46 ストーカー
よそろくお願いします
僕こと乙橘勇大は、休日に稲実アスカ先輩に呼び出された。待ち合わせ場所はギルド『エウメニデス』の社内喫茶店という珍しい場所だった。ここでは社員や芸能人の打ち合わせの場になることが多く、僕とアスカ先輩が会って話していても不思議がる人はいない。
アスカ先輩は一仕事終わった後らしく、仕事着から普段着に着替え終えていた。
「実はさ~」
僕はアスカ先輩の話を聞く。アスカ先輩はぽつりぽつりと小声で話し始める。
「ストーカー?」
「そうなんだよね~」
話しを聞くと、この二週間誰かにつけられているというのだ。
最初は気のせいかと思った。ただ帰り道が同じだけだな、と。しかし、数日経つと後ろの人の足音のテンポが同じなのだ。軽く走って逃げてもいつの間にか同じ足音が聞こえてくる。もしかしたらストーカーされているのかもしれないという思いが強くなってきたのだった。
その後、一人で歩いていると、足音がしなくても後ろが気になり、だんだんと夜の道を歩くのも怖くなってきたのだという。
「なにもしてこないからストーカーじゃないかもしれないけど、やっぱり怖くて。家に帰るのも嫌になって、家族とマネージャーに話して今BWダンジョンのギルドが運営しているホテルに泊まっているんだけど・・・」
それでも地上に戻り学校には行きゃなきゃと思う。事情を学校側に話せばネットで勉強もできるが、やはり学校の教室で勉強した方が気が引きしまるのだとアスカ先輩は言う。
どうしたらいいかと思い、僕に相談したのだとか。
「とりあえず警察に相談はどうですかね」
「それをするとマスコミが嗅ぎつけちゃうし、ネットに余計なことを書かれちゃうし、実害は出てないわけだからギルド側から控えてほしいって~」
ううん、実害が出てからじゃ遅いと思うのだが。とはいえ、こういうストーカーは後を付けるだけでは証拠が掴みにくい。本人の被害妄想になって逆に加害者になりかねない。
一番は相手がどういう心情をもってストーカー行為をしているのかがわかればいいのだけれど。アスカ先輩本人が声を掛けて聞いてしまうと、調子にのってしまう可能性が高いので、第三者が介入したほうがいいのだけれど。
しかし、どうするべきだろうか?
もし、僕が手助けするにしても相手の素性もわからないし、素人が介入するのは危険すぎる気がする。ここは僕が有利な状況に持っていくべきだろう。
・・・となると、あれしかないか。
僕は幾つかアスカ先輩と思いついた案を話してみる。
「それで上手くいくかな~」
「現状、僕達が相手よりも一手先にいくのはこれしかないと思います」
「うん、わかった~」
それからしばらくアスカ先輩と話し合い、電話で連絡を取りながら作戦を実行するのだった。
次回投稿は4月17日です。




