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28 リリム達

よろしくお願いします

「終わりました、疲れましたし緊張しました」


 私は用意されたホテルの一室のテーブルにうつ伏せになります。いつものダンジョンのライブと違い、収容員数二十万人のホールでのライブは、いつもと違う熱気と緊張感があります。


「お疲れ様ですぅ」

「おつかれっす!」


「おっつー」


 私はレベルアップと同時に得たスキル『眷属召喚』で顕現し、今はバックダンサーとして働いてくれているサッキュバスのリリム達が声を掛けます。

 一応紹介しておきますと、グラマラスでおっとりした性格がリノ。釣り目でしゅっとした体型のリタ。小柄でジト目がリコです。


「今回のライブ結構人多かったっすね」


「多すぎー」


「観客の反応も良くて盛況でしたし、勇大様もこれは褒めてくださいますわぁ」


 その言葉に私は反応します。


「ほ、ほんとうに?」


「ええ、間違いございません。こんなに姫様ががんばっておられるんですもの。いつものお褒めの言葉だけじゃなく、もっといろんなことを求めてもいいと思いますぅ」


「じゃ、じゃあ頭をなでなでしてくれるとか」


「お願いすればもっといけるでしょー」


「な、なら膝枕とか」


「いやいや、わたしらサッキュバスなんだから、もっと先にぐいぐいいけるんじゃないですか?」


「それはまだダメだと思うわぁ」


 リタの言葉にリノが反論します。


「なんでだよ!」


「私達芸能人なんだからぁ。そこまで行くとゴシップの的になるわぁ。まだ売り出し中なんだからマスコミが嗅ぎつくようなことは避けるべきよぉ」


「そういうものっすか。人気者になれたけど面倒なものっすね」


「だから、今回は膝枕ぐらいが丁度いいと思うわぁ」


 リコもこくりと頷く。


「姫様と勇大様の膝枕いい。萌える」


 彼女達の言葉に疲れていた体が少しだけ復活を遂げます。やばい、変なやる気が出てきました。よ、よし、膝枕頼んでみようかしら。


「それにしてもライブ裏で握手を求めてきたお爺さん誰だったんだろ。厳つい大男に囲まれてたけど」


「多分あれがこの国の王様か大臣じゃないかしらぁ」


「偉い人かー。もっと煌びやかな服装してるのかと思ったけど、普通のスーツだったねー」


「あの方はプレジデント。この国の大統領ですよ」


 リリム達の暢気な会話に私はその人の名前を教える。

 私達の故郷である異世界の王様は、剣を振り、馬を駆ってモンスターを倒すことで武威を示し、国を治めることで王の威厳を示す方が多いですが、この世界の権力者は選挙なるもので民に選ばれてなる方がほとんどのようです。


「さすがは姫様、物知りですねぇ」


「会う人の素性を知ることも必要なことだと勇大様はおっしゃってたわ」


「勇大様かぁ。なんで勇大様はサッキュバスに歌をうたわせたり、社交性を持たせたりといろいろなことを仕込んでんすかねえ」


 そう言って首を捻るのはリタでした。


「わたしらってサッキュバスじゃないですか。旅人を襲ったり、寝込みを襲って夢の中に入り込み精力を奪うモンスターっすよ。人の姿をしているけど、これは擬態のようなものっすよ。そんなわたしらがダンジョンの中だけとはいえ、大勢の人前で歌をうたって踊ったりして、わたしらのサッキュバスとしての容量を超えているっすよ」


 ちらりと部屋の中を見渡す。この部屋にも盗聴器とカメラが仕込まれており、さらに魔術により会話の内容が丸聞こえのはずだが、勇大様が用意された高レベルのアイテムの結界により、超防音に付け加え口の動きをわかりづらくしているため、こちらの会話の内容を知ることはできない。


「私達の世界では、旅人や夜遊びする人間を容姿と魅了で惑わしていましたけど、さらなる高見を目指すのであれば、それは認知度による人気だとおっしゃっていました」

「認知度ですかぁ」


「はい。確かに美しさは人を魅了します。けれどもそれは単発的なものであり、興味がない人を惹きつけることはできません。しかし人に多く知れ渡ることで興味のない人間にも興味を持たせることができます。見た目の美しさだけでなく、歌や踊りなどで芸能を磨き、話術と礼儀などで社交性を磨き、表情や態度によって人気を磨くことで、魅了という魔術を使わずとも人を惹きつけることができるとのことです」


「でも、ぼく達の本来のお仕事は、ダンジョン探索でしょー。そんなに人々を魔力なしで魅了しても意味ないんじゃないのー?」


「それは・・・」


 確かに、と思う。本来の私達のダンジョンにおける仕事は、モンスターに対するデバフ効果である。相手を吸精して体力を奪い、奪った精力を味方側に精力を与えるバフ効果もある。


「リコちゃん、それはもう決まっていると思うわぁ」


 そう応えたのはリノでした。


「決まっている?」


「何故私達が美を磨き、有名になる必要があるのか。それはやはり・・・、ダンジョンにおける対人戦がいずれ起きるからよぉ」


 そう、私も感じていました。ダンジョンにはPKと呼ばれる人同士の殺し合い。この世界では人を傷つけてはいけない召喚モンスターに対して、どのように対処すればいいか、その方法の一つが今私達のしていることにあるということを。


次回投稿は3月29日13時頃です

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