第1話
(現在はこちらだけの発表作品で、自由気まま更新となります)
苦しい……。
息が……息が出来ない。
どうして?
どうしてこんなに苦しいの?
疑問に思ったとたん、ハッと目が覚めた。
なんだ夢か……。
現実じゃなことに安心したけれど、なぜだが息苦しさは変わらない。
それに動けなかった。
視界は真っ白なままで、まだ夢の続きでも見ているのだろうか?
そう思った瞬間、口の中で何かが動いて驚いた私はついソレを噛んでしまった。
「いっつ!」
目の前の真っ白な視界が、どんどんクリアーになる。
いや、真っ白だと思っていたのは何かで、それが離れていったおかげで視界は青空一色になった。
視界の片隅に人がいる。
私から離れていった何かとは人だったのだ。
少しだけ上半身を起こしてその人をちゃんと見てみる。
光に輝き流れるような美しい銀糸の束としか思えない長い銀髪。
細められ、銀の長い睫が影を落とす瞳は金。
キメ細かそうな黄金のように光る褐色の肌。
計算されつくした完成した美の象徴がそこにある。
目の前で手の甲で口を拭っているその人は、見たことないほど美しい人だった。
多分、この時の私は口をぱっかり開けてその人に見とれていただろう。
だって、こんな美人な人が目の前で生きて動いているなんて信じられない!
び、美人すぎる!!
絶世の美女!
傾国の美姫!
目の保養。
福眼。
すっかり見とれている私にその人がにっこりと微笑みかけてきた。
美しい微笑みを向けられて私の心臓がバクバクし始める。
素晴らしい!
微笑みを1つ向けられただけで人をこんな幸せな気分にさせるとは……。
同性の私ですらこう思ってしまうほどなら、男だったら興奮し過ぎて鼻血ものだ。
誰だこの超美人さんは?
なんで私の目の前にいるんだろう?
そんな疑問を考えた時だった。
「あれ?」
超美人さんの瞳は金色。
でも金色の瞳を持った国の人なんて知らない。
しかも超美人さん……。
何か耳が……。
……長くて尖がってる?
綺麗な銀髪から見える耳の形は映画で見たことがあった。
ファンタジー映画のエルフ族の耳とすごく似ている……。
もしかして映画の撮影でもしてるの?
そう思って辺りを見回せば、水平線まで続く平原のみ。
私はそのど真ん中に寝ていたらしい。
キョロキョロ辺りを見回していたら、いきなり視界が動いた。
背中に柔らかい草の感触がする。
どうやらまた倒れたらしい。
視界に超美人さんが入ってきたかと思ったら、すぐに視界は超美人さんだけに占められた。
切れ長の銀色の長い睫に縁取られた美しい金の瞳がすぐ目の前にある。
それに魅入られたように見てたら唇に柔らかい感触がした。
いくら私でも今何が起こっているかぐらいは理解できる。
超美人さんにキスされているのだ。
ってことはさっき苦しかっていうのは超美人さんにキスされていたから?
驚いて少しだけ口を開けたらすぐに生温かいものが入ってきて口内を探り出した。
いやいやちょっと待って!
女同士でキスって、どうして?
超美人さんの肩に手を置いて押し戻そうとしたら、胸が触られた。
慌てて逃げようとしたんだけど、超美人さんが上に圧し掛かられていて動けない。
抵抗しようとじたばたするがまったく意味を成さず、手がするりと服の中に入り込み直接私の胸を触れた。
「んん!」
抗議の声を出したくてもキスされて声が出せない。
暴れてもびくともしなくて、やっとキスから開放されたと思ったらいつの間にか前がはだけており、胸の谷間にキスが落とされすぐに乳首に吸い付かれた。
女の人に胸舐められたぁ~!
ありえない!
これは夢なのか?
倒錯の世界!
これはいわゆる百合の世界ってやつ?
私はけして同性愛者ではない。
超美人さんの下から抜け出そうとしたけれど、がっちりと捕まっていて逃げられなかった。
何でこんなに力がるんだろ?
私の腿の内側に超美人さんの手が滑り込む。
暴れていてもスカートなので簡単に触れられてしまう。
「あっ!」
指がショーツに触れられ体が大きく痙攣した。
えっちの経験は少ないものの初めてじゃないが身持ちは堅い方だ。
それなのに初めて会った人に触られて感じている自分に驚いてしまう。
しかも相手は同性。
いや問題はそれだけじゃない。
ここは美しい青空が広がる野外。
こんな所でコトをいたしたら、それはつ・ま・り青姦!
それだけはわかっている。
なんとか阻止しなければ……と思うのに、パニックになっているうちに、あれよあれよという間に服が脱がされていく。
この人脱がすの早っ!
このままでは本当に百合の世界に踏み込んでしまう!
それはマズイ!
慌ててる私の前で超美人さんが上着を脱いだ。
かなり前の開いたブラウスから超美人さんの肌が見える。
それを見て思わず目が点。
超美人なのに、超美人なのに……前がまな板のようにのっぺり……。
いや、のっぺりではない。
すべすべに見えるお肌。
そしてそこには美しい女性には不釣合いなまで筋肉が……。
無意識にその筋肉に手を伸ばして触れる。
弾力があるのに凄く硬い。
あんなに細身なのに……。
ダビデさんも真っ青の筋肉美。
感嘆しつつさわさわと触れていた手が包まれるように握られる。
「あ、ごめんなさい……」
「いいえ」
自分が許可もなく無断で触ったことに気づいて謝ると、優しく微笑まれた。
何か……超美人さんってすごくハスキーな声。
ってか、男の人みたいな声してる。
あれ?
男の人みたいな声?
目の前をもう一度よく見る。
のっぺりとした筋肉質の胸から視線を下へ落とす。
見れば超美人さんはズボンを履いている。
そして股のところだけが不自然に盛り上がっていた。
……。
「えっと……あれ?」
「どうかしましたか?」
「あの……」
視線が下からそらせない。
「う……そ……だよね……」
「何がですか?」
「もしかして、あなた……男?」
非常に信じられないけれど、いや信じたくないけど、この超美人さんは……男!?
「ええ、そうですよ」
そう言って超美人さんは微笑んだのだった……。
詐欺だぁー!
(2011/10/13修正)