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孤独のヒカリ

作者: 紫月

ちょっと悲しい結末……デットエンドものです。

ハッピーものをお望みの方は、ほかの作者様のもとへGO!ww



僕は、走っている。


何処へ向かうべきかもわからずに。


ただひたすら走っている。


わかっているのは一つだけ。


自らの腕の中、


すでに虫の息の少女、


愛しい君を護るために、


助けるために走っている。


もう無理だ。


わかってる。


もう、確実に助からない。


わかっていて、僕は走る。


止まればいい。


立ち止まって、


痛む足を休めればいい。


なのに足は止まらない。


止まれない。


諦めなければ、きっと助かる。


心は叫び、理性は囁く。


無理だ、もう助からない。


頭の中、響く声を遮るように、


僕は君に言葉をかける。


唯一言、


「死ぬな」


と。


そして僕は走り続ける。


悲鳴を上げる、心を抱いて。


わかっていた。


本当はずっと、わかってた。


君の時が、既に止まっていたこと。


認めたく無かった。


ゆっくりと、けれど確実に、


熱を失い、揺れ動くからだ


引きかれた心から、


飛沫しぶきを上げて、溢れた雫が頬を濡らす。


次々と、止まることなく頬を伝う。


嗚咽おえつを堪え、必死に走る。


消えてしまった命の灯火ともしび


二度とは帰らぬ愛しい少女。


それでも僕は走り続ける。


世界中で唯一人の、


愛しい少女のむくろかかえ。


何時までも。


何処までも。


空虚な世界を走り続ける。


揺らぐことなき愛情と、


霞むことなき哀しみとを、


愛しい君の骸に込めて。


いつしか君の躯は枯れ果てて、


僕の腕から零れ出す。


砂のように。


灰のように。


君の躯は風に舞い、


その形をも失ってゆく。


君を乗せた柔らかな風が、


僕の頬をそっとでた。


少し冷たいその風は、


僕の頬を撫で続ける。


優しく、


僕の全てを包むように。


柔らかな風に身を任せ、


眠るように、瞳を閉じた。


もう、僕の身体は動かない。


全ての音が遠のいて、


全ての感覚が消えてゆく。


僕の意識が闇に消える。


その瞬間、


一際大きな風が吹いた。




―――泣かないで…




君の声が、


聞こえた気がした。



最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

ご満足していただけたら光栄です。(^ω^)

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