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第参幕(その一)

物語の所々にオリジナルシリーズに出てきた登場人物や小ネタを含みますので、

オカ研の旗のもとを先に読んでいただきましたらより一層楽しめていただけます。

我々の知らぬ存ぜぬところで途轍もないほど凄いスピードで地球に向かう謎の物体があった。それをいち早く察知したのが特殊部隊のレーダーである。

「未確認飛行物体発見!猛烈なスピードで大気圏を突入!」

「周りに民間の航空機は飛んでいないか確認せよ!」

「目標地点はGポイント辺り。直ちに戦闘機部隊出動せよ!」

「物体は空中分解の可能性あり戦闘機部隊は巻き込まれぬよう注意せよ!」

管制官からは凄まじい緊張と興奮でやり取りがされていた。


ところ変わり・・。緊迫する特殊部隊の交信とは裏腹に、山の麓から日の出が登り平和でのんきな日常が始まるころ、エンジンの爆音とともに沙織は綾乃と一緒に綾乃の所有する自家用ヘリに乗り、噂の“塔の丘”へ向かっていた。

「わたし綾乃と出会えて嬉しいわ。しかも大金持ちのお嬢様だなんて知らなかったわぁ~」

沙織は瞳を輝かせてお世辞とも取れる口調で言った。

「そんなのあまり気にしてはいないわ。それよりもう少しで噂の場所よ」

綾乃は素っ気な態度で冷静なふりをしているが案外・・、鼻高々だ。

「見てなさい必ずや宇宙人をひっ捕まえてオカルト研究会発足の狼煙を上げるわよっ!」

沙織は闘志に燃えている。

「そうよねぇ、学園執行部をギャフンと言わせなきゃ」

綾乃も沙織の熱意に賛同している。

「アイツ等ときたら“部”を立ち上げるには何か献上品を持ってこい!って言うのよ!頭にくるでしょーーー!こうなったら目にもの見せるやるわ!」

沙織は学園執行部に対して根っこからの因縁があるらしい。

「それで宇宙人を御用達するって訳ね!」

綾乃も一役買っている。

「そうよ。信頼なる情報によればUFOの目撃も多いし、噂の場所は宇宙人の基地らしいわよ。宇宙人も一人ならずわんさかいるに違いないわっ!」

沙織は嬉しくてたまらない。

「信頼なる?ってどこの情報よ・・」

綾乃は笑って聞き過ごした。

「もうすぐよ。開けた丘が見えてくるはずよ」

沙織は窓から顔を乗り出し下を眺めた。

ヘリコプターは急上昇してせり上がった山の峰を越え、ポカンと広大に大きく広がった草木の生えていない砂地の丘に出てきた。ところが・・。

「ちょっと見て!見てっ!季節外れの雪でも降ったのかしら!?」

綾乃が目を丸くして驚いたように空高く飛ぶヘリコプターからの眺めからは、一面が雪に覆われ銀世界の大地となっていた。

「とりあえず降りてみましょう」

ヘリコプターは着陸態勢に入り丁度よい地面に、降り積もった雪を勢いよく舞い散らせながら着陸した。

「何が起こったんというのでしょう?この丘だけに雪が積もっているなんて・・。まるで別世界だわ・・」

最初に沙織がはしゃいでヘリコプターから飛び出した。かなりの積雪だろうか、ザクザクと歩く音が聞こえてくる。

「これっ!雪じゃないわ!何かの結晶よっ」

綾乃はゆっくりとヘリコプターから降り、積もった雪を山盛りすくい上げた。

「そう言えばそうね。冷たくないわ」

沙織は履いているのが運動靴だったということを忘れていた。

「そうすれば、この丘で何が起こったんというのでしょう?」

沙織は知らずと同じセリフを二回言った。

「見てっ!あっちは噂の“塔”がパーになっているわっ!」

二人が周りを見渡していると綾乃が大声で叫んだ。白銀に覆われた靄のなか、ようやく噂の“塔”らしきものが全貌を現した。

「見事なオシャか具合ね・・」

沙織は感心したように呟いた。

「取り敢えず近くまで見に行きましょう」

綾乃の誘いに沙織も“塔”まで駆けていった。傍まで寄るとそこには鉄塔の支えだった様な巨大な四本の足の部分だけが残り、せり上がった肝心な塔の部分は溶けた様に崩壊してへチャゲていた。

「まるでUFOがこの“塔”に向かって突進して来てぶつかったって感じね」

沙織は無残な姿になった“塔”を見上げておもむろに言った。

「脇見運転でもしてたのかしら」

綾乃も一緒に溶けて崩壊した“塔”を見上げた。

「よくあるブレーキとアクセルを踏み間違えたんじゃない」

沙織はいたずらっ子の顔になり綾乃の顔を見た。

「まさかぁ~」

綾乃もニンマリと口を開け笑い出した。それにツラれ沙織も笑い出した。

「チョット待って!なにか聞こえない」

二人して笑っていると綾乃が何かの気配を感じた。

「そういえばなにか、うーん、うーんって言ってる」

確かにごく僅かに音が聞こえる。沙織も耳を澄まし音がする方向へと意識を集中させた。

「ちょっと!あんなところに人が倒れているわよ!」

綾乃が音のする方向へと目をやると、雪のような結晶に埋もれ唸り声を上げている人影を見つけた。二人が大急ぎで駆け寄り埋もれた体を引っ張り上げると、同じ学校の制服姿をした二人の少女が出てきた。

「沙織・・。やっぱり助けに来てくれたのね・・」

意識が朦朧としている一人の少女・・、翠が呟いた。

「綾乃・・。待っていたわ・・」

もうひとりの少女・・、由香も薄れゆく意識のなか気だるく呟いた。

「なにっ!このひと!初見はつみなんですけど!」

沙織が翠を抱き寄せながら微妙な顔をした。

「私だってこんな子、初ご対面よ。とにかく何がなんだか分からないけど、二人をヘリまで連れていきましょう」

綾乃は由香を抱え冷静な判断をした。二人は翠と由香をおんぶして、足場の悪い高く積もった雪のような結晶をゆっくり確実に踏みしめながらヘリコプターの着陸地点を目指した。

「まだかしら・・。そんなに遠くはなかったはずなんだけど・・」

綾乃は由香を背負ったおぼつかない足取りで不安になってきた。

「この子おっもーーいっ!まだなのぉーー!」

沙織も翠を背負いゼーゼー言っている。

「時間も経っているし、こんなに歩くなんておかしいわ・・。これはもしかして・・。道に迷ったっーー!」

綾乃の心の叫びが大きく声に出た。・・つづく。

沙織「登場人物の中で必ず大金持ちは一人はいるわね」

翠 「何故かつきものなのよねぇ」

由香「このごろ初対面が多いわね」

綾乃「新鮮でしょ」

全員「次回、9月28日土曜日更新!」

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