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マセキ・コントローール!  ~せっかく異世界に転生したのになんか捻くれた性格に育っちゃったみたいです~  作者: さんご
第三転生期編  第二章  旅の物語

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03-02-02 旅の途中の鉱山街の宿屋で

 馬車を進めてきたら鉱山街の城壁が見えてきた。

 結構規模の大きな町だ。城壁も頑丈そうなのがぐるっと覆っているのが見える。

 街の向こう側にそびえている山が鉱山のある山脈か。

 その山脈は隣の国との国境も兼ねているようだがここを越えてくるのは無理っぽいのか隣国が攻めてくる事は全然考えられていないみたいだ。


 俺達が街の入り口に着くと門の警備をしていた衛兵に結構驚かれた。

 何で驚いたのか聞いてみるとこんな少ない人数で魔獣の多くいる道を通って来たからだということみたいだ。

 他のここを訪れる人たちは大きな馬車隊などと一緒に行動しているのに俺達は頼りにならなさそうな若者たちだけでここまで来たのだからだと。


 まあ俺達の見た目の事は置いといて。

 衛兵の人達はこの魔獣がはびこっている状態に対してなにか対処しているのかと聞いてみると上の方からは特に何も言われてないということだった。


 そんな事があり得るのか?

 自分達の飯の種の鉱山からの出土品を買ってくれる人たちに対して便宜を図らないというのは普通の神経の人には訳が分からないだろう。

 その買い付けている人たちからは苦情が来ていないのか?


 衛兵の人にはその辺の事はよく分からないという事だった。

 詳しく聞きたければ中央にある領主館にある窓口に聞いてくれという事だった。

 まあそうだよね。うちの村もそうだったよ。門の衛兵になんか詳しい事は伝えられないもんだ。


 俺もバカだよな。もうそんな事も忘れたのかという事だ。

 俺も人の事は言えないよな。思ったより結構浮かれていたようだ。気を引き締めていこう。


 さて、じゃあどうするかという事だがまずは宿屋を確保して落ち着いてから考えよう。

 考えるのは俺とヘルだけで事足りるので皆には情報収集という名のお買い物にでも行ってきてもらうか。

 特に魔石の確保をお願いしておいた。


 ヘルを箱から出して宿屋の部屋に付いていた机の上に置く。

 相変わらずキモイ様子だ。なぜこんな風に脳に似せているのだろうか? ふとそんな事を考えているとヘルの方から話しかけてきた。


『マスター。この鉱山街を対応していた総合ネットワークの中継基地ですが通信を試みても応答がありません。これは通信拒否されているのではなく動作していないようですね。』


 オイオイ、そんなに簡単に通信しようとするなよ。

 もし普通に動いていたらこちらが探っていることを知らせるようなもんだろ。


『そんなへまはしませんよ。ちゃんと別の名前で行っていますから。でもそうなると総合ネットワークの支援は受けられないという事になります。』


 そうだな。

 役所になにか聞きに行っても街を探っている奴らがいるってことをわざわざ教えに行くようなもんだしな。

 ヘル、ここの総合ネットワークの基地は街の外にあるのか?


『はい。その筈です。昔の地図しかありませんが表示しますか? 』


 ああ、頼む。

 俺はAR表示された地図を見ながらどうするか考え込んだ。

 そこは大して街からは離れていない場所で今日見た記憶と合わせると山を少し登った辺りを示していたからだ。

 ここの場所は岩場で回りを遮るものがなくもし人がそこに向かったら下から丸見えになるんじゃないか?

 いや、よく思い出して見るとそこには目立つような建物なんかなかったように思うんだが。

 ヘル、そうだよな。


『はい。おっしゃる通りここには建物らしき物は見当たりませんでした。

 中継基地が地下にあるという記録はありませんのでもしかしたらこれは建物自体が消失してしまっているのかもしれませんね。

 でももしそうだとしてもそんな事が起きていたら王都の本部に連絡がないことやここの住民が王都に来た時にでもなにかの情報を落としていてもおかしくないと思うのですが。』


 そうだよな。

 もし山崩れでも起こったのならその事が伝わってないのは変だよな。そんな連絡があったとかいうのもないんだろ?


