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奇跡の女神  作者: 龍崎美鳥
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第二章  謎めく樹

第二章  謎めく樹


 鋭い風の刃がそれを切り刻み、打ち倒していく。

 二人は急襲を受けていた。相手はアメーバ状の半透明の物体。セレナは風の魔法を駆使しながら、その物体を撃退していく。倒しそびれたものは、すかさずアベルが長剣で切り払った。

 セレナに導かれるままに、彼女の言う『樹の内部』に入ったまでは良かったが、すぐさまこの謎の物体の急襲を受けたのだ。

 アメーバやスライムに近い物体でありながら、宙に浮かんで触手を伸ばしながら攻撃してくるそれにアベルは戸惑ったのだが、セレナは知っているらしく冷静に指揮を下し撃退体制をとった。

「……そろそろ、やっかいになってくるかしら」

 剣を振るい、次々とその物体を切り倒していくアベルの後ろでセレナは呟く。アベルが加わってくれたおかげで、戦いはかなり楽になっているのだがやはり時間がかかる。それになんといっても数が増えている。倒しても倒しても増援が来るのでは厳しい。

「アベル、引きながら戦える?」

「わかんねえけど……やるだけやってみるさ!」

 風の刃を放ちながら、セレナは前方のアベルに声をかける。休み無い攻撃に耐えながら剣を振るうアベルは、振り返らずにそう答える。実際、あまり余裕が無い。

「……できるだけ頑張って。チャンスが来たら一気に逃げるわよ」

「それは構わねえけど…なんでだ?」

 攻撃を受け流しながら、アベルは尋ねる。確かにこの状況で、敵を全滅させるのは困難だろう。しかし、離脱するにしてもそのチャンスが巡ってくるのかも微妙な所だ。

「……もうすぐ分かるわよ」

 セレナはそう言って、風の魔法を放つ。

 風の刃は、その物体を切り刻むはずだった。

 パシュンッ!

 相打ちになるような形で、物体と風がぶつかりあい地面へと落ちる。

 パシュン!パシュン!

 他にもいくつか同様の状態が起こり始めた。

「アベル、逃げるわよ! ついてきて!」

 そう言うとセレナは今までよりも大量の風の刃をどんどんと増えていくアメーバ様の敵に打ち放ち、後ろへと走っていく。

 一瞬、状況が読めずに思考が止まっていたアベルだったが、セレナの声で我に返り彼女の後を慌てて追った。

 アメーバ達は逃げていく彼らを追おうとするが、地面へと墜落した彼らの仲間の身体が進路の邪魔をして追跡を困難にしていた。

 その隙に、セレナとアベルはどんどん彼らと距離を離し、逃げていった。


「……ここなら、あいつらも入って来れないから大丈夫よ」

 小部屋のようになった場所に入り込み、セレナは息を切らせながらアベルに告げた。アベルも肩で荒い息をしていた。セレナの足はやたらと速くて、体力には自信のあるアベルでも引き離されないようにするのが精一杯だった。

 全く、この森に来てから訳の分からないことだらけだ。

 先ほどの敵の襲来も、セレナの言う内部組織なる所に入った途端に襲われたのだ。

 アベルは呼吸を整えながら、セレナを見る。彼女は座り込んで、大きく息をしていた。

 彼女はあの、アメーバの様な敵と戦うのは初めてではないらしい。突然起こった怪奇現象も知っているようだった。

「……なあ、今のは何だったんだ? セレナは知っているんだろう?」

 アベルもセレナの様に腰を下ろす。今までの戦いの疲れも休めなければならないからだ。そして、アベルの言葉にセレナはちょっと苦笑いを浮かべた。

「……まだはっきりとは分からないけど……あれ、多分免疫システムね」

「免疫? どういうことだ?」

 セレナの言葉にますます、アベルは分からなくなる。

 免疫というのはアベルも知っている。自分にも備わっている自己防衛システムだ。外敵から身を護るために、血液中にある白血球が、その敵に合わせた抗体と呼ばれる武器を作り上げ、進入した外敵を倒すというものだ。

 動物なら考えられる。そういえば、セレナはここをドリアードの樹だと言っていた。しかし、樹に血液が流れているなんていう話は聞いたことが無い。

「植物にも色々と自己防衛システムはあるのよ。外敵の侵入に対して化学物質を作って倒したりとかね。他にも弱毒ウイルスが強毒のウイルスを防ぐとかいうのもあるけれどね。だけど……これはなんだか動物の抗体に似ている気がするのよね。倒せば倒すほど、それに対する抵抗力が上がるというか……。やっかい極まりないんだけど」

