3話 追放
「その通りだ。私の場合は四つの能力をあの日に授かった。」
大抵授けられる能力は、三つとされている。四つを授けられる者は天才と呼ばれ、最大である五つを授けられた者は神童と呼ばれている。
「ちなみにこれが私が授かった能力だ。ステータスは見せられんがな。」
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STR ■■■■■ VIT ■■■■■
AGI ■■■■■ INT ■■■■■
LUK ■■■■■
SKILL 鍛冶能力Ⅳ 身体強化Ⅲ
鑑定能力Ⅱ 槌術Ⅵ
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確かにドワーフの王としてかなり強い能力を授かっている。
基本的なドワーフのステータスは
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ドワーフ(一般)
STR 15 VIT 19 AGI 7
INT 14 LUK 10
SKILL 鍛冶能力 Ⅱ 槌術 Ⅰ
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こんな感じになっている。授かった能力が強くなっていく事はこの世界では無いのでドワーフ王はとても強い事が分かる。
それに能力の<鑑定能力Ⅱ>は相手の能力が見えずともステータスは分かることが出来る。
「私までは行かなくても王族として最低でも3つの能力は得てほしいものだな。」
確かに冒険者になるにしても能力が最低でも三つはあって欲しい。
この世界で能力を多く持っていることにデメリットは無い。
「そろそろ着きそうだな。よいな、必ず3つは最低でも能力を授かれよ。」
とんでもない不可能を言ってくれる。授かられる事が出来る能力は自分では選ぶ事が出来ないことは知っているくせにこんなことを言うとは
「解りました。父上。」
そうしてようやく<<神の神殿>>に馬車が着いた。
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<<神の神殿>>について
神の神殿は、ドワーフの国には一つしかない。ドワーフ国は他の国と比べても小さい訳ではない。
神の神殿はたいして大きくは無い人族の国にはギルド支部がある所には絶対にある所もある。
エルフや魔族の国にも一つしかないということはなかったはずだがドワーフの様に首都に一つしかないということはない。
それほど神の神殿は、ドワーフにとっては特別な物だが他の種族にとってはそこまで重要でも無いのが現実だった。
ちなみに神の神殿がドワーフの国には一つしかない理由は不明だ。
神の神殿は大昔に神が降り立って作ったと言われてはいるものだがその伝承もそうだという確証はない。
ただ憶測の一つしては神にドワーフだけが何故か嫌われていると言われている。
まあ取り敢えずドワーフの国に一つしかないためにドワーフの国だけは他と違い神の神殿が使われる事は年にニ回と決まっている。
その為神の神殿を使われる時は、沢山のドワーフが集まり見学者として見守っている。特に王族が行う時は
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<<神の神殿>>の中にて
王族が行うのは最後となっていた。
最後にパフォーマンスとして王族は模擬戦を行う為にするためだ。
参加したドワーフはどの人も平均を逸脱しない人ばかりだった。
神の神殿では神殿長にある能力で参加者の能力をその能力者と神殿長にだけ分かるようにされている。
ただ王族だけは、全ての参加者に能力の披露が行われる。それで王族としての特別性が披露される決まりになっている。
「では、最後に王族であらされるリツヒ様の能力披露とさせて頂こう。」
そうこうしているとようやく俺の番が来たみたいだ。ついに俺の能力が分かるな。
この能力次第で俺の今後が決まるのだからせめて戦闘系の能力は一つはあって欲しいものだ。
「では、これが王族の一人であるリツヒ様の能力であらせられる。」
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Lv ■■■■■
STR ■■■ VIT ■■
AGI ■■ INT ■■ LUK ■
SKILL 鍛冶錬成 Lv- 武術 Lv-
瞑想 Lv- 限界突破 Lv-
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「何だ?この能力は?変な欄があるしドワーフとしての<鍛冶能力>がないとはどういう事だ?」
これは凄いな。普通は<Lv>の欄は無い筈なのに存在しているという事は俺はここから更に強くなる可能性がある。
「何だこの結果は!王族として能力が三つ以上ある事は喜ばしいことかだが何故ドワーフなら誰でもある筈の<鍛冶能力>が存在しない。」
あの馬鹿王は何を見ているんだ?
どう見ても<鍛冶能力>の上位互換の様な<鍛冶錬成>があるのにそんなことが言えるんだ?
「こんな結果は有り得ない!ドワーフの国の王族としてこんなのが居るとは知られたくは無いな。」
「今、この場にいるものに告げる!
我がドワーフの国にはリツヒという王族は居なかった事にしようと思う。」
「これはドワーフの王としての言葉である。ドワーフの国に<鍛冶能力>さえ使えないものは必要ない。」
「その為ここで言おう。ドワーフの国より出ていくが良い。出来損ないよ!」
おっと。どうやら思った以上にここの国は馬鹿ばかりみたいだった。