エピローグ
「すみませーん……」
風太は体育館の畳のある部屋に来ていた。
「お、入部希望者か?」
「はい。よろしくお願いします」
一応男女に分かれているものの、同じ部屋を使うようだ。奥で稽古している女子の柔道部を見てみると。
うすぐもちゃんが同じく見学していた。
うすぐもは風太の姿を見つけるとにこっとした。
うすぐもは感情を出すことに躊躇しなくなった。もともと美形なため、人気者になるのはすぐだった。
相変わらずすぐ本を読むし、何もないところでは今まで通り笑わない。でも、マックでスマイルくださいと言われてはにかむように笑うようになった。はにかみがかわいいと人気になったのは言うまでもない。
ル・ニュアージュのアルバイトに来ていた明菜もうすぐもの変化にすぐに気づいた。
最初は感情を出さないことに共鳴していたのだが、今は詠美という感情を爆発させる相手を見つけていたので、うすぐもの変化もなにかあったのだろうと受け止めていた。
部活が終わった後、二人はル・ニュアージュに来ていた。オムライスセットを待ちながら、うすぐもは 風太に話しかけた。
「風太さん」
「ん?」
うすぐもは恥ずかしがりながら、頼みごとをした。
「オムライス、作り方を教えて」
風太は今までで最高の笑顔になった。
「もちろん!」