 どうやら、免疫に関することは当たっているらしいが……セレナの今までの話をまとめると、植物が動物と同じようなシステムを持っているということになる。

 そしてもう一つ、一番大きな肝心なこと。

 どうやら自分たちは外敵として処理されているらしい。内部に侵入したものなのだから当然といえば当然だが、極めて危険なことである。

 しかし、分からないことも沢山ある。そもそも樹の内部に入り込めたりするのだろうか。

「……いい加減、真相を話してくれても良いんじゃないか?」

 もう何がなんだか分からなくなってきた。

 すっかり困りきったアベルの顔を見て、セレナはちゃんと事情を説明していないことを思い出したらしかった。

「そうね、どう話せばいいかしらね。……アベルはドリアードって知っているかしら」

 少し考えてから、セレナはそうアベルに問いかけた。ある程度、知識をみてから話すつもりらしい。

 アベルは首をひねる。ドリアードは聞き覚えがある。そう、確か……。

「……確か、樹の精霊だったような気がするな」

 その答えにセレナは満足そうに頷く。

「そう、正解。森に住んでいる女性の精霊よ。人間の男を魅了して、取り込んでしまうという話もあるのよね」

 そう、笑って言ってから、セレナの表情がきゅっと引き締まる。幼い顔立ちとはいえ、こういう顔になると、大人っぽい印象を受けた。

「ここの森はね、ドリアードがいることで有名なのよ。ところが、男女問わず、この森で人が行方不明になってね、調査して欲しいという話が来たのよ。で、どうやら原因の大元になっていそうな樹を見つけて、その樹の主のドリアードとコンタクトを取ってみようと思ったんだけど、どうしても取れなくてね……。仕方が無いから強行策で身体の大きさを小さくして内部に潜り込んで、今に至るって訳」

 セレナは今いる小部屋から外の様子を、横目で伺いながら続ける。外の方のアメーバたちは幸いにもこちらには気がついていないようだった。

「原因は分からないけれど、おそらくドリアードが関わっているのは確かなのよね。だから、会いたいんだけど……いくら探して歩いても見つからなくて……」

 そう言ってから、ふと思いついたようにセレナはアベルの顔をじっと見つめた。急に見つめられて、アベルは戸惑う。しげしげと見つめるセレナの視線に、思わず顔を背けた。

「な、なんだっていうんだよ」

「……アベルもクリスほどじゃないけど、まあカッコイイ部類よね」

「……その言い方、ちっとも喜べねえ」

 セレナの評価にアベルは苦い顔をする。容姿端麗で、気品に溢れるクリストファー王子と比較されたら、誰だって劣るだろう。アベルは容姿端麗というよりは、むしろ剣士らしく精悍な顔つきで、顔立ちは細い、その手の顔が好きな人にはいい男といえるだろうか。

 まだ、セレナはアベルの顔をじっと見ていた。何かを考えているような顔だ。

 ……なんとなく、嫌な予感がした。

 そういえば、彼女はこう言わなかっただろうか。

 ドリアードは人間の男を魅了して取り込むと。そして、彼女が探しているのはドリアードだ。

 ……まさかとは思うが……この少女なら言いかねない気がする。

「でも、好みかどうかが分からないし……」

「……やっぱり、おとりにする気が」

 予想通りの言葉にアベルはため息をつく。ここまで、予想通りだとなんだかもうどうでもよくなってくるのは何故だろうか。

「大丈夫、大丈夫。ドリアードに連れ去られそうになったら助けてあげるから」

 セレナはそう笑顔で言った。とても自信があるといった表情だ。

 連れ去られたら……あまり考えたくない話だ。

 ふと、疑問が沸いてくる。その連れ去られた人間の男はどうなるのだろうか。

 男を攫う事でよく聞くラミアなどは、誘惑した人間の男性の精気を吸い取って殺してしまう。

 ドリアードが邪悪な精霊だとは聞いたことが無い。まさか、取り込んで養分にするとは思えないのだ。では、どうするというのだろうか。

「なあ、セレナ。なんでドリアードは人間を連れ去ったりするんだ?」

 その言葉にセレナは表情を曇らせた。

「聞いた話だと、大好きな人と同じ時間を共有するために、自らに取り込むみたい。ほら、人間の寿命って短いじゃない。樹の中で、同じ時を過しながら生きていくって事みたいね。信じられないけど」

