virgin バージン 特別編 クリスマスVer.
私がクリスマスまでに素敵な恋人を見つけて恋をする物語です。
毎日を忙しく暮らしている私は、高校生でアルバイトをしている16歳の少女なのです。
アルバイトは、タレントです。
収入なんて気にしない。
好きな事をしてお金を貰っているから生活費以外全部、お母さんが持っています。
私の一番欲しいのは、恋人です。
素敵な男の子と恋をしたい。
それが一番の望みです。
もうすぐクリスマス。
それまでにきっと素敵な彼氏を見つける。
私、水沢 優希の目標は、ここにあります。
でも、彼氏が出来たら大きな問題3つがあります。
一つ目は、私の職業のタレントは、誰か男の事歩いていただけで、大きく変にスキャンダルになって…それこそ、気が滅入るかもしれないし、ファンの人達にも辛い思いをさせるかもしれない。
二つ目は、私の性格、お子ちゃまっぽい話し方です。収録現場ではウケるのですがそれは、お芝居じゃ無くて本当の私の話し方なのです。
三つ目は、時間です。こんな忙しい毎日の中で本当に彼氏が出来るのか、そして、出来たとしてすれ違いの毎日
となってしまうかもしれません。
でも、そんなの優希は嫌なんです。
それでもいいって…優希の事をきちっと守ってくれる素敵な彼氏が欲しいんです。
恋など仕事と勉強が手一杯でそんな暇が無いかもしれない。
でも、クリスマスまでに彼氏が欲しい。
クリスマスの夜にキスされてみたい。
それから、それ以上の事もしてみたい。
無理かもしれないけど優希の願いを神様が叶えてくれると思うんです。
きっと、願いは、叶う。
信じれば叶うと思います。
12月に入ってクリスマス、そして、年末年始の番組の収録が始まる。
殆ど朝から晩までハードなスケジュールが続いている。
それを一つ一つ熟していく。
毎日それだけで疲れて眠ってしまうのです。
本当なら…タレントでなければ…素敵な彼氏と出会う事だって出来たと思う。
でも、好きでしている歌を犠牲にして、捨ててまでそんな気にはなれない。
そんなある日、一日だけOFFの日が貰えました。
このチャンスを大事にするしかない私は、ファンや雑誌の記者たちに見つからない様に変装して外に出る事が出来たのです。
久しぶりの外出、誰にも縛られない解放感が優希の中で凄く心地良く感じてました。
そんな中、油断もあったと思います。
そして、出会いのきっかけは、そんな油断から生まれて来たのです。
駅前の自転車置き場の通りを歩いている時の事でした。
私の踵が止めてあった駐輪場の自転車に当たり、将棋倒しに何十台も倒れてしまったのです。
慌てて私は、手を差し伸べ自転車を押さえ様としたのですが間に合いませんでした。
でも、不幸中の幸いで、けが人を出す事はありませんでした。
気の遠くなる様な自転車を起こしていく作業を淡々と私一人で行っていました。
私が水沢 優希だって知れば大勢の人が助けてくれると思う。
だけど、そんなのは本当じゃない。
冷たい世の中の人達を知ってしまった瞬間かもしれません。
そんな事を思いつつ、ひたすら自転車を起こす作業に没頭していました。
背後に人の気配を感じた私は、振り向きざまにその人を見上げました。
彼も淡々と何も言わずに自転車を起こしていくのです。
そんな彼の姿に見惚れてしまっていた私は、自転車を起こすのを忘れてしまってました。
「お前!何をぼーっと見てるんだよ!お前が倒したんだろう。一緒にやれよ!」
彼に怒鳴られた私は、「ごめんなさい。」と謝り自転車を起こし始めました。
それは、私くらいの年の男の子。
