43 決着
よろしくお願いします。
ケートスが止まるのは一瞬で十分だった。僕は持っている光刃【クラウ・ソナス】で風の刃と水の刃で深手を負ったケートスの腹部に突き刺す。そして、自身のレベルを最大限まで倍化し、最大出力でケートスを輪切りに切り裂いた。
この光刃は、こっそりと侵入したA級ダンジョンで探し当てることができた光の樹である。光樹と呼ばれ、大地や大気中の魔力を吸収し、枝から殺傷力の高い光線を放つ迷惑この上ない樹である。そこで僕は『ダンジョン超裏技大辞典』に記してある通りに枝を一本貰い、さらに触媒たる小さな光木を手に入れて持ち帰ることができている。その木はとある場所で丁寧に育てている最中だ。そして、さらに数秒だがレベルを倍に上げる秘技を使い、その魔力を光刃に与え巨大な剣を作り出したのだ。ケートスは自分になにが起きたのかわからないまま、真っ二つにされて海へ沈んでいった。
僕は今メルが召喚した人魚に掴まっている。B級ダンジョン十階層に海があるとわかった時から、スェットスーツと潜水道具一式を購入し、C級ダンジョン内にある海で人魚を使った潜水の練習をしていたのだ。というのは聞こえがいいが、本当に人魚に掴まって海を泳ぐというのは最後の手段一歩手前ぐらいだったので、かなりヤバかったのが事実である。いや、正直ここまでギリギリの戦いを強いられるなんて思っていなかったので、失敗したらどうしようかと何度も思ったことか。
本来はメルの矛で倒すはずだったが、あの速度のケートスに近づくにはリスクが高すぎるため、どうしてもケートスの動きを止める必要があった。エイレネやヤタの魔力が回復するには時間が掛かったし、それを待つ時間もなかったため、メルのトリアイナの矛の力をケートスの足止めと今までの戦いで負った傷をさらに深手にさせ、その傷口から僕が刃を入れて全力で貫くことに決まったのだ。メルが作り出した濃霧の中、人魚のソナー能力を頼りにケートスに近づき、傷口に光刃を突き刺すなんて、自分で言うのもなんだけど無謀というしかないと思う。
「オ、オマエ、ツ、ツ、ツヨイ、ス、スキ」
メルが眷属召喚で呼び出した人魚が、馴れない日本語で泳ぎながら僕に抱きついてくる。さらに人魚の仲間がこぞって抱きついてきて、もみくちゃにされる。僕はその人魚の泳ぐスピードに掴まることしかできず、彼女達の行為にされるがままだった。
なんとか船に追いついた僕と人魚は、なぜか怒り心頭のメル、ヤタ、エイレネに人魚から引き剥がされて、船内に入ることができた。
「すごいな、君は・・・、あのケートスを倒すなんて普通じゃあり得ないぞ」
「そうですね。僕も運が良かったと思います」
「それが普通じゃないと思う。運が必要だったとはいえ、ケートスと死闘を繰り広げるまで追い込むなんて、ただの冒険者ではありえないほどだ」
「まあ、彼女達のおかげですよ」
「その彼女達も君が召喚したモンスターだ。実質召喚士である君が一人で倒したようなものだ」
「はは・・・、あ、あとお願いがあるのですが・・・」
「なんだい?」
「なにか下に履くものをください」
メルの人魚に襲われた僕は下を脱がされて、下半身裸の状態だった。
・・・ぐすん。
誤字報告ありがとうございます。気をつけます。
次回投稿は4月14日になります。