「……つまり、精霊と同じ時間を生きさせるために取り込むって事か?」

 セレナの言葉を自分なりに要約して、アベルが反復して確認する。彼女はその言葉に頷いた。

「そう。それが彼女たちの愛の形なんだとか聞いたけど。……そんな愛なんて信じられないわ」

 セレナはいぶかしげにそう言った。その表情はとても険しい。彼女は、ドリアードの行動がとても理解できないらしかった。

 アベルはむしろ不思議な顔をする。ドリアードの考え方は分かるような気がした。

 好きな人と、一緒の時を過したい。そう思うのは自然な事なのではないだろうか。

 勿論、双方が望んだ上での話だとは思うけれども。

「……恋だの愛だの……とても信じられないわ」

 セレナはそう呟いた。彼女にとってはとても正直な気持ちだった。

 そう、セレナにとっては信じがたいことなのだ。どうしても、それだけは。

 そんなセレナの深刻な気持ちにアベルは気がついていなかった。セレナの言葉に首をかしげる。

「そうか? 良いものだと思うけどな。恋だって愛だって」

 その言葉にセレナは急に表情を一変させた。その表情は怒りに満ちていた。

「良いわけないじゃない! そんなものがあるから……私は……!」

 そう言い放ってから、セレナははっとした表情になり、口をつぐんだ。

 その反応に、やっとアベルも事情をなんとなくつかんだ。

 彼女はハーフエルフだ。想像できないような苦労が沢山あったに違いない。それを思えば、彼女が恋や愛を否定する気持ちは分からないでもなかった。

 そして、自分の不用意な言葉に反省する。彼女の傷を広げてしまったことは確かだった。

「……ごめん、悪いことを言っちゃったな」

 謝るアベルに、セレナは目を閉じ首を横に振った。

「いいのよ、別に。両親のことを恨んでいる訳じゃないし。ただ……どうしてそう思えるのか分からないだけ」

 セレナは寂しそうにそう言った。

 その言葉はあまりにも素直で、彼女が本当にそう思っているのだということが容易に想像できた。両親を恨む気持ちは無い。恨む気持ちは無いが、理解は出来なかった。

「でもね、考えてもみてよ。私のお母様は、私を産んですぐに亡くなったわ。エルフの父は私をお爺様とお婆様に預けて、どこかへ行方知れずになってしまったわ。……これで、愛とか恋を信じろだなんて到底無理な話よ」

 その言葉にアベルは驚いた。彼女の生い立ちにも驚かされたが、こうも簡単に自分の素性を平気で話すのも信じられない。しかものっぴきならないような話だ。

 アベルの呆然とした表情に気がつき、セレナは不思議そうな顔をした。

 一体全体どうしたというのだろうか。そんな顔だ。

「……いや、ちょっと前に知り合ったばかりの相手によくそんな事が言えるなって思って」

 言葉に窮したアベルは素直にその思いを告げる。本当に正直な気持ちだった。

 だが、セレナは平然とした顔で言ってのける。

「あら、たいした話じゃないわよ。どこにでもありそうな話でしょう? それに……お爺様とお婆様がとても大事にしてくれたし、別に不幸だなんて思ってはいないから大丈夫よ?」

 えらく割りきりが良いらしい。それとも、そう思うことで納得をつけたのだろうか。

 両親に大切に育てられてきたアベルにとっては、理解のしにくい話だった。

 しかし、彼女がひねくれて育っていないところを見ると、彼女の祖父母は、彼女が言うとおり、大切にしてくれたのだろう。それは感じられた。

「でも、あなたは良いと感じられるのだから、きっと良い思い出とか沢山あるんでしょうね?」

 セレナはそう笑顔で問いかける。そう聞いてくることから考えて、どうやら彼女自身は恋愛とかそういうものに不信感があるようだが、そのものを否定しているわけではないということが感じられた。

 アベルは、どう答えていいのか少し悩んだ。上手く答えるのは難しそうだった。

「……まあ、俺は両親がいつも傍にいるのが当たり前だったからね。その辺は恵まれていると思うし、それだからそう思えるんだろうな。それに……」

 ここまで言いかけて、アベルは言葉を飲み込んだ。なんだか、これ以上続けるのは照れくさい気がした。

 だが、途中で切られてしまったので、セレナは不満を露にする。

「そこまで言いかけて止めるなんて反則よ? ちゃんと言いなさいよ!」

 ずずいっと見上げて迫ってくる。自分は不信だと言いながら、人の話には興味があるらしい。

 小さい子に怒られているような気がして、さすがにアベルも黙ってやり過ごすのが厳しくなってきた。

「……分かったよ。言えばいいんだろ。……好きな人がいるんだよ」

 観念したようにそう言うアベルにセレナはさらに興味のある顔で迫ってくる。

「あら、アベルも隅におけないわね。どんな人?」

 完全にセレナの質問タイムになってしまったらしい。話をそらすことが出来ないかと周囲を見回してみたが、それも難しそうだ。

 諦めきった表情でアベルは話し始めた。

「とはいっても片思いで……会ったのも十年前に会ったきりで今はどうしているんだかも知らないけどな。とにかく、すごい女の子で……次に彼女に会うときは俺も負けないように強くなろうと決めているんだ。目標みたいな人だよ」

