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50 北風と太陽?

よろしくお願いします

 A君と三人の姿が戻った後、リリカを連れた稲実アスカ先輩が戻ってきた。

「あれで大丈夫なの?」

 アスカ先輩が心配しているのは、A君かそれともリリム達か。


「作戦通りに上手くいきましたから、大丈夫だと思いますよ」


 僕がリリム達と考えたのは『北風と太陽作戦』である。まあ、まんまの内容だ。


 まず僕が正論で彼を怒らせて、後はリリム達が言葉巧みに誘惑し、この場から連れ出すというものだ。


「でも、もし、あの人がリリカさんの彼女達を襲ったら・・・」


「それも大丈夫ですよ」


 なにしろ、リノ、リタ、リコのレベルはB級ダンジョンのモンスターと戦っても、勝てる程だし。A君のレベルがいかほどか知らないが、おおよそC級ダンジョンの上層レベルだろう。むしろ、彼女達がA君を襲わないかが心配だが。


 サッキュバスとしての魅力というスキル以外のプレイヤースキルとしてのレベルを上げるとしたら、今回の件は試金石となる。わざわざ津上社長に頼んで、元ホステスで働いていた冒険者を紹介してもらい、彼女達に聞き役としてのスキルを教えてもらっただけはある。といっても、触り程度だが。


 一つ、相手の目をしっかり見て逸らさない。二つ、相手の話はきちんと聞き、復唱することで相手に聞いていることと、驚いたり関心することで、こちらに興味があることを示す。三つ、軽いボディタッチで相手の平常心を奪う。体の中心は狙わず太股や指先等所々変えていく。四つ、お願いをするときは耳元で囁くように。五つ、相手の思考を落ち着かせないよう、あの手この手で常に乱れさせる。その他エトセトラ、エトセトラ・・・。

 今頃彼女達は彼の話をきっちり聞くフリをしつつ、彼の思いは間違っていないと認めつつ、でもストーカーじみたことは止めようねと説いていることだろう。


 この世の中は、全て正論で相手を屈服させマウントをとればいいというわけではないのだ。優しく接し、認めてあげることで相手の間違いを少しずつ矯正することができるのだ。要するに美人局なのだが、上手く嵌まれば簡単に堕とすことができる。

 問題はA君が暴走して彼女達を襲い返り討ちにあって、エネルギーを吸われて明日の朝、ダンジョンの奥底で干からびていないことを祈るだけだ。


「彼女達なら上手く彼を説得できますよ」


「勇大がそういうなら信じるけど~」


 まあ、彼女達三人が失敗しないようお酒という補助アイテムもあるし、A君が嫌なことがあると、お酒に逃げ出すという情報も掴んでいるから信頼はしている。

 さて、気になるもう一人を見る。

 それはリリカ・ジ・モリガンである。近頃、リリカが妙な視線を僕に向けることがある。なにかこちらを疑っている様子だ。あまり身に覚えのないことではあるが、このままではよろしくないような気がする。

 リリカに対してなにか声を掛けようとすると、リリカは顔を紅潮して嬉しそうだった。


「どうしたの、リリカ?」


「聞いて下さい、勇大様。彼女、稲実アスカさんが私の歌を好きだと言ってくれたのです。さらに私のファンだと。私、ファンの人に直接会うの初めてでどうしたらよいかと思っていたのですけど。アスカさん、私の歌をアカペラで歌ってくれて、私、本当に嬉しくて」


 どうやら初めて自分のファンに出会えて嬉しいらしい。今まで神秘的な雰囲気を醸し出すために一般的なファンとの交流は避けていたし、会うのもスポンサーやらライブスタッフやらマスコミ等業界関係者ばかりだったからなあ。


「あの、勇大様、私、彼女とメール交換してよろしいでしょうか?」


 僕は一瞬だけ逡巡するが、先輩なら大丈夫だろうと了解する。


「いいよ」


「ありがとうございます!」


 リリカは笑顔でアスカ先輩の方に向かい、メール交換のやり取りをする。とりあえず機嫌を直してなによりだが、これは重要なことかもしれないと思い直す。ストレスを溜め込んでいるのはリリカだけじゃないのかもしれない。歌にレッスン、そしてダンジョンクリアという過酷な環境で戦い続けているのだ。他の娘達も同じように精神が疲れていてもおかしくないのだ。ここはなにかしらのアフターケアが必要かもしれない。僕が考え込んでいると、アスカ先輩が近づいてくる。


「勇大とリリカさんって仲良いんだね~」


 なんだろう?アスカ先輩にもリリカと同様の圧を感じる。


「え?いや、そりゃマスターと召喚モンスターですからね。仲が良くないと一緒に冒険できませんよ」


「そういうことじゃないんだけどな~」


「?」


「まあ、とりあえず今度お礼するよ~」


「いいですよ。困った時はお互い様です」


「よくないよ~。このままだと先越されるしね」


 なにが越されるんだろう?

 なんだろう。あまり深く考えると良くない気がするし、深く考えた方が良い気がする。とりあえずここは保留としておこう。




 後日談である。

 この一件以来、アスカ先輩にストーカーは現われなくなった。

 A君はというと、アスカ先輩のファンは続けているようだが、以前のような粘着質ではなくなったらしい。代わりといってはなんだが、リリカのライブ映像をよく視聴することが増えたとのことだ。

 彼が暴走するかもと思ったが杞憂に終わったらしい。リリム達からも、あの後飲みに行って話しを聞いただけとのことだった。

 まあ、無事一件落着してよかったと思う。


お知らせです

現在日々の忙しさに追われ投稿を失敗したりページ数が少なくなる状況が続いています

自分としては拙いながらも良質な作品を投稿したいと思っていますし

ようやっと作品として形が出来てきたので

よりよい物をお届けするために毎日(?)投稿から遅くて週一早くて三日に投稿したいと思っています

そしてよりよい作品をお届けして皆様が少しでも面白いと思ってもらえる作品にしたいと思いますのでよろしくお願いいたします

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