テーマとしてつまらないばかりの普通の寝相
時間というものが存在していたらの話である。
私は急かされていた。急かされていた為には何も出来ないでいた。そんな当たり前のことのためにもブツブツと口を動かしていたなら、少しは身動きが出来たと言えただろうか。
今日という日は私の知り合いではなかったが、例の如くこの20日或いは21日、もしかしたらその10日ほど後であったかも知れないが、今のところ何日であっても構わない。とにかく、私の知らないところで勝手に名前の付けられたその何者かを構い続けては飽きてしまっているのである。
大事にしていたそれではなかったし、今後とも大事にするつもりの無いあの日々であるが、今何もすることが無いというのは、私にとってはあり得なかった。あり得ないということが不服であった。だからただ今寝ているところのこのベッドは、私にとっての敵である。
何がしたいという訳ではない。何もしたくない訳では当然ない。どちらでもあり得たはずのこの身体が、結局ただ今硬直しているという難題についてである。
言うなれば、言いたくないが、私は面倒くさがっているのである。死ぬのは怖くないが、寿命は怖いのである。いいや、それもきっと違う。本当は何年生であるところのこの私の、その何年生が終了する運命が、不思議なことに私の運命に合致しているという為に、動物的にあるべき姿と掛け離れた滑稽な寝相において震え上がっているのである。
そんな一番可哀そうな私が、大学キャンパスのベンチに陳列されていて、若干それらしい表情を作って、不平に聞こえるよう拵えた寝息を立てていたのであれば、何者かが声を掛けるというのは必然であった。そんなことは無いが、そうなってしまったことに理由は無かった。