「……へえ、十年も片思いか……。結構、一途なのね、見かけによらず」

「……どういう意味だ、それは」

 意を決して話したというのに、セレナのあまりにも酷い感想にアベルは苦い顔をした。やっぱり興味を持っているといっても、所詮は恋愛不信者といったところだろうか。

「……十年前、か。……あのこともそのくらい昔かしら」

 セレナは一人ごちに呟く。何かを思い出したらしかった。

「何かあったのか?」

 セレナの変化に気づき、アベルが声をかける。それに対してセレナは笑顔で答えた。

「ふふ、内緒」

「……人には聞くだけ聞いておいて」

 そんなセレナにアベルは閉口しながら肩をすくめた。

 出会って間もないのに打ち解けられるのは不思議だった。しかも、完全に彼女のペースに乗ってしまっている。きっとこれからも振り回されるオチだろうか。でも、それも悪くはない気がした。

「じゃあ、こっちからも質問だな。これから、どうするつもりなんだ?」

 とりあえず、話は元に戻る。実際、いつまでもここにいるわけにはいかない。

 セレナも考えた表情になる。まだ具体的には決めていなかったようだ。

「そうね、ドリアードに会うことが目的なんだけど……何か手がかりはないものかしら。ねえ、アベル。あなた、どうやってここに来たの? そういえば、落ちてきたことしか私、知らないわ」

 そう言われてアベルも初めて気がつく。そういえば……セレナに事の経緯を説明した覚えがなかった。

「……森を回っていて、なんか声が聞こえたような気がしたんだ。そうしたらあっという間に根みたいなものが突き上げてきて、それに引き込まれて……気がついたらあそこにいたって感じだな」

 ……ここへ自ら乗り込んできたセレナと違ってなんだか我ながら情けない。

 事情を話しながら、アベルは軽く落ち込んだ。この辺から考えてもセレナが見た目は幼いが実力者であることが容易に想像できた。

 だが、そんなアベルに構うことなく、セレナは別のことが気にかかったらしい。

「……声がしたとか言ったわよね?それ、なんて言っていたの?」

「えっと、確か、『人だ』とか『ここだ』とか『助けて』とか言っていた気がするな」

 セレナの問いに、アベルは記憶をたどりながら、なんとか思い出す。

 その声はあまりにも小さくて、はっきりとは覚えていないが、よく思い出してみればそう言っていた気がした。

 ……それから考えると。少し表情が青くなる。

「……もしかして、俺は呼ばれたのか?」

 セレナは苦笑いを浮かべた。

「そうね、どうやらそうみたい」

「……俺、どうすれば良いんだろうか……」

 絶望的な気持ちに襲われる。この正体不明のものの何に呼ばれているのだろうか。しかも相手は助けを求めているようだ。しかし、この現状ではアベルの方が助けてもらいたいくらいである。

 一方のセレナは少し苦い顔をした。別のことが気にかかっていたのだ。

「……私が無視されたのは……多分『人』じゃないからね」

 そう、誰にも聞こえないような声で呟く。

 メッセージから考えても、アベルを取り込んだのはドリアードではない。ドリアードであるなら、最初に人の姿をして現れ、彼を魅了するはずだろう。いくらなんでも問答無用で引き込むとは考えられない。本来、精霊というものは穏やかな性質の者たちなのだ。

 となると、アベルを引き込んだものは『人』を重視していることになる。セレナは人であって人ではない。それ故に、彼女には関与してこなかったのだろう。

 つまり『人』でないものには関心が無い事になる。

 それはアベルが聞いた助けを求める声と矛盾しないだろうか。

 助けてもらう相手を選ぶなんて、本当に助けを求めるものがするのだろうか。

 目的が見えてこない。

 だが、この樹を支配しているのはドリアードであるはずである。

もし、この樹がドリアード以外のものに支配されているのだとすれば、一体何が支配しているのだろうか。そして本来の主であるドリアードは一体どうしているのだろうか。

 どうにもやっぱりドリアードを探すしか手は無いようである。

 でも、そのドリアードがいるとすればどこにいるのだろうか。全く持って予想がつかなかった。

 しかし、この内部組織は動物を思わせるものがいくつかある。

 そうなると……いるとすれば脳に当たる所か、心臓に当たる所か。

いずれにせよ、元の主であり、彼女がいなければこの樹は成り立たない重要な存在だ。しかるべき場所にいることだけは確かだろう。

 次に進むべき所は……まずは近そうな心臓部だろうか。

 おそらくアメーバ様の敵には襲われ続ける運命が待っているだろう。それでも仕方が無い。先に進まなければ、次の道がないからだ。

 それにアメーバ様の敵の存在は、同時にそこが動物でいう血管に当たる部分とも言える。ならば、その道を辿ればいずれ心臓部には辿り着くだろう。

 セレナは視線をアベルに移す。どうやら、まだ戸惑っているようだ。

(身体は私より大きいけれど、やっぱりまだまだ子供ね)

