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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第二章  旅の物語

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03-02-08 旅の道具屋で商談会

 なんだか驚いてばかりいる皆は放っておいてヘルツーちゃんに取り敢えず指輪型レーザー銃の制御を頼んだ。

 しばらくして視界に照準がAR表示で現れていつでも撃てるようになったらしい。

 だが指輪から発射できるレーザーの回数や威力もそれなりだから本当に緊急事態用ですぐにでもちゃんとした攻撃手段を準備しないといけない。


 明日から早速あの道具屋にでも行ってみるか。

 ヘルの体を手に入れた道具屋だ。

 高い買い物をした上得意様なんだから少しは安くしてくれるだろう。

 でなければしばらく金策に励まなければならないし。


 もうここの街には特に用はない。

 昨日ヘルツーちゃんの宝玉などを作った後時間と魔石が余っていたので総合ネットワークの中継基地用の魔石の石碑っぽいのを作っておいた。

 後は建物かお社でも用意してやれば信じる人たちがいればそれなりに発展していくだろう。


 領主にひとこと言っておくかと思ったが別段これは公共事業でも何でもない。

 民間の宗教団体の活動だし誰にも迷惑がかかるようなものでもないだろうから黙っとこう。

 まあ知らないうちに住民基本台帳に全住民が載っているという事になるがそれを知らなければ今までと何も変わらない。


 ともすればこれをもっと活用して欲しいくらいだ。

 今の領主が寛容な人であることを祈ろう。

 後は知らん。総合ネットワークの方で誰か人員が出せるなら勝手にやって欲しい。


 皆は丸く円を描くように座りヘルツーちゃんを真ん中にして自己紹介とか色々な話をしている。

 ヘルツーちゃんは元気があって従順なわんこのようで皆から可愛がられている。

 皆知らないんだな。これがこいつらの手口だという事を。


 ヘルの時もそうだった。

 最初は従順なお淑やかな感じだったのがある程度データが揃ったら急にぞんざいな態度とかを取ってきたもんだ。

 こいつらの元を作った奴はどんだけ捻くれているんだ?

 まさかこの感じはパンロックの奴じゃないだろうな。奴ならやりそうな事だ。


 そんな事を考えながら皆を見ているとヘルが話しかけてきた。


「仲間が増えるのは良いですよね。マスター。

 いつもそう思います。

 ですがそんな人たちが櫛の歯が抜けるように減っていくのは寂しい物です。

 ですから今を大事に生きてください。マスター。」


「おいおい、そんなこと言ってるが自分では体験してないんだろ?

 総合ネットワークからの受け売りなんだと思うが人が減るなんて言うなよな。

 本当にそうなったらお前がフラグを立てたと皆に言うぞ。」


 ヘルはそのあと何も言わずにじっとしていた。

 俺は余計いやな感じになったのでその事を考えるのをやめて忘れ去ろうとしたがその日寝るまでずっと忘れられなかった。


  + + + + +


 次の日の朝快眠して昨日の事なんか綺麗さっぱり忘れた俺は早速ヘルを連れて道具屋に出かけた。 

 もちろんヘルツーちゃんも一緒だ。

 他の皆はまだ寝てるんじゃないかな。

 急いで来たのはもう時間をかける必要もないしね。巻きで行こう。巻きで。


 道具屋は朝の忙しい時間帯だったみたいで店員全員が俺たちの事なんか放っておいて忙しそうに動き回っていた。

 まあそりゃそうだよね。

 ヘルの体を持ってきた時のように朝一からお客さんに配達の仕事があるんだろう。

 俺は自分のことしか考えられなくなっているのが分かってよっぽど身の危険を感じていたのかと愕然とした。


 でもまあまた出直すのもめんどくさいので店員の邪魔にならないような場所で売っている物を物色することにした。

 いやこの道具屋を舐めていたね。結構面白い物を売っている。


 前にヘルが音楽を鳴らしていたように音の出る魔道具が売っている。

 まあ性能に関してはそれなりなんだと思うんだけどね。でもそんな事を考える奴もいたんだなって感心した。

 他にも定番の魔道具のランプなんだけどなんと懐中電灯みたいなのも売っていた。


 これらの物が一品物じゃなくたくさん並んでいる。

 大量生産されたものみたいで値段もそんなに高くない。

 あ、これもしかして例のあいつ。そうパンロックの関係じゃね?

