なつやすみ
「夏休み、夏休みなんだよ、夏休みって言ったら青春、なのになんでこんなことしてるの?」
ぼくの部屋で学校の宿題を広げながらの幼馴染の心の叫びはわかる。しかし、君はいつも夏休みの宿題、ギリギリまでやらないでしょ。それに君もぼくも受験生だよ。やることはわかってるよね。
「いじわるぅ……ごほうびが欲しいなぁ」
はぁ、これだから。君は一緒の学校行きたいって言ってたでしょ。ほら、いつもより宿題は少ないんだから頑張りな。
「ごほうび……」
わかった、わかったから、一つだけ言うこと聞いてあげるから。でもこっちにも選ぶ権利あるからね。できることとできないことあるし。
「けちぃ」
あ゛? 何か言ったか?
「いえ何でもありません。わかりました、がんばります」
……
「ねぇ、ここ、どうやって解くの?」
ここはね、こうやって、こうやって、こうじゃ。
「すごーい、うん、よく分かった。ありがとう、じゃこっちはこれで良いのかな」
そうだよ、よくできました。続きもこの調子で頑張れ。
「うん、がんばる」
……
「疲れたぁ」
さすがに疲れたな。そろそろ休憩しようか。
「ねぇ、ここまで頑張ったんだからごほうび」
うーん、まだ終わってないけど。
「ごほうび! ごほうび! ごほうび!」
わかったよ、なにすればいい?
「うーんとね、キス」
却下。
「けちぃ。じゃ、えーとね、ひざまくら!」
しかたないなぁ、わかった、こっちにおいで。
幼馴染がローテーブルのこちら側に回ってくる。そしてぼくの膝にそっと頭を乗せる。見上げる顔がかわいいな、おい。
「ねえ、かわいい?」
そんなことないよ……。
「えー、かわいいって言ってよ」
わがままなんだから。
そういうとぼくはかがみこみ込んで瞬のおでこにキスをした。
「えへへへっ」
にやける瞬はかわいい。男の子のくせに女の子のぼくよりかわいいのは反則だと思うよ。