 そんな事を思って、セレナは微笑した。それでも一人でいるのと二人でいるのとでは大分違う。彼が来てくれたのはありがたかった。彼を派遣してくれたクリスには感謝しないといけないなと思った。

「たまにはクリスの心配性も役に立つものね」

 そう微笑んでから、セレナはすくっと立ち上がった。

 外の様子を横目で見る。そろそろここも安全ではなくなるだろうか。

 もし免疫と同じ機能を持っているのであれば、細胞の中にあたるこの場所ごと破壊する手段をとってくるはずである。どちらにせよ、急がなければならない。

「ほら、アベル。しっかりしなさいよ。危なくなったら私が護ってあげるから」

 セレナにそう言われて、アベルはさらに困った顔をした。

 そもそもアベルがここに来たのは彼女のサポートと護衛のためだ。それなのに、護るべき人に護られるのはなんだかとっても複雑だ。それに、王子との約束もある。

「……いや、俺があんたを護るべきで……」

 苦い顔をしてそう言うアベルにセレナはふくれた顔をした。

「あら、私が信用できないっていうの? 失礼しちゃうわ」

「……いや、そういう意味じゃなくて……」

 どう言って良いのか分からず、アベルは困惑する。

信用しているとかしていないとか、そういう問題ではない。

 しかし、そんなアベルの反応を見て、セレナは自信に満ちた表情で笑った。

「それなら、お姉さんを信用しなさいって」

 自分より明らかに小柄で、幼い少女に笑顔でそう言われて、アベルは苦笑した。年上なのは確かなのだがやはりどうしても違和感を感じてしまう。

 人は見た目ではないというが、やはりセレナも年上だとはいえ、なんだか危なっかしい所もあるし、小さな身体で魔法を駆使しながら戦っている姿は心配さも感じる。

 大丈夫だとは思いながらも、彼を派遣せずにはいられなかったクリストファー王子の気持ちは分かるような気がした。

 放っておけない感じがするのだ。

 彼女からしてみれば、自分の方が年下だし、頼りないのだろうけれど。

 アベルはゆっくりと首を振った。

「……まあ、何事もないと良いな」

「ま、それもそうね。とりあえず移動することにしましょう?」

 二人が、その細胞と思われる場所を出た時だった。

 光線のようなものが二人のすぐ横を通り過ぎる。

 バシュッ!!

 何かが消え去るような音がして、そこを振り返ると今まで隠れていた場所は跡形もなく消え去っている。

 背筋に冷たいものを感じながら、セレナとアベルは辺りを見回す。

 そこにはまた違った形をしたアメーバが取り巻いていた。

「……どうするんだ?」

 セレナの方を見る余裕も無いまま、アベルが悲壮な顔で呟く。それに対してセレナも冷や汗を浮かべたまま、ひきつった声で言う。

「どうもこうも逃げるしかないでしょ~~!」

「やっぱりか~~!」

 セレナの言葉をキッカケに、二人は一目散で走って逃げ出す。

 逃げ出した二人を追ってアメーバ達は宙を浮かびながら執拗に追ってくる。

 だが、二人の逃げ足の方が若干速いらしい。いちいち構うよりも逃げた方が効率が良いように思われる。

 そのまま二人は脱兎のごとく逃げ出した。

「なあ、セレナ、俺を護るって話は?」

「それとこれとは別の話! 黙って走りなさい!」

 走りながら、先ほどの話題を持ち出されてセレナは怒った表情でアベルを一喝する。

 想像のついた反応に、アベルは苦笑いをする。

 やっぱり俺が護らないといけないよな。

 そう心に決めて、アベルはセレナの後を追った。


 セレナとアベルが必死に走り回っている頃、二人の事を心配している人物は頭を悩ませていた。

 手元には膨大な資料と目を通さねばならない書類が待っている。

 しかし、一向に連絡をよこさない者達の事を思うと心配でそれどころではなかった。

 銀の髪の青年は、ペンを下ろし、席を立った。

 肩まである長くて真っ直ぐな銀色の髪。綺麗に整った顔は同時に育ちの良さも表しており、品の良い上品な印象を受ける。

 彼の部屋は、大理石で作られた机や暖炉が置かれ、本棚やその他のものも一級品で固められ、床を彩る絨毯も一流の職人による見事な鳥が描かれ、独特の風合いをかもしだしている。