 だったら納得だがそれでも作っているのは現在の職人だろう。

 それだけでも驚きだがちゃんと改良もされているようで色々な種類があるのが見て取れる。


 これは現在の工業力も案外バカに出来ないものがあるな。

 田舎に引っ込んでいたらそんな事も知らずに周りをバカにして天狗になっていたのかも知れん。

 やっぱり旅に出て良かったんだな。

 ヘルの事でバカな事をしたのかもしれんと思っていたがそうでもないと知れて良かった。


 これだけでもこの道具屋に来てよかったと思えた。

 後はまあ銃の機関部以外の整作依頼だがこの懐中電灯とか作っている工房なら大して説明しなくても出来るんじゃないかな。

 良い所を見つけたかもしれん。


 ひとりで自分の先見の明を誉めているとあの時の店員が近寄ってきた。


「ようこそいらっしゃいませ。昨日以来ですね。

 早速連れ歩いているようですがいかがですか?

 なんだか遠くから見ていると知っている私でも中に人間が入っているんじゃないかと思えてきますよ。

 それで今日のご用事はどんな事でしょう。

 なにか不具合でもありましたか? 」


「いや、特にそんなのはないよ。今のところ最高の掘り出し物だよ。

 実は今日来たのはこんな風な取っ手が付いたものを作れないかということを聞きに伺ったんだ。」


 俺は昨日作ったレーザー銃の機関部と取っ手部分の設計図を見せた。

 レーザー銃はまだ射撃能力は付けていない。危険が危ない。


「ほう。どれどれ。なるほどねえ。

 クロスボウの握り部分みたいな感じですか。」


「そう。そんな感じです。

 ですがもっと強度が欲しいんで金属で出来ないかと聞きに来たんです。」


「そうですね。クロスボウは軽くするためにわざわざ軽い木材を使って作っていますしね。

 そうですね。うちで下請けにしている工房でも出来るでしょう。

 こちらの部品に取り付けるのですか? 」


「はい、そうです。こちらの部品も預けていきますのでそちらの工房で組み付けてもらっていいですよ。

 というか素人よりプロにやってもらったほうが安心ですよね。お願いします。

 あ、その預ける部品には合わせるときとかに傷をつけないようにお願いします。

 まあそんなに簡単には傷はつかないとは思いますが無理やりやれば分からないですので。」


「分かりました。気を付けさせます。

 それで納期はどうしますか? 急ぎですか? 」


「そんなに急いでいるという訳ではないですがのんびりという訳でもないですし納得のできる出来のものが返ってくることの方が重要です。

 どうですか? どのくらい掛かりそうですか?

 あとお値段の方はできるだけ安いほうが嬉しいです。」


「あははは。皆さんそうおっしゃいますね。

 そうですね。うーん。今は急ぎの納期の製品は入ってない筈ですのでそうですね。

 念のため五日頂ければ出来ると思います。どうですか?

 お値段のほうは前に買って頂いたこの鎧人形のこともありますのでこんなもんでいかがでしょう? 」


 そう言って見せられたメモ帳には思っていたよりも安い値段が書いてあった。

 俺は値切ろうかと思っていたので肩透かしを食った気分になったが安いに越したことはないので素直に頷いておいた。

 前にヘルの体を買う時にすごく粘って値切ったのであらかじめ安く提示して余計な時間が掛からないようにしたみたいだ。


 悪いね、気を使ってもらって。

 これはどちらも余計な事に時間を取られないWin-Winの関係を得る大変意義のある決断だ。

 俺は右手を差し出して店員とがっちりと握手をして道具屋を立ち去った。


 うん。いい仕事をした気分だ。

 後は五日をどう潰すかだよな。

 さてどうしようか。





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