第六十九話 新たなる契約
「くそーっ! あの女……、アニキと何を話しているんだろう?」
セディルがエリーを連れて居間を離れた後、イライラしながら親指の爪を噛み、ウロウロと忙しなく歩くセディナの姿があった。
敬愛する憧れの兄の結婚相手だというだけでも、セディナは気に入らないというのに、彼女は兄を巻き込んで借金を背負わせようとまでしている。
流石にセディナも、今は武装を解いてラフな普段着に着替えているが、このまま不愉快な想いが込み上げ続ければ、再び鎧武者の姿に成って、二人の下へ踏み込んでしまっていたかも知れない。
「少しは落ち着きなさい、セディナ。セディル君なら、大丈夫よ。あの子ならきっと、お嫁さんと一緒に借金を背負って上げるんじゃないかしら」
「それ、大丈夫じゃないやつじゃん、イルメッタさんっ!」
のほほんとした様子でイルメッタがセディナを窘めるも、それは寧ろ、火に油を注いだようだった。
彼女の言う通りならば、兄はそんな苦難を結婚したエリーの為に受け入れるという事になる。
セディナの脳裏に、愛し合う二人が抱き合い、口付けを交わす場面が浮かぶ。
「ぐぬぬぬっ!」
その光景を想像し、セディナは両手の拳を握り締めてギリギリと口惜しそうに歯軋りをした。
セディルと同じ黒髪のロングヘアが左右に揺れ、彼女の怒りに呼応してチリチリと跳ねる。
「大体、何であんな女が、アニキと結婚なんてしたんだよっ! あいつ、北の皇帝を殺した奴の娘なんだろっ!?」
「エリー嬢のお話では、それは冤罪だそうですよ」
興奮するセディナに、ライトレインが一言付け加えた。
昼間聞いた話が事実ならば、皇帝殺害の真犯人は別にいて、エリーの父親はその罪を擦り付けられた被害者であるらしい。
「むー、それなら尚更判んないっ! それが何で、アニキとあいつが結婚する事になるんだよっ!?」
頬をおもいきり膨らませて、不満の声を上げるセディナ。
この七年、待ちに待った兄との再会劇が余計な女の出現で全く納得出来ない形となり、彼女は荒れているのであった。
「あら、セディナ。そんな事、良く考えればすぐに判る事でしょ?」
彼女の扱いに慣れたイルメッタが、母親のように一つ一つ噛み締めた話を始めた。
「エリーお嬢さんは、悪い人の所為でお父様とお兄様達を殺されたのよ。それも皇帝陛下の殺害という、最悪の不名誉を着せられて」
内容はある程度吟味され制限されているとはいえ、ロルドニア王国の世間一般にも、皇帝殺害事件に関する情報はもう伝わっている。
その犯人として公式に発表された、クレイム伯爵とその関係者の処遇についても同様だった。
「あなたも話は聞いたでしょ、クレイム家は家名を廃され、領地と財産も国に没収されて、一族郎党は流刑地送り。エリーお嬢さんも皇子様との婚約を破棄されて、全てを失って国外追放処分にされたのよ。それが全部濡れ衣だとしたら、酷い話だと思わない?」
「んんー、それは、まあ……」
セディナも鬼ではない。
兄に関わりさえしなければ、他人の不幸には素直に同情する子なのだ。
「あなただったら、どうするかしらセディナ? あなたの大事なお兄さんが、理不尽に殺されたとしたら?」
「決まっているさっ! そんな事やった奴は、アタシが全部ぶった斬るっ! 皆殺しだっ!!」
自分の大事な人を殺した者も、侮辱した者も、奪おうとする者にも容赦はしない。
『人斬り』セディナは、敵と認めた者は必ず斬るのだ。
「でも、その悪い人がとても強くて、今のあなたでは、それが不可能な場合はどうするの?」
「その時は……、アタシがもっと強く成るか、……アタシより強い奴に頼む、かな?」