 彼は、机から少し離れた場所に静置してある水晶の元に向かった。

 この水晶は彼の師匠に当たる人物が贈ってくれた高い魔力を秘める貴重なものだ。

 青年は水晶に手をかざそうとして、その手を止める。

「……連絡できない理由があるのかもしれない。無理にコンタクトを取ろうとするのは難しいかもしれないな」

 綺麗な顔に悩みの色が浮かぶ。

 先日、この部屋で一人の若者に頼み事をした。

 彼なら、彼女も気に入るだろう。そう考えて助っ人として送り出した。

 だが、彼はまだ経験の浅い若者だ。

 あの彼女がてこずっている様な問題だ。経験の浅い彼では、彼女を見つけ出す前に、傷つき倒れているのかもしれない。

「……駄目だな。不安な時に考えると余計に不安になってしまう……」

 青年は首を横に振った。

 このままでは思考がどんどんマイナスへと転向してしまう。それは避けねばならない。

 風に当たろう。そう考えて、足を窓に運ぶ。

 見事な天使の姿が小さく彩られ、重たくずっしりとした窓を青年はその細い腕で、ゆっくりと開ける。

 外は青空が広がり、鳥が美しい曲線を描いて舞っていた。

 空の青はまるで吸い込まれるような青さで青年を包んだ。

 こんな青い空の下、彼に出会った。

 噂に聞いていた、剣士や戦士を輩出する村、エアガイア。その村で毎年開かれる武術会。

 いつか行ってみようと考えていた所だった。いつか見てみたいと思っていた武術会だった。

 その武術会で彼を見つけた。

 惹かれたのは強いという事だけではなかった。

 真っ直ぐになんでも見て、いつも前向きな思考。対戦相手にも敬意を忘れず、勝利に酔うのではなく良い試合が出来た事に、良い対戦相手に巡り会えたことに感謝していた。

 その性格も手伝うのか、彼はその武術会で人一倍輝いていた。

 話し掛けると人懐っこい笑顔で笑い、自分の部隊に勧誘すると我を忘れるくらい驚き、そして迷う事無くすぐに引き受けてくれた。

 会って話す時は、彼が自分に最高の尊敬を持っていることが分かるくらい、隠し事の無い真っ直ぐな人だった。

 そう、この間も急な頼みに驚いた顔をしたものの、すぐに引き受けてくれた。

『分かりました。全力でその魔導師を護ります』

 そう、彼は言ってこの部屋を去っていった。

 それからもう何日経ったというのだろう。とっくに現地に辿り着き、目的地に潜入しているはずだ。

 だが、一向に連絡をよこす気配は無い。

 彼には連絡をするためのものを渡しておいた。彼が何らかの事情で直接使えなくても、彼女に会っているならばなんとかなるはずだ。

 だが、連絡は無い。

 不安が一気に襲い掛かってくる。

 あの気ままな性格の彼女ならともかく、彼は連絡一つよこさないような人物ではない。

 青年は、水晶まで走り寄る。

 人の頭くらいの大きさはあるその水晶に、一度は止めた行為を始めた。

 青年の身体の周りを青白い光が包む。精神を集中して魔力を高めた。

 水晶に両手をかざし、魔力を送り込む。何度も何度も繰り返し、魔力を送り続けた。

 コンタクトが取れる事を信じて。


「……いくらなんでも死ぬ……」

 荒い呼吸をしながら、アベルは再び崩れ落ちるように座り込む。

 その傍では、セレナもぐったりと座って、壁に持たれかかりながら呼吸を整えていた。

 全速力で走っていたものの所詮は人間とハーフエルフ。どんなに頑張っても限界はある。

 しかし追跡者にも限界はあるようで、だんだんとその数が減ってきたのを良いことに、なんとかまた先ほどのように、部屋のような内部に潜り込んで休む事になったのだ。

 セレナが言うには目的地はかなり近いらしいのだが、アベルにはすべて同じように見えるため、分からなかった。

 どこもかしこも緑や褐色の薄く透けた半透明な壁と部屋と道ばかりだ。どこに何があるかなんて、とても分かったものではない。

 呼吸を整えている時、アベルは胸に熱いものを感じた。

 なんだか分からないが、胸が熱い気がする。

