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25 津上正愛の目的

よりしくお願いします

 乙橘勇大がC級ダンジョン50階層をクリアしたと聞いた時、津上正愛は、こんなに早く達成するとは思ってもいなかった。

 彼がC級ダンジョンをクリアした時よりもダンジョンが整備され、攻略しやすくなっているとはいえ、少なくとも最短2年は掛かると思っていたからだ。それを彼は半年でクリアしてしまった。


 ちなみにだが、乙橘が45層で出会ったホットジョルトは、C級ダンジョン46層途中で攻略を断念している。おそらく45層のボスに乙橘より先に到達していたら、それなりに犠牲者が出ていただろう。下の階層に行けば行くほど、階層ボスの難易度が異常に高くなるのか、ダンジョンの厳しさだった。

 とはいえ、彼、乙橘勇大は『エウメニデス』の看板シンガー、リリカのマスターなのだから、彼がダンジョン攻略に精を出すとリリカが歌えなくリスクが高くなるのだから、難しいところである。


 リリカは海外からも歌手として招聘されており、幾つかの国で海外公演を行う予定だ。

副社長や役員達は、もっとリリカを全面的に押し出していこうという話しでも出ている。来年のスケジュールはもっと隙間無く埋めて、リリカをワールドワイドにしていこうというわけだ。それはそれでブラックなので、止めてはいるが、皆金銭が絡むと盲目になるのはどこの世界でも同じだ。


 闘技場での格闘興行も人気を帯びている。最初はエルフとダークエルフの痴話喧嘩に近いキックボクシングから始まった試合は、いつの間にか冒険者同士の戦いにもなっている。

魔術を付与した甲冑を着た剣盾の戦いは、衝撃で吹っ飛ばされても怪我は軽減されているし、魔術師や召喚士のモンスターを使った試合も迫力があって面白い。

 今は極少数だが、裏で賭博や裏格闘技大会などが開かれているらしい。モンスターと冒険者をリングで戦わせるというものだが、かなり残酷なものだと言う。これは日本ダンジョン協会に相談すべき事案だろう。


 もう少しだな、と津上は思う。

 ギルドの冒険者も粒揃いが揃ってきたし、乙橘以外も難易度の高いC級ダンジョンを目指すパーティも増えてきた。特に乙橘が持ってきたC級ダンジョンの情報は、かなりギルド所属の冒険者達の役に立っており、いずれはB級ダンジョンを目指せるクランができあがるだろう。

 そういえば、乙橘というより、彼の召喚モンスターがまたおかしなことを考えているらしい。今は成功しているが、もっと手綱を締めるよう言ったほうがいいのかもしれない。

 一歩一歩しっかりと地盤を固めていこう。

 裏ギルドを排除するという、『エウメニデス』というギルドを作った目的を遂行することが。

 未だ裏ギルドの暗躍は続いている。


 ダンジョンには地上には存在しないクスリが売買されており、どの薬物を対象にしていいかわからないため、ほとんど規制がされていない。

 アイテムの密輸もある。日本のダンジョンで発見されたアイテムを輸出することも横行し、それで冒険者が襲われて死傷者を出している。

 そして、モンスターの売買だ。珍しいモンスターを捕まえて檻に入れて鑑賞したり、皮や肉が高額で取引されている。裏オークションも存在し、裏社会がギルドの名を語り暗躍しているのだ。

 津上正愛は、現役の冒険者の時から問題視されてきたが、解決の糸口すらみつかっていなかった。

 その理由は、自分が以前所属していたギルド『ギガス』にあった。大手ギルド『ギガス』は、表向きは冒険者を育て、優良ギルドとされているが、裏では他国や裏ギルドと手を組んで違法行為を行っている。

 ダンジョンの中という危険で検察や警察が立ち入れない空間で行われている犯罪。これをどうにかして排除しなければ、ダンジョンの腐敗は続くばかりである。

 この問題をどうにかするためには、ギルド『エウメニデス』の世間への発言権を強める必要があるのだ。

 まるで見えないダンジョンの闇を照らすために、津上は少しでも光を照らすしか今は術がなかった。


次回投稿は3月24日13時頃となります

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