「そうよね、じゃあ、そんなあなたの目の前に、『伝説の忍者』がいたとしたらどうかしら? その人に頼めば、どんなに悪くて強い人でも、首だけにして持って来るような人よ」
そう言って、イルメッタはその『伝説の忍者』の方へと顔を向ける。
「ライガ、あなたは当然、断ったわよね? エリーお嬢さんの『復讐代理人』を……」
「ああ……、俺のあの子への義理は、安全な場所まで連れて行く事までだ。個人的な復讐にまで、加担する義務は無い」
無表情で壁を背にして立つライガは、当たり前の事を語るように言う。冒険者を辞めた男は、もう仕事の依頼を受ける気が無かったからだ。
「復讐……」
漸くその答えに辿り着き、セディナがその言葉を唇から零した。
「成程、読めて来ましたよ、エリー嬢の目論見が」
「……ええ、そういう事なのね」
ライトレインは得心がいった様子で頷き、フェルセイスは忍者である父の顔を見る。
「あの子は、お前に復讐を頼んで断られ、次にセディル君にそれを頼んだのね。でも、セディル君もそれを一旦は断った……」
そこまでの事情が、フェルセイスには良く理解出来た。
ライガを、それにセディルを動かす為に必要な『理由』を、その時のエリーは持ち合わせていなかったのだ、と。
「あいつは冒険者だ。報酬無しに仕事は請けない」
復讐に協力する義務を持たないライガに対し、セディルは『報酬』さえ用意すれば、エリーの復讐を果たす代理人に成ってくれる。
しかし敵に全てを奪われ、一文無しと成った少女は、その報酬に値するものを唯一つしか持ち合わせていなかったのだ。
「じゃ、じゃあ、あの女は、アニキにその復讐を依頼したのか? その報酬に、アニキと結婚したっていうのかよっ!?」
その結論を得て、セディナも状況を理解した。
エリーは、その身を報酬としてセディルに捧げる条件で、彼を復讐代理人に雇ったのだ、と。
「あ、あの女……、アタシの大事なアニキを、使い捨ての矢弾にしようってのか~~っ!!」
愛する兄を、自分の復讐の為の手駒に使おうとしている女。
それに気付き、セディナの形相が鬼へと変わる。
「もしかして、あなたもその報酬の一部なのかしら、アンナさん?」
居間の隅で椅子に座り、退出したセディルとエリーの事を案じていたアンナは、イルメッタに名前を呼ばれて顔を上げた。
「……私は、その……、七年前に知り合った頃から、セディル君には懐かれていまして……。彼が、お、お嬢様よりも、私と結婚したいと言い出したので……」
皆の視線に晒され、目元を恥ずかしそうに朱く染めたアンナが、その時の事情を語る。
何もかもを失くしたエリーに、護り手が必要だと思ったアンナは、セディルにその役目を担って貰おうと、自分も彼の側に居ると約束したのだった。
「まあ、そうだったの。それであなたは、セディル君の愛人に成った訳ね。彼としては、本命はあなたの方だったのかしら?」
「そ、それは……」
返答し難い事を訊かれ、アンナが戸惑う。
エリーの事を考えると、彼女はどちらとも答えられないのだった。
そして、そんな話をしていた彼らの下へ、セディルとエリーが戻って来た。
二人は手を繋ぎ、セディルがエリーを引っ張るようにして歩いて来る。
セディルの顔には、つい先程まで巻かれていた筈の包帯が見当たらず、妙に機嫌の良さそうな素顔をそのまま晒していた。
その後に続くエリーは顔を俯かせ、上気した頬を赤く染め、唇を固く引き結んでいる。
「イルメッタさん、話が付きました。僕達、イルメッタさんにお金を借りる事にしました。僕とエリーの共同名義で借金をするので、北の流刑地への援助物資の手配をお願いします」
大きな借金をするとは思えない明るい態度で、セディルは必要な手続きをイルメッタにお願いした。
