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24 C級ダンジョン攻略

よろしくお願いします

 私こと、リリカ・ジ・モリガンは、今C級ダンジョン最下層の50階層に来ています。

 はっきり言って久し振りのダンジョン攻略です。

 これまでずっと歌の仕事ばかりでした。幾つものダンジョンの闘技場をライブ会場にして観客の前で歌い、ネットや地上波の番組で歌い、バラエティ番組にも出演してゲームに参加したり、それ以外は歌や踊りの練習をしたり、対話するときの表情や仕草、礼儀等を習い、聞き役に徹する時はどうすればいいかとか、相手が欲しい言葉はなにかとか、相手の表情や顔の色を見て感じてなにを喋ればいいのか、なんてのも勉強して、あと、音感を掴むためにピアノの練習などもして、とうとうライブで弾き語りができるまで上手になりました。


 ダンジョンの外には出られませんが、私の人気は海外まであるのだとか。

 こう考えると私はなんなんのか、と悩んでしまうことがあります。

一応はサッキュバスなのですが、ほとんどサッキュバスらしいことをしたことがないままにここまで来てしまった気がします。いや、メルジナちゃんと魔声の修行をしたり、アンティアちゃんが作った魅惑の花が入ったお風呂に毎日入ったり、カフェさんと魔眼を極めたりといろいろとしているのですが、人間の殿方の生気を吸ったことは今のところありません。人様の前で歌う歌に魔力は乗せられないし、一応時々ダンジョン探索に付いていくこともありますが、出番がないまま終わることがほとんどです。

 それに私がダンジョンクリアに参加することを津上社長や副社長に音楽部門の役員さん達は嫌います。もし、モンスターを倒す姿がネットに流れたら、商品価値が下がることを恐れているのだとか。でも私は勇大様に召喚されたモンスターですし、歌手活動以外で活躍しないといけません。


 だからこそ、今回のC級ダンジョン最下層ラスボスに参加させてもらうことはこの上ないチャンスなのです。

 私が勇大様の召喚モンスターであるために、ダンジョンクリアに貢献しないと、と思うのです。


 C級ダンジョン50階層は大森林エリアでした。

 そこはスライムも強力で樹液に擬態して隠れているので、うっかり触ったら取り込まれて捕食されてしまうことがあります。さらにカッターモモンガやファイブヘッドビッグスネーク等、大樹や蔦に擬態して襲ってくるモンスターが多いです。

 さらに凶暴な動く大樹トレントや美しい女性に化けて魅了するドリュアスもいて、気を抜いたら引きずり込まれてしまうため注意が必要です。

「皆気をつけて!敵がいるよ」

 先頭はアンティアちゃんこと、チアフラワーちゃんがとります。さすが花の妖精人です。同じ植物系モンスターに対しての探知能力はずば抜けています。


「おそらく50階層ボスだよ!気をつけて」


 そこにいたのは、樹齢2000年は越えているのではないかと思われる巨大な樹でした。それがズズズッと動き出し、枝が手となり根が足となり、全長30メートルはある、巨大なトレントへと変化します。本来トレントは大人しいモンスターですが、ダンジョンコアの魔力に囚われているのでしょう、正気ではないような気がします。

 巨大トレントは周囲の森林の養分を吸い上げて枯らしていきます。


「皆、トレントの蔦と枝に触らないで!養分を吸われて干からびるよ」


「わかったアン・・・じゃなかった、チアフラワー。一度カードに戻ってくれ」


「・・・わかったわ」


 勇大様の言葉にチアフラワーちゃんがカードに戻ります。どうやらもう少し活躍したかったようですが、仕方ありません。そして、別のカードを取り出して、命じます。


「出でよ!ダンカイザー!」


 カードから大型ゴーレム、ダンカイザーを呼び出しました。左手にマジックメタルの盾に右手には大型大口径のガトリングガンを持ち、ガガガガガッと連射し巨大トレントを削っていきます。


「ヤタ!右眼を開放しろ!」


「おうよ!」


 今まで空を飛んで、鳥モンスターを牽制していたヤタちゃんが戻ってきます。そして、右目の眼帯をとり、そこには真っ赤な火のような瞳がありました。その瞬間黒い翼が炎のように燃え上がり、太陽の使い八咫烏へと変化します。


「これがわっち、ヤタ・ザ・ハイペリオンの真の力じゃああ!」


 団扇を振ると炎を纏った嵐が巻き起こり、トレントを包み込みます。しかし、トレントは物ともせずに大腕を上げて拳を振り下ろします。


「ガッ」


 ダンカイザーが大盾を持ち、トレントの攻撃を防ぎます。そればまさに巨大モンスター対ロボットの構図です。しかし、全長差は歴然としており、ダンカイザーは地面に足が沈んでしまいました。がんばれダンカイザー!負けるなダンカイザー!

 さらに巨大な根が大地から飛び出して、空を飛ぶヤタちゃんに向かっていきます。ヤタちゃんは団扇を振って炎でガードしますが、根が大きすぎて焼き切れません。


「リリカ!」


「え、あ、はい!」


 すっかり解説者気分になっていた私に勇大様は声を掛けます。勇大様もマジカルマグナムを撃っていますが、あの大きさのトレントには効果が薄そうです。


「頼む」


「わかりました」


 私にできることは歌をうたうだけです。ただしいつもファンの皆様の前で歌う声ではなく、練り上げた魔力を声に乗せて、殺意を持って。

 両手に持つ大盾を仕舞いこみ、左手の王笏を持ち、右手の宝珠、そして頭に長い筒のような王冠を頂くことで、私の魔力を最大限に上げます。こうして私はサッキュバスプリンセスからインペリアル・サッキュバスプリンセスという長々しいモンスターネームを持つことができました。


「私の名はリリカ・ザ・モリガン。

 届け!私の歌よ!仇なす全てを破壊と殺戮し、私に勝利の鐘をもたらせ!」


 私の歌が周囲に響き渡ります。

 歌がトレントに届いた瞬間、生命と魔力を急速吸引しトレントの体は一気に崩れ始めます。トレントはなんとか抵抗を試みるが、為す術無く枯れ果てていきます。さすが巨大トレントです。完全に吸引するには時間が掛かります。

 敵の弱体化を見過ごす勇大様とそのパーティではなく、ダンカイザーはガトリングからハルバードに持ち替えてトリントを斬り、ヤタちゃんは大きな炎の光弾を放ち、根を燃やしていきます。

 そして、勇大様の光輝く剣がトレントを切り裂いていく。

 ミシミシと音が鳴り、大樹のモンスター、トレントは真っ二つに伐られてズドンッと倒れ落ちました。


 こうしてC級ダンジョンの最下層ボスを倒し、ダンジョンクリアとなったのです。

 正直疲れました。

 緊張していたためか、音程はバラバラで声の張りも良くありませんでした。それでも無理して歌ったためか、いつもの倍以上疲れが出てしまいました。王笏、宝玉、王冠も三つ合わされば強大な魔力を得ますが、魔力消費が激しいのも問題です。私が未熟故でもあるのですが。

 まあ、早期に倒せたのは良い事だと思います。

 これで海外遠征もできますし、B級ダンジョンに行けるのですから。


次回投稿は3月23日の23時頃です

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