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第弐幕(その二)

物語の所々にオリジナルシリーズに出てきた登場人物や小ネタを含みますので、

オカ研の旗のもとを先に読んでいただきましたらより一層楽しめていただけます。

「ようやく助けに来てくれたのねっ!待ち遠しかったわぁ~」

沙織は不思議な顔で見ている。

「ずっーと!独りで寂しかったのよぉー!涙が出そうになったわぁー」

由香は怪訝な顔で見ている。

「いいからっ!ここを早く開けてちょーだいっ!」

綾乃はどうしていいのか分からない。三人は何かと、ざわめき飛び交っている、独り言のような声の方向へと恐る恐る足を向けた。

「ずっと心待ちしていたのよぉ~。絶対!あなた達が助けに来てくれると心から願っていたわぁ~」

暗がりのなか“コトリバコ”の檻をそぉーと覗き込むと、そこには翠が涙を浮かべ鉄格子にしがみついていた。

「あのぉ~・・、どちら様でしょうか・・?」

三人のおぼつかない返答に翠が安堵な表情を浮かべていたのもつかの間、一足単に怪訝な顔になった。

「もしかしてぇー!沙織に由香に綾乃に、私の顔を忘れたの!」

翠は咄嗟に出した自分の大声と驚愕の事実に驚きの表情が二倍になった。

「気持ち悪っ!なんで私たちの名前をこの人が知っているのよ!」

沙織の全身にゾクゾクとした悪寒が走った。

「何いってんのっ!私よ!オカ研の部長の翠よっ!翠っ!いつも四人一緒でしょ!」

翠は必死に自己アピールをした。

「いつも一緒は私たち三人よ。しかもオカ研には部長なんていないし・・」

綾乃も汚いようなものを見るような目で翠を引くように見ている。

「またなんの冗談をいってんのっ!仲良し四人組でしょ。そんなのいいから早くっ!ここから出してちょうだい!」

翠の必死のアピールも呆れて面倒くさそうになってきた。

「なによっこの人!先っきから馴れ馴れしいわねっ!」

由香の警戒心の眼差しが物語っている。

「だけどちょっと待って、もしかしたら私たちの記憶のほうが、ぶっ飛んでんのかもしれないわ」

綾乃が冷静に頭の中を整理し始めた。

「それじゃ、仲間だっていうのなら質問してみましょ。私たちが好きな食べ物は何?」

沙織の考えていることは真っ先に食べ物のことしかない。

「それはもう、この世の中の食材すべてよ!あと、沙織はO型のみずがめ座で好きな季節は夏でラッキーカラーは赤でしょ。由香はB型のしし座で・・」

翠は思いつくことをペラペラ喋ってきた。

「分かった分かった。そんなの調べれは簡単に言える事でしょ。それに昔のエピソードを掘り返すと大変だからもういいわ・・」

由香は過去の思い出にうんざりした。

「あっ!まさか本当は此処に封印されている妖怪じゃないでしょうね!」

沙織は何気に貼られている御札を見つけた。

「そんな御札なんか、いつものようにステッカー代わりに貼っているじゃない。それにこんなに可愛い妖怪がどこにいますかっ!?そういう妖怪なら上の階に棲み着いているわよ!」

翠が被害者面になった。

「自分の顔のこと大きく棚に上げたわねぇ」

由香は目を細め哀れな顔で気だるく言った。

「もう・・、お願いだから出してよぉ・・」

翠は今度は泣きべそ面になった。

「さて、どうするぅ~」

沙織は由香と綾乃に伺いを立てた。

「くじ引きか、じゃんけんで決める?」

由香が即答で返してきた。

「これだけお願いされたら、心折れちゃうわよねぇ」

綾乃もシブシブ答えた。

「仕方がないわね。そんなに言うなら出してあげるわよ」

三人は面倒くさそうに儀式の黒マントを被り呪文を唱えだした。

「開けぇ~、ゴマッ!」

最後に沙織がお決まりの台詞を言った。

「あれっ、どうも開かないわね」

由香が鉄格子をガチャガチャ動かした。

「アブラカダブラ~」

次に綾乃もよく使われる台詞を言った。すると、カチッと音がして南京錠が外れた。

「なぜにまた西洋の呪文で開いちゃうのよ・・」

由香はギャップについていけない。

「出してくれてあ・り・が・と・よっ!」

閉じ込められていた翠が気品と優雅さに満ち溢れた足取りで“コトリバコ”から出てきた。

「ところで!よくも散々もったいぶらさせて、私をいじめてヤキモキさせてくれたわね」

翠が三人を前に説教口調で言った。

「大丈夫かなこの人・・?あなた本当に私たちの仲間・・?」

綾乃は二人に寄り添った。

「この上の階の“陽子”って言う妖怪に会いに行けば分かる話よ!」

翠にはよっぽど因縁があるらしい。

「妖怪の陽子・・。どっかで聞いたような名前ね・・」

由香の記憶が霞んでいる。

「それじゃ!ラスボス“陽子”に楯突きに行きましょ」

沙織はこういうのが大好きなようだ。

そして三人は暗がりのなか、怪しげな翠と一緒に天窓に登る階段を上がり、二階へと続くはしごを登って行った。・・つづく

沙織「なんで閉じ込められていんの!?で、誰?」

翠「こんな可愛い顔の私を忘れたっていうの!」

由香「わっ、うざいわねっ」

綾乃「もう一回閉じ込めましょ」

全員「次回、9月7日土曜日更新!」

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