そんな彼に、居間で待っていた皆の視線が集中する。
「んん、どうしました? 僕の顔に、何か付いていますか?」
「いいえ、さっきまで巻いていた包帯を、どうしたのかと思っただけよ」
何事も無かったかのように、イルメッタはセディナと鏡映しにでもしたように似ている、セディルの顔を見つめた。
「それなら、さっき外しました。エリーとキスするには、ちょっと邪魔……」
「今此処で言う事では、ありませんわっ!」
彼が余計な事を口走らないよう、慌ててその白い両手でセディルの口を塞ぐエリー。
「むぐっ」
口を押えられ、セディルが呻く。
「………………」
そんな風にいちゃついているように見える兄と義姉の様子を、嫉妬の炎を背中でメラメラと燃やすセディナが、一言も喋らず開き切った瞳孔で見つめていた。
「それで借金の件、本当に良いのね? 貸すのは50000シリス。一年後の返済で、利息は二割だから60000シリスよ。返せなかった場合は、あなた達二人の身柄をお金に換えるしかないわ」
「はい、それも覚悟の上です」
それら全ての条件を承知の上で、セディルはエリーの求める借金に同意した。
「あなたも良いのね、エリーお嬢さん?」
「ええ、覚悟は致しましたわ。わたくしの一族郎党を守る為には、こうするしかありませんもの」
他に手段が無い以上、彼女もこの借金に立ち向かう決意を固めたのであった。
二人の言葉を聞き、イルメッタは頷くと、ベルジアに借金の契約書を用意するよう命じた。
ベルジアは一礼し、明日の朝にはそれが用意されるよう手配すると言う。
これで、流刑地送りにされたクレイム家の一族達も、何とか今度の冬を乗り越えられるだろう。
「ところで、イルメッタさん。借金のついでと言っては何ですけど、僕達のパーティに『投資』しませんか?」
それらの話が一段落すると、セディルは新たな話を彼女にし始める。
「投資? あらあらそれだと、どんな利益がうちに転がり込むのかしら?」
「僕達はこれから、試練の迷宮『魔王の試練場』に挑みます。そこで手に入れた『戦利品』や『財宝』をカリビング商会に優先して売却する代わりに、僕達に『資金援助』をお願いしたいんです」
ここでも必要な物は、お金。
これから迷宮を探索する為に、武器や防具、薬を始めとした各種消耗品の補充は必須になって来る。
特に、セディルがこれからやらかそうとしている、大胆な迷宮攻略法を実践する為には、『MP』の回復手段がその成否を左右する重要な要素に成るのだ。
初期資産の活用は、その第一歩と成る為、セディルは少しでも多くの資金が欲しいのであった。
「ふーん、悪い話ではないわ。そこが伝説通りの場所で、高レベルパーティなら、確かなお宝を回収して来られる筈だものね」
イルメッタも、元は凄腕の冒険者。
冒険の果てに、冒険者が手に入れて来る財宝の価値については、彼女も熟知している。
「良いわ、その話に乗りましょう。あなた達も、セディル君の提案に異存は無いのね?」
周りを見回すと、ライガ、フェルセイス、ライトレインの熟練冒険者達も、無言で頷いた。
カリビング商会との専属契約の有効性は、彼らも了解しているのだ。
そうしてセディル達は、ロルドニア王国でも有数の商会という『後援者』を得て、迷宮探索に十分な資金を調達したのであった。
打ち合わせを終えたセディル達、新冒険者パーティの面々は、この日カリビング家に宿泊の為の部屋を用意された。
この大きな屋敷には、客室や使用していない空き部屋も多いらしく、急な客人の為に、それぞれ部屋を調えてくれたのだ。
「で、僕達はこの部屋なんだ」
セディルは用意された部屋に案内され、中を見回した。
