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37 ダンジョンの隠し階層

よろしくお願いします

「これは・・・」


 僕はハイエルフのパフェ、オオカミのアマテ、サッキュバスのリリカと共に隠しダンジョンに入り泉を見つける。どうやら隠しダンジョンは泉だけらしい。


「ご主人様、この泉。なにか匂います」

 アマテは僕の後ろに隠れる。今のアマテは獣の姿ではなく、人前ではあまり見せない人の姿をしている。白の生地に赤の紋様の貫頭衣に勾玉のネックレスをしており、腰まで届く黒髪は前髪で顔を隠していてわかりづらいが美しい容貌とわかる。


「どうやら神聖な存在が住んでいるようね」


 パフェが細剣を抜き、盾を構える。神や天使、聖霊の類いは人間に味方する無害な存在に見えてしまいだが、時と場合により人間に対して危害を及ぼす存在である。彼等にしてみれば、自分達の神域に踏み込む者は罪人であり、動物の縄張りや人の家に勝手に入る不法侵入者となんら変わりはないのだ。特に泉や湖は聖霊や妖精が集まりやすく、彼等は人間が無断で立ち入るのを強く拒んでいる。


 泉に潜んでいる神聖な存在か。

 童話だったら、斧落としたら出てきそうなものである。


「ううん。どうしたら出てくるのかしら」


「ここはお供え物をするのが一番だな」


「お供え物?」


 そう、ここはダンジョンなのだ。まあ、これも『ダンジョン超裏技大辞典』に書いてあることなのだが、神族や魔族に頼むときは魔石を供えるのは一番である。

 僕は簡易ながら祠を作り、魔宝石を置く。持っている魔宝石の中でも上物である。すると泉から霊体の姿の女性が現われる。どうやら泉の主らしい。


「あなた達ですね。私が住むこの泉に奉納してくれたのは」


「はい」


「私はこの泉に住む女神。褒美として私ができうることを叶えてあげましょう」


「女神様、あなたはなにが得意なのでしょうか」


「得意ですか、そうですね。私はこの場から別のダンジョンへ送ることができます」


「別のダンジョンに?」


「ええ。ここのダンジョンの核を通して、今いるダンジョンと別のダンジョンの通り路を作り、そこに送ることが得意です」


「それは、例えば別のダンジョンに行くとして、階層も指定できますか?」


「はい。階層にある核を通じて送ることができます」


 おおおおおおっ、ついに来た。おそらく誰かが持っているかもしれない、誰もが待ち望んだスキル、ダンジョン転移。僕も『ダンジョン超裏技大辞典』を使って各ダンジョンを探したけどみつからなかった。転移石という便利アイテムも存在しているが、それは一度コアに辿り着いて転移石に記憶させなきゃならないし、そのダンジョンに行かなければならないリスクがある。でも、この泉の女神によると、遠出をしなくてもここから他ダンジョン、しかも望む階層に行けるということなのだ。


今までこそこそとモンスターにみつからないように命懸けで高難易度ダンジョンにてアイテム収集していたが、ここがあれば簡単にダンジョンに行くことができる。


「うさんくさいわね」


 そう言ったのはハイエルフのパフェである。いや、うさんくさいって、女神様に失礼じゃない?


「そんな簡単にダンジョンからダンジョンに行けるなんて、あたしには信じられないわ。罠か、それなりの対価が必要なはずよ」


「アマテもそう思います。都合が良すぎというか、絶対フラグが立っていると思います」


 ううん。二人に言われると不安になってきた。確かに都合が良すぎである。


「もちろん、ただではありませんよ。ダンジョンからダンジョンに移送するには、それなりの魔力が必要ですから、そこに供えてくれた魔宝石を三個分奉納してくださる必要がありますが」


「なるほど」


 どの世界にも対価交換は必要だ。無償で願いを叶えるということは、それなりのリスクが付きまとうというもの。願いを叶えるために魔宝石を代償とするならば、安いといえるかもしれない。


「わかりました。あなた様の望むままに」


「うむ。よきにはからえ」


「いいの?あんな怪しい女神に大切な魔宝石をあげるなんて」


「全ての物事にはリスクはつきものだよ」


「勇大がそういうならいいけど・・・」


「ゲームを効率よく進むためには課金は必要ですしね」


 アマテそれは違うと思うぞ。お金は大事に使え。


 こうして僕達は、DIYできちんとした祠を作り、来る度に泉にお供えすることで泉の女神に行きたいダンジョンに転送を頼むようになった。

 一階層の中心には、とあるダンジョンで見つけた魔力を吸収して光る樹の苗を植える。この樹は、魔力を流し込むと光線を放つことができ、実は僕が持つ光刃の原材料となっている。さらに訓練に必要な物を運び込み、それなりの訓練場にすることができた。


次回投稿は4月6日23時頃です

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