『はい。ないですね。』


 なんかおかしいな。これって皆でその事を隠しているのか?

 うーん。これはこのままじゃあ情報が足りなくて対処の手がかりさえないぞ。現在の状況では打つ手なしだな。

 これは一度現場に行ってみるしかないか?

 でもなぁ、多分無駄足だろうしなぁ。


 そんな風に俺達が煮詰まっていると買い物組が返って来た。

 かなりいいアクセサリーが安く手に入ったようでホクホク顔だ。

 君たちはいつも気楽でいいね。羨ましいよホント。

 で、魔石はちゃんと買えたの?

 え? こんなにたくさん買えたんだ。ここの魔石はかなり安いんだな。

 ん? 何か引っかかるな。何だろう。あ、そうか!


 どこでその魔石を入手しているのかという事が引っかかっていたのか。

 ここは鉱山街だから普通は肉のもととなる家畜とかは手に入りにくくて値段が高くなっているはずだ。

 その高い肉と同じように家畜からとれる魔石も値段が高くなってないとおかしい。


 ヘルがここに来る途中で言っていたな。

 魔獣が増えているのは誰かが飼っているのが逃げたんじゃないかって。

 そうだよな。上手い金儲けの仕方だよな。

 肉の高い所で安く肉を作ってそれを売る。そのおこぼれで魔石も手に入ってそれも売れる。

 言うことなしだよな。


 あとは誰がこれを主導しているかということとそれが総合ネットワークの基地消失につながっているかどうかか。

 これは魔石の方からたどっていくしかないか。


 ちょっとここで事態を整理して時系列をたどって考えてみるとまず総合ネットワークはかなり前からここの支部とつながってない。

 この接続遮断に対して本部の方では原因を把握していない。

 その事に関して領主つまり管理者から本部への連絡もない。

 管理者が原因を隠しているか又は知っている可能性が高い。


 そのことに関して本部の方では事態を放置してなにも対処していない。

 そして現在もまだ同じ状態が続いている。


 それとは別に少し前からこの辺りでの魔獣の被害が増えている。

 その魔獣は管理者か総合ネットワークの支部が関係しているようだ。

 魔石の供給状態からもそれが裏付けられる。

 そしてそのどちらにも管理者つまり領主が関わっている。


 おい、これ別に何も問題がないんじゃないか?

 つまり領主が自分の領地の経営を自分なりに行っているだけで何も悪い事はやってないだろ?

 総合ネットワークの中継基地を魔獣の件でなにかに使っているだけでそんな事は王家とか中央政府がなにも言わなければ問題にもならない。現在そうなっているし。


 総合ネットワークから見ると自分の施設を勝手に使われている事に関して言いたいことがあるのかもしれんが今まで放置してきて今更だろう。

 文句があるならもっと早く言って来いというのが普通だ。

 それに元々総合ネットワークは住民のためにあるものだろう? それに使っているのなら問題はない。


 金儲けに使っているというかもしれんがそこから得られた資金をどう使っているかなど領主の専権事項だ。

 言いがかりをつけられるいわれもない。


 そもそも俺達には捜査権も逮捕権もない。

 事態の原因究明は出来てもそれまでだ。

 出来ることと言えば他の用途で使われているだろう中継基地の代替施設を設置する事くらいか。


 どうだヘル? そんな感じの事態の終結というのは。

 総合ネットワークの本部もこれ以上は別に期待していなかったんだろ?


『そうですね。そんなところが落とし所ですかね。分かりました。上にはそう報告しておきます。

 では事件は起こっていなかったということで終わりにしましょう。

 もうそんなせこい話は放っておいて私の杖を早く探しに行きましょう! 待ちきれません! マスター! 』


 そうだな。ちょっと考えすぎて疲れたのでぶらぶらと買い物にでも行くか。





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