 身に付けていた鎧を外し、手にはめていた手袋も外してから服の上から手を当てる。

 ……やっぱり、わずかだが熱いような気がした。

 そう、そこにあるものは……。

「もしかしてクリストファー様が授けてくださったペンダント?」

 慌てて首に手を回し、鎖を外してペンダントを外す。確かにペンダントの水晶が薄い光を発していた。

「……何ばたばたしてるの?」

 傍で鎧は外すわ、手袋は外すわ、ばたばたばたばたと行動する人物にセレナはアベルに冷たい視線を投げかける。

 だが、このペンダントに起きている現象がさっぱり分からないアベルは、むしろセレナは助け舟だった。

「これ! クリストファー様から授かった連絡用のペンダント。今まで何も無かったのに急に光りだしたんだ」

「へえ? クリスのくれた連絡用のペンダントね……って連絡用のペンダント~?」

 アベルの必死に言葉に冷たい目をしながら相槌を打っていたセレナは自分の言った言葉で事の次第を認識する。

 連絡用のペンダントがあったなんて話は一度も聞いていない。

「ちょっと、何でそれを今まで言わなかったのよ!」

「言わなかったのも何も……森に入ってから全然機能しなかったから……」

「それは単にあなたに魔力が無いからでしょう! ちょっと貸しなさい!」

 おどおどと言いよどむアベルにセレナは厳しい形相で怒鳴りつけ、アベルからペンダントを奪った。

 手にしたペンダントは薄い光を放っている。だが、連絡をとるには明らかに魔力が足りていないようだった。

 本来、こういった魔術器具にはあらかじめ魔力が封じられており、魔法が使えない人間でも扱えるようになっている。これも勿論例外ではないだろう。

 このペンダントはどこかと繋がり連絡を取るものであり、当然逆からでもコンタクトは可能である。この光からすると、おそらくコンタクトを取ろうとしているのだろう。だが、それはコンタクトを取るための魔力条件を満たしていないようであった。

 セレナには、コンタクトを取ろうとしている人物は容易に想像がつく。彼の魔力ならば、普通はとっくに連絡がとれるはずだ。

 そういえばアベルが先程の言い訳で妙な事を言っていたのを思い出す。

「ねえ、あなたさっき森に入ってから機能しなかったとか言ってたわよね?」

 まだ怒ったままの顔でにらみながら言うセレナに、訳がわからないままのアベルは何故怒られているのかも見当がつかず、戸惑いながら答えた。

「ああ。森で迷いそうになったから連絡とろうとしたら、全然動かなくて……」

「そう、分かったわ」

 そっけなく答えるとセレナは再びペンダントを見つめる。

 アベルの言葉が確かなら、この森自体が魔力を抑えるもしくは奪ってしまうようになっているのだろう。魔力そのものが精霊の力に近い。ドリアードの森、なおかつその樹の中であればその効果は並ではないのだろう。

 となると、足りない魔力をこちらから補えば連絡がつくかもしれない。

「まあ、ものは試しよね」

 セレナは瞳を閉じ、両手でペンダントを包み込んだ。

 セレナの身体が薄い金色を帯びた光が包み、ペンダントを持った手がより強く輝いた。

 何が起こっているのか理解が出来ないアベルはただ見守るばかりだ。

『……! ……ル! ……るか?』

 誰かが呼んでいる声がしてきた。その聞き覚えのある声に、アベルは辺りを見回す。だが、やはり何が起こっているのか分からない。

「はぁ~い、クリス。お久しぶり」

 セレナは瞳を開けると手に持っていたペンダントにそう話し掛ける。ペンダントは白く強い光を放っていた。

『セレナ? セレナがそこにいるのか?』

 さっきより明らかにはっきりした声が聞こえた。

 とりあえずアベルに分かる事といえば、通信機であるペンダントがその本来の機能を取り戻したということだろうか。

 セレナはそのまま話し続ける。

「ええ。クリスの呼びかけだけじゃ通信できないみたい。ここの森、魔力を下げるなり吸収してしまうなりの力があるみたいで。私が魔力を注ぎ足したから、使えるようになったのよ」

