プロローグ 03-20 魔獣戦
「征くぞ!! マセキ・コントルゥォ―――――ゥルッッ!! 」
俺は起動キーワードを叫びながらスキルを発動する。
まあキーワードを叫ぶ必要は本当はないのだが周りの人達に自分がやってますよという事を喧伝して置かないと後でなにもやってないとか言われるからな。
まあそんな感じで叫んだ瞬間杖の宝玉からレーザーの光が縦に帯状になって魔獣の群れに照射された。光は左から徐々にスゥーッと右に移動していく。魔獣は光を浴びても別段なにも影響がないかのようにしばらく進んでから急におかしな様相になった。
まず小さな魔獣は体がバンと弾け飛んだ。木っ端微塵だ。周りには破片と血飛沫しか残らない。
中型の魔獣は体が膨らんだかと思ったら全身から炎があふれ出し燃えだした。炎のお陰で魔獣の周りが明るくなった。
最後に大型の魔獣は口や鼻や耳などの全身の穴という穴から炎が勢いよく吹き出した。そして走っていた時の勢いのままくずおれ転がった後体全体から煙を上げ始めた。
これが左端から次々と起こって行く。
バンバンと弾ける音が景気良く鳴り、ぼうぼうと炎が高くまで立ち上り、大きな図体が炎を吐き出しながら勢いよく突っ伏す。
殺された魔獣の近くの他の魔獣は恐慌状態になり四方に逃げ出す。
レーザー照射を他の魔獣の陰になって浴びず無事だった奴も二度目の照射が又左端から始まると今度は陰にならなかったのか漏れなく同じ様相になって行く。
どんどん左端から殺されていくのを見た比較的に右側にいた魔獣はもっと右端によって行く。そしてそのままの勢いで傭兵達の陣に突っ込んで行った。
傭兵達は最初は襲ってくる魔獣が少なかったので余裕があったようだが、どんどんやって来る数が増えて行き次第に余裕もなくなり必死に戦わなくてはいけなくなっていった。
最後は息も絶え絶えになりながらどうにかしのぐ事が出来たようだ。
魔獣の群れは結局三度襲って来たがなんとか撃退した。
傭兵達には引き続き魔獣の生き残りを追撃をするように契約しているので頑張ってもらおう。
それが終わるまで俺達はここで念の為に待機だ。
今回行った事は俺のスキル魔石操作によって魔石、即ちデータチップにとある命令を与える事で引き起こした。
それはデータチップ自身の持つエネルギーを全て熱エネルギーに変換するという物だ。
俺がプロミネンス・コードと呼んでいる攻撃だ。カッコイイ技名だろ?
順を追って説明するとこうだ。
まず宝玉からレーザー通信で対象の目から魔石に対して強制的にこのプロミネンス・コードを送り込んで作動させる。
これだけだ。簡単だろ? まあこれが出来る奴が他にいないっていうのが重要なんだが。
このコードを送られるとデータチップはすぐさま蓄えていた全電気的エネルギーを熱エネルギーに変換する。
高温になったデータチップは心臓の近くに存在していて普段は心臓から熱エネルギーをもらっているのだがそれが一気に反転する形となる。
どの魔獣もまず血液が沸騰する事から始まるが結果はそれぞれで異なる。
小さな魔獣はあっと言う間に全ての血液が沸騰して更に気化する。その急激な圧力上昇に体が堪えられずに破裂する。
中型の奴は血液が沸騰する所までは一緒だがその後気化しても体がその圧力上昇にぎりぎり耐えてしまう。結果身体が膨らんでそのあと高温になった血液によって全体が燃え出してしまう。
大型の奴は血液の沸騰による圧力上昇にも体は耐えられるがそのままどんどん気化した血液は高温になり遂には発火する。
その体の中で起きた火が組織が薄い所から噴き出すという事になる。
ちなみに血液が沸騰した段階で魔獣は既に死んでいる。ホァタッ! アタタタタタタッ! 魔石・高熱拳!
いや、なんでもない。
所でなんで今回はこの攻撃方法にしたかというとレーザー攻撃をバンバン使うと「これ傭兵いらなかったんじゃね? 」という事にもなりかねない。
レーザー攻撃の直接的な当たって弾けるという結果が示す見た目の威力が高過ぎる。
そこで見た目の威力がそこまでない当たってから直ぐに結果が出ないこの魔法っぽい攻撃方法を選んだ。
たまに当たっても効かない場合もある攻撃ってのは結果が派手でも強くは見えないものだ。
もしここで俺が派手すぎる攻撃をすると村を出ていく時余計な騒動を引き起こすかもしれないからな。念の為だ。
まあバズはワザと攻撃力の低いこの攻撃をしたと気付いているようだが。
今回の攻撃方法による唯一の欠点は魔石がとれない事かね。
全エネルギーを熱に変えると魔石は崩壊してしまう。
魔石を構成している物質の原子的結合力を失う為らしい。良く分からんが。
そして今回の魔獣戦に置いて俺が目指した物は村の皆に戦争を実感してもらう事だ。
この村の奴らはのんびりし過ぎている。
このままだと取り返しの付かない事になりそうだからだ。
そんな時に多分俺は村にはいないだろうし。
俺は待機しながらそんな事を考えていた。
するとガッシュとサーラが話し掛けて来た。
「これで魔獣騒ぎもようやく終わりだろ。しばらくのんびり出来るだろうからそろそろ準備を始めるか? 」
「そうよね。私は一度王都に行って見たかったのよね。もっと早く準備しましょうよ。」
「はぁ? お前らなに言ってんだ? 」
「マスター。二人にはもうバレバレですからね。早めに覚悟を決めて下さい。」
これはヘルが二人にバラしたな。
俺に分からないようにバラすなんて一体どうやったんだ?
はぁ。仕方ないか。まあ言う手間がはぶけたと思う事にするか。
俺も覚悟を決めてママン達にどういうかそろそろ考えるか。
+ + + + +
それから数日後には魔獣の生き残りの始末もあら方済んだらしい。
次いでに魔獣を操っていたらしい集団も発見されて大半が捕縛されたようだ。
やっぱり隣国の依頼を受けた奴らの仕業だったらしい。
中央の政府に報告して対処をどうするか決めるらしい。
らしいというのは俺には詳しく教えてくれないからだ。
良く分からんが戦争になるのかね。
取りあえず事態は収束したようだし村での俺のやれる事はほぼ終わった感じだ。
本格的に村を出る準備を始めるか。
第三転生期編 プロローグ end