顔がよく目ないけど恰好いい。
素敵な人。優しくて優希の彼氏にしたい。
そんな想いを抱きつつ自転車を起こす。
そして、周りを見ると、いつの間にか何人もの人が自転車を起こす作業を手伝ってくれたのです。
最後の自転車を起こし終わった私は、頭をペコリと下げてお礼を言いました。
すると、年配風のおじさんが私に声を掛けてきました。
「姉ちゃん、運が悪かったね。ここの自転車、倒れ止めがしてないんだよ。駐輪場の親父に言っとくからよ、今日は、勘弁してやってくれな。」
私は、そのおじさんにもお礼を言った後に最初に手伝ってくれた彼の姿を探しましたがどこにも見当たりません。
仕方なく私は、彼の事を思いつつ俯き加減で、行く宛も無く歩きました。
ただ単に歩いていた私は、町を感じる事も出来ずにいたのです。
そして、イルミネーションに飾られた一軒の喫茶店を見つけ、そこに入りました。
店員が注文を伺いに来ると私は、その店員の顔を見上げました。
すると、さっき助けてくれた男の子だったのです。
神様の巡り合わせかもしれません。
優希「さっきは、ありがとう。助けて貰って…」
その男の子は、無愛想なのか、それとも、緊張しているのか…
「ご注文を…どうぞ…」
そう言うのみでした。
優希「じゃあ、コーヒーをお願いします。」
店員「解りました。ありがとうございます。」
そう言って引き下がります。
暫くして、さっきの男の子がコーヒーを持って運んでくる。
名札があったのでそれをちらっと見た。
『神崎 伸也』それが彼の名前だった。
神崎「どうぞ。」
優希「あなた、神崎 伸也って名前なの?」
神崎「はい。あなたは、水沢 優希さんですよね。」
優希「知ってたの?」
神崎「自転車を起こしている時に気付きました。」
優希「あれからあなたを探したのよ。」
神崎「アルバイトに間に合わないので急いでいたんです。」
優希「そうだったの。」
神崎「僕、今、凄く緊張してるんです。」
優希「どうして?」
神崎「有名な芸能人が目の前にいるんですよ。誰だって緊張しますよ。」
優希「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。優希は、そんな事ないよ。」
神崎「お話して大丈夫ですか?」
優希「でも、あなたこそ、勤務中なんじゃないの?」
神崎「大丈夫です。見てください。お客様は、いらっしゃいません。」
優希「要は、暇なんだ。」
神崎「はい、そういう事になります。」
優希「じゃあ、神崎君、優希のお友達になってくれる?」
神崎「僕が…ですか?いいんですか?僕は、普通の男ですよ。」
優希「普通の男の子だからお友達になりたいの。」
神崎「優希さんさえ良ければ…是非…」
優希「優希の事は、優希って呼んで欲しいの。」
神崎「えっ…でも、今は出来ません。僕…恥ずかしいです。」
優希「大丈夫だよ。だったら、電話番号も教えてあげるよ。そしたら、いつでもお話出来るでしょ。」
神崎「でも、僕なんかに優希さんの電話番号なんて聞いちゃって大丈夫なんですか?」
優希「さっき言ったでしょ。神崎君は、優希のお友達って…私は、神崎君の事を信じてるから大丈夫だよ。でも、その代わりに私にも神崎君の電話番号を教えて欲しいの。」
二人は、電話番号を交換した。
神崎「優希さんに簡単だけど僕の自己紹介をさせて下さい。名前は、神崎 伸也、年齢は、17歳の高校生です。」
優希「私の一つ上なんだね。私が敬語じゃないといけないのかな?」
神崎「そんな事は、気にしません。大丈夫です。」
優希「じゃあ、私も自己紹介を…」
