▼レン は ビビ と であった !
「いやいやいやいやいや!!そこは拒否しちゃ駄目でしょ!」
驚きのあまり椅子ごとひっくり返るストロベリー王。一方のレンは普通に立ち上がり、だってー、と砕けた口調で続けた。
「俺まだ15ですし、国なんて救えるわけないですし、そもそも俺まだ戦士になったばかりですし、魔法とか使えないですし」
「ええぇぇぇぇいっっっ、ですしおすしうるさぁぁぁぁぁぁい!!」
ガバァッと起き上がる王。
「おすしは言ってません」
「とにかくじゃ、お前には国を救ってもらわねば困るのじゃ!おすしだかおこめだか知らぬが、旅に出るのじゃい!」
「おこめも言ってません。にしてもやはり俺一人で行くには無理がありますよ?」
レンがそういうと、王はフッフッフーとありがちな風に笑った。
「レンよ、誰がお前ひとりに行かせるといった?」
「えっ、それじゃあ付き人がいるんですね?」
「ああ、ざっと七人」
「多ッ!?」
そこまで信用されてねえのかよ!なら最初から他の人に行かせればいいだろ!
「ちなみにお前以外全員女子じゃ」
「俺女子と同等ッ!?」
なんでそんなになめられてんの俺!?なんかやらかしたか俺!?
「彼女らは言うならば戦闘のエキスパート、かなりの実力者じゃ。だから安心してよいぞ」
「は、はぁ…」
まだ行くって言ってないのになぁ…、と思っていると、後ろの扉がギイィと開いた。
「いつまで彼をひきとめているんですか、王様」
聞こえたのは、まだレンと同じくらいの年ごろの少女の声。彼女はつかつかと王に歩み寄り、レンの隣に並んだ。
真っ白なブラウスの上に、桃色のマントを羽織り、下半身にも桃色のフレアスカートをはいている。膝まである長いブーツや腰ベルトに付いた三日月のアクセサリーの金色が、自己主張の強い桃色をうまくまとめているように見える。
その服の色と同じ桃色の髪は、低い位置で金色のリボンによってツインテールに結ばれている。瞳はレンと同じ金目だが、彼の猫の様な鋭い目とは違い、パッチリとした、大きく淀みのない綺麗な目だ。
「おお、すまんの。レン、紹介しよう」
王はレンに向き直った。
「彼女はビビ・マッドピンクドラゴン。魔法使いだ」