れなかった魔獣はすごすごと帰っていきまた別の魔獣がやって来ては中に入っていく。

 続けて入って行っても大丈夫みたいな事からこれは中にそれなりに広い空間が有って入り口だけが狭いのか?


 だったらそのうち何かの拍子で入り口が広くなったりしたらもっと大きな魔獣も中に入り中で作られている餌を食べて今より大きな魔獣が量産されるかもしれない。

 これは不味いんじゃないかとヘルさんに聞くと今ヘルツーちゃんを通してロックと連絡していて領主様に報告を頼んだそうだ。


 それを聞いてホッとしていたらリーナが中を見てみたいと言ってきた。

 いや俺も中を見てみたいのは山々だけども中に魔獣が何匹いるのかや戦える広さが有るか分からなければ入ってみるのは無謀だろう。


 ヘルさんなら一人で入っても多分無事だろうけどその場合には魔獣とは多分戦わないことになると思うけどそれでもいいのかと聞くとそれでいいと言う。

 ヘルさんも一度中を調べてみたかったのでちょうどいいと安請け合いをしていた。いいのか本当に?


 俺の疑問には誰も答えをくれなかった。

 しょうがないのでヘルさんが入った後から追加が行かないように俺たちが入り口を固めているうちに中の魔獣を全滅させてそれが確認出来てからならいいと言う事になった。


 ヘルさんが隙間に入ってから随分時間が経ち夕暮れも近くなったのでもう帰らないと夜になりそうだと俺たちは焦り始めた。

 外の俺たちも結構な数の魔獣を倒しもう疲れが溜まりフラフラし始めたころロックが街の衛兵を何人か連れていや逆に連れられてやって来た。

 なんでもヘルさんが中にいた魔獣の多さに切れて大きめの光線をバンバン撃ったら壊れやすくなっていた坑道が崩れてこちらの方へ続く道がふさがってしまったらしい。


 ヘルさんは坑道の方から帰るのでこちら側で待っている俺たちに夜になる前に帰るようにロックが代わりに伝えに来たらしい。

 俺たちはロックにせっかくのんびりしていたのにと散々文句を言われた。

 ロックが俺たちに文句を言うなんてこんなことは滅多にない。

 ヘルさんも後で聞いたがロックにしこたま怒られたらしい。


 俺たちは全員いい気になって調子づいていて周りがよく見えていなかったようだと反省した。

 これからはもっと慎重にならないとな。特にリーナは!


  ~ ~ ~ ~ ~


 魔獣の湧き出る岩の隙間の連絡をヘルから受けた俺はこれは前々から思っていたこいつらの天狗の鼻をへし折るいいチャンスだと考えて一計を案じた。

 つまりこいつらに俺に対する引け目を与える事をだ。

 ヘルには悪役を演じてもらう事になるが最近自分ばかり良い目に遭い過ぎているのが分かっているのか俺の提案に素直に乗ってきた。

 ついでに移設された総合ネットワークの石碑はこいつらには見せたくなかったのでちょうどよかった。


 シアターさんに会いに行き見つけた岩の隙間は塞いでおくのでまた魔獣を増やしたかったらちゃんとした入り口を作る事を提案して衛兵を何人か借りて皆を迎えに行った。

 皆はすでにフラフラ状態でもう少し迎えが来るのが遅かったら緊張で倒れていたかもしれない。


 衛兵に守られて緊張から脱した皆は座り込み呆然と言った感じでしばらく動けなかった。

 ようやく動けるようになった時の顔はなんだか年を取ったように感じるものだった。

 そんなにショックだったのか?

 いやこいつらの事だ。明日にはケロッとしているかもしれん。まだ分からんぞ。


 帰ってからも直接は言わず間接的にそう受け取るような事をちょこちょこ話に混ぜて言い反省を煽った。

 皆もなんだか意気消沈みたいになりながらも人の話を素直に聞くようになった。

 まあ数日の事だと思うけどね。長年の付き合いでそう分かる。

 これでしばらくは静か~に過ごせるだろう。


 という具合に皆にお灸を据えることに成功した俺はホクホクした気持ちで久しぶりの安らかな眠りに着いた。すや~。





第二章 旅の物語 end





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