神崎「わかってます。優希さんは、16歳の高校生でタレントですよね。」
優希「そうだよね、あれだけテレビに出てれば、誰だってわかるよね。」
神崎「はい。今日は、お仕事をしないんですか。」
優希「今日は、お休み、一日中大丈夫だよ。」
神崎「じゃあ、僕のバイトが午前中で終わるので一緒にどこか行きますか?」
優希「いいの?…二人だったらデートになるよ。」
顔を真っ赤にする純な神崎君の顔を見て私は、胸に熱いものを感じてしまった。
神崎「あの…いいんですか…」
優希「私は、嬉しいよ。初めてのデートなんだよ。」
神崎「僕も嬉しいですけど…後が怖いような気がします。」
優希「ファンの人やスキャンダルでしょ。私を隠してくれるなら、大丈夫だよ。神崎君に迷惑を掛けたくないもの。」
神崎「でも、夢みたいです。優希ちゃんとデートなんて。」
優希「やっと、優希の事、優希ちゃんって言ってくれたね。ありがとう。」
神崎「あっ…ごめんなさい。」
優希「何で謝るの?」
神崎「そうだね。変だよね。それじゃあ、待ち合わせは、どうしようかな?」
優希「神崎君のバイトが終わるまでここで待ってる。」
神崎「後一時間もあるよ。そんなに…」
優希「その代わり、このコーヒー神崎君のおごりでどうかな?」
神崎「そんな安いのでいいの?」
優希「高い安いなんて関係ないわ。優希は、神崎君が側にいてくれたらそれでいいの。」
神崎「優希ちゃん、じぁあ、待っててくれる。他のお客さんが来たみたいだから。」
優希「うん。伸也君!」
神崎は、そんな優希の言葉に顔がまた赤くなる。
そして、神崎は、そのお客の元に向かって行った。
…そして、午後…
神崎は、仕事を終えて表で待つ優希の元に向かう。
デートは、勿論、神崎にとっても初めての経験だった。
しかもデートの相手は、有名人。
楽しみよりも緊張の度合いの方が強い。
当然と言ってしまえばそれまでだと思う。
そんな中、神崎 伸也とタレント 水沢 優希のドキドキの初デートが始まる。
仕事場から出てきた神崎の腕を優希が掴む
優希「行こっ…」
余りにもストレートな優希の行動に戸惑いを感じながら神崎は、優希に着いて行く。
神崎「優希ちゃん、どこに行くの?」
優希「わかんない!でも、楽しいよ。」
神崎「ちょっと…まずいよ。周りがちらちら見てるよ。」
優希「それなら…」
優希は、神崎の手を引っ張り走り出す。
神崎「うわっ…」
二人とも息を切らしながら人が少ない陸橋の下に入った。
神崎「だから…心配していた通りになったでしょ。」
優希は、笑いながら「面白かったよ。ドキドキした。」
そんな言葉に返す言葉が見つからない神崎は、そのまま、あっけに取られていた。
切れていた息も次第に静まり、神崎は、優希に話しかける。
神崎「優希ちゃん…って結構強引なのかな?それとも…何も考えてないの?」
優希「何も考えてないよ。でも、楽しいよ。こんな楽しいの、私、最近無かったわ。」
神崎「良かったのかな?僕には、解らいけど…」
優希「深く考えないで…ありのままがいいの。伸也と一緒なら何でも楽しいの。」
神崎「そんな物なんだ。」
優希「そんな物!わはっ…私、全部脱ぎたいよ。サングラスも帽子も全部!」
神崎「わっ…解ったよ…優希ちゃん。狭いけど僕の家に来る?」
優希「行きたい!伸也のお家!」
神崎「優希ちゃんの住んでる所みたいに立派じゃないよ。」
優希「そんなの関係ないもん。優希は、伸也のお家が見たいだけだよ。」
神崎「じゃあ、着いてきて…」
狭い路地の人気の少ない所をあえて選んで神崎は、優希と共に歩き出した。