『……なるほどね。それでいつまで経っても連絡が無かったのか。セレナ、アベルは無事なのか?』

「……あなたね、幼なじみのお姉様はどうでも良い訳?」

 帰ってきたクリストファーの反応に、セレナは不満げな声を漏らす。確か、彼は自分を心配してアベルを派遣してきたのでは無かったのだろうか。

『いや、なんだかセレナの声が元気そうだったから、心配は無いかな~…と思って……』

 セレナの不満そうな声を聞いて、慌てている声が聞こえた。なんとかフォローしようとしているらしい。

 だが、それに構わずセレナは後ろで呆然としているアベルの方を向いた。

「ほら、あなたの上司が心配しているわよ」

 手招きされて、アベルはセレナの方へ近寄り、ペンダントにおずおずと話し掛ける。

「……あの、アベルですが……」

『アベル! 良かった、連絡が無いから心配したよ』

 ペンダントから尊敬する人の声を聞いて、アベルは不思議な顔をする。

 魔法関係にはうといし、今まで使った事が無かったから、実際に体験してみると不思議でならないのだ。

『まあ、連絡のしようが無かったから仕方が無いのだけどね。今はどこにいるんだ? 大丈夫か?』

 その質問にアベルは困った顔をして、辺りを見回す。何処だと言われても、目に入るのは半分透けた壁ばかりだ。

「ええと……なんだかドリアードの樹に取り込まれたみたいでして……」

 結局説明のしようが無く、聞いたままの知識を言うほか無かった。

 だが、聞いたほうは驚きを隠せない。

『なんだって? ドリアードに取り込まれているのか?』

「どうやらそうみたいよ。しかも内部はおかしいというか……」

 黙って二人のやり取りを見ていたセレナが口を挟む。確かにここからの詳しい話はセレナの方が良いだろう。

 セレナが一通り事情を説明している間、アベルは黙って聞いていた。

 勿論、専門知識のある同士の会話なので、アベルにはさっぱり分からないような言葉も飛び交い、理解を深めるというよりも、より一層分からなくなっただけだったのだが。

『……大体の状況は分かった。どうにかなりそうな程度なのか?』

 一通り説明を聞き終えて、クリストファーはセレナに尋ねる。その声は慎重かつ真剣そのものだった。

「ええ、まだドリアードに会ってみないことにはどうにもならないけれど、なんとかしてみせるわ」

『……分かったよ。だけど、無理だけはしないように。それだけは約束して欲しい』

「分かってる。心配しないで」

 クリストファーの言葉にセレナは頷く。

 それからふと何か思い出したような表情をした。

「ねえ、クリス。最後に一つだけ聞きたいんだけど……」

『ああ、なんだい?』

「ここ最近よね、人がいなくなりだしたのは。それより以前からはそういう報告は無かったの?」

 セレナの質問に、ペンダントの向こうからは悩んでいるような様子が伺えた。

『……そうだね、全部最近の報告ばかりだ。もともと地元ではドリアードがいると噂されていた森だけど、特に人が行方不明になったりすることは無かったようだね。……もっとも、記録が残るより昔の事は分からないけれどね。そういう伝承が残っている事から、昔は起きていたのかもしれない。推測の域を超えないけれど』

 返ってきた答えにセレナは複雑な表情をする。何か、思惑と外れたらしかった。

「分かった、ありがと。結果報告を楽しみにしていなさいね」

『そうすることにするよ。セレナも気をつけて。アベル、済まないけれど宜しく頼むね』

「あ、はい! 分かりました!」

 突然名前を呼ばれて、アベルが慌てて答える。その言葉を聞いてから、ペンダントの光は急速に弱まって、消えた。

「宜しく頼むって……失礼しちゃうわ」

 最後のクリストファーの言葉が気に入らないらしくセレナはふてくされた表情をしている。

「……でも、本当に王子相手に普通に話すんだな……」

 先程までのやり取りを思い出しながらアベルはそう言葉を漏らした。確かにあの会話から聞いていてもセレナと王子は気心の知れた相手のようだった。

 アベルの言葉にセレナは当然といったような顔をした。

「だから、言ったでしょ。クリスは私の弟分なんだから」

 私の方が偉いのよ、と言わんばかりにセレナはきっぱりと言い放つ。先程の会話を聞く限りでも、彼女はいつもそうなのだろう。クリストファーが苦労している様子がなんとなく分かるような気がした。

 だが、セレナにとっては気にくわない『宜しく頼む』も、アベルにとっては重大なものだった。クリストファーの分もしっかりと彼女を護らなければ、そう改めて思った。

 アベルが決意を新たにしている一方で、セレナもまた決意を固めていた。

 セレナはアベルに呼びかけてきた者の正体が気になっていた。最近行方知れずになった人々も、実はアベルと同様に引き込まれたのかもしれない。そのきっかけになるような事が起きていないかが気になったのだが、事件として扱われ始めたのはあくまで最近の事らしい。

 やっぱりドリアードに会うしか道は無いようね。

 セレナは、外を覗き見る。先程必死の思いで走ってきたが、走っていく方向だけは間違わないようにしてきた。

 もうすぐ、動物で言えば心臓部に当たる所にでる。

 緑や半透明に瑞々しく彩られた周囲を見回す。敵はまだいないようだ。

 チャンス到来といった所か。

 視線を再び内部に戻すと、傍ではアベルが再び鎧を着込み、手袋をはめ直していた。大体の支度はできているようだ。

「アベル、行くわよ」

 セレナの言葉にアベルは頷く。とにかく動き出さなければ始まらない。

 二人はお互いの顔を見合わせて頷くと一気に飛び出し、目的の場所へと走り出した。


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