今日まで泊まって来た街道筋の宿屋の基準から考えれば、今夜一晩泊まるだけというのが勿体無いような、立派な部屋だった。
床にはふかふかの絨毯が敷かれ、質素だが調度品も置かれ、テーブルや椅子、箪笥やクローゼットも備え付けられている。
そして部屋の隅には、天蓋付きの大きなベッドがあった。
「……何故、わたくしとお前が、同じ部屋に通されましたの?」
そんな部屋の中に、セディルの他にエリーとアンナも居た。
「それは僕達夫婦なんだから、一緒に寝ると思われたんじゃないの?」
「………………」
屋敷の使用人、否、イルメッタに余計な気を回されて、エリーは無言で溜め息を吐く。
「何か言いたい事があるの、エリー?」
「わたくしは、アンナと一緒に寝ますわ。お前は……、アンナの部屋で代わりに寝なさい」
そう言って、エリーはセディルの背中を両手で押して、彼を部屋の外に追い出すと、カチャリと扉を閉めて鍵を掛けてしまった。
「……ああ、可愛そうな僕。人を殺して生首を持って来ないと、お嫁さんが寝室の扉の鍵を外してくれないなんてさ」
天井を仰ぎ、哀れっぽく呟くセディル。
勿論、全くめげてはいないのだが、此処は悲劇の主人公であっても良い場面だと、彼は勝手に思う事にしたのだ。
「仕方が無い、アンナさんの部屋で寝よう」
一通り悲劇ぶって遊ぶと、セディルは大きな欠伸を噛み殺しつつ、アンナの為に用意された別の部屋に向かう。
そこには、これまで宿泊した宿のベッドとは比べ物にならない、良い寝台が用意されている筈。そんな良いベッドで久々に寝て、良い夢でも見よう、とセディルは思った。
その彼の後姿を、廊下の曲がり角からジーと見張っている影が一つ。
セディルが部屋に入るまで、その影は彼を追い掛けた。
「ふうっ」
部屋に入り、服を脱いで下着姿に成ったセディルは、早速ベッドに寝転んだ。
今日一日、ロルドニア王国の都『クライゼール』に着いたばかりだというのに、妙に濃い一日を過ごしてしまった。
初めて足を踏み入れた『冒険者の酒場』から始まって、闇僧侶フェルセイス、吟遊詩人ライトレインとの出会い、人斬りと成った妹セディナとの再会、そして王国宰相ヴァルデムから告げられた『試練の迷宮』の存在と、ライガの冒険者復帰。
そんな激動の一日を終え、セディルは微睡の中に目蓋を閉じようとしていた。
「アニキ……」
明かりを消し、暗闇に包まれた室内で不意に妹の声がした。
「ん、セディナ? どうしたの?」
名を呼ばれたセディルが部屋の入り口の方を向くと、扉を開けてセディナが入り込んで来た。
彼女はそのまま兄が居るベッドまで近付くと、モゾモゾと彼の横に潜り込む。
「……えーと、これはどういう事かな?」
妹の奇行にセディルが疑問を問うと、彼女は徐に彼の首筋に抱き付いて来た。
「えへへっ、アニキの匂いだ……」
甘えるような声でそう言って、顔を擦り付けて来る妹。
「ねえ、セディナ。此処は僕の部屋で、セディナの部屋じゃないよ」
「良ーじゃん、アニキ。昔は、いつも一緒に寝ていたんだから~」
「いやいや、それはお互いに五歳児だったからだよ。そういうのが許されるのは、七歳に成るまでなんだよ、一般常識では」
確かに生まれた村では、セディルはセディナの面倒を見て、いつも一緒に眠って上げていた。
だが、それも五歳の時までの話。
お互いに十二歳に成った今、妹との同衾は不味い。
いつもは無視する常識まで持ち出して、セディナを注意するセディル。
「むー、じゃあ今日だけは特別っ! 今日は、アニキにまた会えた日なんだからさっ!」
そう注意され、不満の声を上げるセディナは、増々密着度を上げて行く。
ガッシリと抱き付かれては、説得しても無駄そうだった。