くねくねした道のりを優希と共に歩く。
優希「伸也…疲れたよ。おんぶして…」
神崎「えっ…おんぶって…」
優希は、神崎の後ろに回り抱き付いた。
ふんわりした優希の胸が神崎の背中に当たる。
神崎は、その刺激に耐え切れず、勃起してしまったのだ。
必死に隠す神崎は、真っ赤な顔をして優希をおんぶした。
歩くたびに優希の胸が肩に当たり心地よく感じてしまう。
納まらない股間を必死に隠しつつ、やっとの思いで家に到着した。
優希の真正面に立つ事が出来ない神崎は、両手で股間を押さて部屋に入る。
帽子とサングラスを外した優希が神崎を追い詰めていく。
優希「伸也?どうかしたの?」
神崎「どうもしないよ。ただ、ここが…」
優希は、両手で押さえる神崎の勃起した股間をまじまじと見る。
神崎「見ないでよ。」
更に近寄ってくる優希に声を掛ける。
神崎「優希ちゃん…まずいよ。近寄らないで!」
優希「ねえ、両手をどかして見せてよ。」
神崎「ダメ!それだけは、出来ないよ。」
後退りする神崎、そして、追い詰める優希。
後ろを見ていなかった神崎は、段差に躓き倒れてしまった。
その拍子に優希も神崎の上に乗っかかる様に倒れ込んでしまった。
優希「うわっ…」
倒れた拍子に神崎の股間に手が触れる。
優希「嫌っ…でも、大きい…」
神崎「だから…言ったじゃないの。そんなの当たり前でしょ。年頃の女の子が背中で大きな胸を…」
優希「感じちゃったんだ。優希で!」
神崎「優希ちゃんは、こういうの平気なの?」
優希「初めてだよ。でも、想像通りだったかも…」
神崎「やっぱりそんな事出来ないよ。」
優希「それはね。確かに…でも、伸也ならいいかも…」
神崎「嘘でしょ…だって、今日優希ちゃんと初めて会ったばかりなんだよ。」
優希「伸也は、経験あるの?」
神崎「そんなのある訳ないよ。だって、まだ高2だよ。」
優希「そうだよね。無いのが普通だよね。」
神崎「優希ちゃんは…その…」
優希「そんなのある訳ないでしょ。」
神崎「良かった。」
優希「私、そんな女の子じゃ無いわよ。」
暫く会話が途絶えてしまう。
そんな状態に焦りを覚えた神崎は、テレビをつける。
優希のCMが流れる。
優希「わたし…こんな風なんだ…」
神崎「優希ちゃんは、テレビを見ないの?」
優希「見ない。見る暇がないの。」
チャンネルを変えてみる。
どのチャンネルに変えても優希が映っている。
優希「こんなに…何でよ…こんなのって…」
優希の涙が頬を伝い流れ始める。
神崎「知らなかったんだ…優希ちゃんは、自分の事に気付いてなかったんだ。」
優希「知らない…。」
神崎「優希ちゃんを僕が独り占め出来ないんだよ。こんなに全国の人に愛されているんだよ…」
優希「でも、私は、伸也を独り占めしたいの。」
神崎「………」
優希「伸也…キスして…」
神崎「出来ない…僕がみんなから非難を浴びる事になるんだよ。」
優希「嫌っ…だったら、お仕事を辞めるもん。」
神崎「どうして、そこまで…」
優希「恋がしたいの。お金も、名誉も何もいらない…抱いてよ…伸也…」
神崎「僕でいいなら…でも、それは、クリスマスの夜にしよ。」
優希「うん。伸也が好き。私の彼氏になってくれる?」
伸也「優希が望むなら、クリスマスの夜に恋をしようよ。」
優希「ありがとう。クリスマスの夜を楽しみにしてるよ。」
そして、町中のイルミネーションが消された深夜のクリスマスに二人は、あの陸橋の下で抱き合い長い長いキスをした。
それは、舞い降りてきたサンタからのプレゼントだったと思う。
ありがとう…ひと時のアバンチュールを…
…おしまい…