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33 救けるのはゴブリン?

よろしくお願いします

 僕こと乙橘勇大は、召喚した仲間を率いてギガギンが通った道を通る。今回のメンバーは、ダークエルフのカフェ、オオカミのアマテ、花の妖精人のアンティアである。


「なんでうちらがギガギンの安否を確認しなきゃならねえんだ?あいつ弱いモンスターをいたぶって動画に流す変態だぞ。生きてたとしても百害しかねえぞ」


 カフェはネット配信チャンネルを視聴することが多く、僕よりもネットに詳しい。


「カフェの言う通りよ。あのような輩、助ける義理はないわ」


「わ、わたしもカフェさんの意見が正しいと思います」


 それに同意するアンティアとアマテ。アンティアもアマテもネットでアニメをしたり、オンラインゲームを楽しんでいる。彼女達もギガギンのネット配信チャンネルを視聴しているわけではないが、ネットニュース等でギガギンの悪評は知っていた。


「まあ、そう言わないでほしい。確かにギガギンという人は話を聞く限りでは良くない人だと思うけど、今回はギガギンのスタッフの千田シンジという人の安否を確認することだから」


「同じ事だぜ。ギガギンの人となりを知っていて、そいつの下で働くなんて碌な奴じゃねえよ」


「弱者を守るのがチアフラワーの使命よ。弱者をいたぶる相手に容赦はないわ」


「こ、こんなことしているよりも家に戻ってゲームしたい」


 三者三様で不満を垂れる。ううん、これはどうしたものか。


「まあ、今回が正式にB級ダンジョンに入るわけだし、ちょっとしたお試しということでお願いできないかなあ」


「ふん、まあいいけどよ。二度とこんなくだらねえことにうちを呼ぶんじゃねえぞ。とりあえず焼き肉奢りな」


「マスターがそうやって頭を下げるなら仕方ありませんね、アニメのブルーレイボックスで許してあげます」


「な、なら、わ、私も、欲しいゲームがありまして」


 仕方ない。ちょっと痛い出費だけど我慢するか。


「わかった。それで手を打とう」


 まあ、そんなやり取りをしつつ、僕達はB級ダンジョンを捜索する。ちなみに自分達はアンティアのスキルにより、体の臭いを消し、さらにアイテムで認識阻害を行っているため、ゴブリンに見つかるのを防いでいる形である。


しかし見つかるのは時間の問題だろう。ここはすでに彼等の縄張りなのだ。姿形がわからないとはいえ、三人で行動している以上、なにかしらの形跡が残る。自分達の縄張りである以上、なにかしらの異常に気付く可能性が高い。難易度の高いダンジョンに隠密で忍び込んでいる自分一人ならなんとかなるだろうが、今回は冒険者としてダンジョンに潜っているのだ。これは致し方のないことだろう。

B級ダンジョンに生息しているゴブリンは、D級ダンジョンやC級ダンジョンなどとは違う。集団戦闘に優れているといっていい。これは、おそらくだが異世界の人間の戦術や戦闘を見て覚えた結果だろうと思う。ゴブリンは知能が低い。背丈も100㎝程だし、腕力も人間の大人に劣る。文字も覚えられないため魔術も使うことができない。ゴブリンの本来の戦い方は、その背丈の低さによる茂みに隠れた奇襲である。大人の男性は狙わず女子供を狙い攫うのが定石なのだが、ダンジョンでは冒険者しか現われないため、冒険者を襲うしかない。ゴブリンは学習能力が低いが、人の真似をすることができる。彼等は見て憶えたのだろう。自分達を襲ってくる戦士達の戦いを。どうすれば自分達が生き残り戦い勝つ術を真似し、自分達のものとしたのだ。

 環境が変わればゴブリンも変わる。B級ダンジョンのゴブリン達はそうやって生き抜いてきたのだろう。もちろんゴブリンはゴブリンだ、弱点はある。


 そうこうしている内にギガギンが行方不明になった雑木林へと近づく。ここからはゴブリンの縄張りである。B級ダンジョンは多数のモンスターが縄張り争いを行っている抗争世界なのだ。彼等は自分達の住処を守るために大地に線を引き、異種族とも同種族とも戦いを繰り広げているのだ。


「まて」


 先頭を歩いているダークエルフのカフェが右腕を横にして僕達の進行を止める。なにかあったのだろうか。

 見ると、ゴブリン一体がドッグスネークに襲われていた。ドッグスネークは尻尾が蛇の大型犬である。獰猛な大型犬の凶悪な牙と麻痺毒がある蛇による攻撃を得意とする、凶悪なキメラモンスターだ。ドッグスネークは三匹、ゴブリンは一匹であり、逃げてはいるものの追いつかれるのは時間の問題だった。

 これはチャンスかもしれないと、僕は腰のホルダーからマジカルマグナムと取り出す。このマジックマグナムは、日本ダンジョン協会が民間会社と共同で作ったダンジョン専用銃である。弾は魔光石を燃料としており、光線を放ちモンスターを撃つ。


「助けんのか、ゴブリンを?」


 カフェが問う。普段は倒していたゴブリンを救うのは、おかしな話しではある。だが今回は別だ。仕事を完遂させるための最短攻略方法といえる。

 ゴブリンが転倒し、スネークドッグはそのまま牙を剥き出しに襲いかかる。僕はスネークドックの一匹に狙いを定めて銃を撃つ。魔力による光線銃はカチッと引き金の音が鳴るぐらいで大きな音は鳴らない。光線は射撃した後の残光のようなものだが、人の目には音と光は同時に見える。スネークドッグの頭部はあっさりと吹き飛ぶ。僕は確認することなく、二射目を行い二匹目の胴を撃ちぬく。


残るは一匹。さすがにこちらに気付き、警戒する三匹目のスネークドッグ。ゴブリンはというと、何が起こったのかわからず目を回しているようだ。

スネークドッグは僕を標的に捉える。うろうろと動き、こちらの狙いを定めさせないようにし、少しでも隙を見せたら一気に襲いかかるつもりだろう。

 僕も警戒しだしたスネークドックを一撃で仕留める程銃の腕はよくない。

だからこうする。カチリッと鳴り、僕は引き金を引く。

光弾はスネークドッグから外れたため、この機を逃さぬかのようにスネークドッグが僕を襲う。だけど、これは想定の範囲内だった。スネークドッグが襲いかかる前に、僕は外れることを予期して銃を捨てて剣を抜く。光の剣ではなく魔法剣グラディウスだ。グラディウスの一線がスネークドッグの首を斬る。しかし、スネークドッグはこれだけでは終わらない、尻尾の蛇がいる。僕は返す剣で蛇の首を斬る。


本来なら人間が魔犬であるスネークドッグの動きについていけることは不可能だ。普通の大型の野犬でさえ反応が難しいだろう。だけど、ここまで上げたレベルは、僕の反射神経と速度と腕力を向上させ、さらに今まで努力してきた剣術の鍛錬と実戦の経験値がそれを可能にしていた。


次回投稿は4月3日23時頃となります

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