それに、セディルもいい加減眠いのだ。
「……今日だけだよ」
「わーい、流石アニキ。妹に優しんだ、えへへへ~」
兄からの許しを貰い、セディナは嬉しそうに喉を鳴らす。
暫しの間、双子の兄妹は七年振りに感じるお互いの体温と匂いを懐かしんだ。
「……ねえ、アニキ。あの村の事、覚えている?」
「うん、覚えているよ」
セディナに耳元でそう囁かれ、セディルは自分達の生まれた村の事を脳裏に浮かべた。
「……アタシ達のお母さん、今どうしているかな?」
特異な状況で生まれて来た為に、『悪魔の子』という偏見を押し付けられ、村長の家の中で隠されるようにして育てられた彼ら。
そんな二人にも、母はいた。
我が子への愛情と恐怖で板挟みになり、最後は村人達の要求に逆らえず、兄妹を見捨てようとした母であってもだ。
「そうだね……、『悪魔の子』の僕達がいなくなったんだから、お母さんは、村で普通に暮らす事が出来るようになったんじゃないのかな」
村で起こった不幸の原因の全てを双子に押し付ければ、村長の娘である彼女までは、魔女狩りのような目には遭わないのではないか、とセディルは思うのだ。
「今頃は誰かと結婚でもして、幸せに暮らしているよ。ひょっとしたら、僕達の弟や妹が生まれているかも知れないね~」
「そっか……、そうだったら、良いな……」
そう言ったセディナの声は、親愛と優しさで溢れていた。
どうやら、この妹もセディル同様、母への悪感情は抱いていない様子だ。
(まあ、仕方の無い面はあるよね。只の田舎の村娘が、突然『悪魔の子』を産んじゃって、それが原因で村中から敵視されるなんて事、どうにか出来る訳がないよ……)
そうした母の置かれた状況を、セディルは全て理解している。
(生まれてすぐに捨てられちゃっていたら、そこで『ゲームオーバー』だったもんね……)
寧ろ、五歳までは大事に育てて貰っている。
それだけでも、彼にとっては感謝に値する行動だった。
「セディナ?」
気が付くと、妹はもう眠っていた。
セディナも散々興奮した挙句、兄に添い寝して安心したのか、瞬く間に睡魔に負けてしまったらしい。
これだけは文句無く可愛い妹の寝顔を見ながら、セディナはそっと彼女の背中を撫でてやる。
(うん、この試練の迷宮での冒険を終えたら、いつかセディナやエリー、アンナさんと一緒に、あの村にも帰ってみよう……)
妹との再会を経て、セディルの冒険の目的が一つ増えた。
『魔王討伐』『復讐成就』、それに加えての『帰郷』という目的だ。
彼らは生まれた村に帰り、母に会う。
(僕達が帰って来たら、お母さんや村の人達、どうするんだろうな~)
きっと『悪魔の子』が復讐の為に戻って来た、と恐慌を起こすのだろう。
セディル達にその気が無くとも、勝手にそう解釈してしまうのが迷信深い田舎の村人達なのだ。
(エリーと違って、僕らに復讐する気なんて無いんだよね。唯一つの例外を除けば、だけど……)
そう、セディルにもセディナにも、自分達に石を投げた村人達への復讐心などは無い。
少なくとも、現時点に於いては。
(全ての判断は、お母さんに再会出来た時――否、会えなかった時かな?)
村に帰り着いた時、母が村から追い出されていたり、或いは、殺されていたとしたら。母が、不幸な目に遭っていたとしたならば。
(その時は……、村の全てを焼き払って灰にしてやろう。建物や男の村人は勿論、女子供や家畜まで全部……)
『悪魔の子』の怒りを買うというのならば、その代償は支払って貰う。
妹の温かい身体を抱き締めて、眠りに落ちるその時まで、セディルはそんな物騒な計画を考えていた。
それが実現しないよう望んで、彼は意識を眠らせた。




