13 ダークエルフ
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13 ダークエルフ
「はい、といってもダークエルフなんですが」
「なんだ、ダークエルフか」
ダークエルフはダンジョンの奥に潜む亜人種で、その存在は幾多の冒険者によって報告されている。
「ダークエルフの存在は私でも知っている。冒険者を襲うコミュニケーションが取りづらい存在だとな」
ダークエルフとはいえ、エルフには間違いない。モンスターと言おうとしたところをアレフに配慮したのだろう。
「まあ、召喚してみたまえ。念のため聞くが、害意はないのだろうね」
「え、あ、まあ、大丈夫だと思います」
「私や大臣もダークエルフを見るのは初めてだな。なにしろ、ダークエルフは狡猾で凶暴だと聞いているからな。召喚士にカードに封印されているなら大丈夫だろ、アラフさんもいることだし。召喚してみたまえ」
「はい。出でよダークエルフ!」
一枚のサマナーカードは怪しく光り、ダークエルフが召喚される。
そこに顕われたのは、そこにいるパフェに勝るとも劣らない美少女が現われる。輝く銀髪、漆黒の瞳、茶色の肌、やや猫背気味の背。ランニングシャツの上に革ジャンにデニムといったラフな格好でダークエルフが顕われる。
「んだあ?てっめえら」
一昔のヤンキーのように睨みをきかす美少女がそこにいた。
「おい、まて、報告に聞いていたダークエルフと容貌が違うぞ。ダークエルフは醜く凶悪な顔をしているはずだ。そこにいるのは、少しやさぐれているが綺麗な少女ではないか」
「誰が綺麗だ、こら」
うつむき気味に会長を睨むダークエルフ。やさぐれていることに否定はしないんだな。
だが、会長が不思議に思うのはわかる、自分津上もA級ダンジョン最下層で遭遇したダークエルフの群れは、醜く凶悪な風貌をしていた。
「なめてっとかますぞ、こら」
「それにしてもなんで一昔前のヤンキー語なんだ?」
大臣も怖さを感じるより、不思議さの方が勝り首を傾げる。
「まあ、彼女の趣味でして。カフェ、ちょっと名乗ってほしいんだけど」
乙橘に言われて、しょうがねえなといった表情でダークエルフの少女は手を背中に組んで大きな胸を張る。
「一族の名前なんてしらねえし、知ってても反吐がでるから言わねえ!ダークエルフのカフェ・ジ・ビターと名乗ってるんで、夜露死苦!」
「言わないのかね、自分の一族の名前を?」
「エルフは自分の一族を大事にしていると聞いたが・・・」
「うちは一族の中じゃ爪弾きモンだったんだよ。それ以上もそれ以下もねえ」
「君はエルフ種とダークエルフ種とのハーフですね」
そう言ったのはアラフだった。
「なんと!」
「なるほど、それなら彼女の美しさは納得できる」
驚く大臣に頷く会長。
「本来エルフ種とダークエルフ種が交配しても子供が生まれるのは稀れです。さらに加えるならダークエルフが他種族と交配してもダークエルフが生まれるだけです。なのに、彼女はきちんとエルフ種の遺伝子を持っている極めて稀な存在といえるでしょう。彼女が一族で爪弾きされていたのも納得です。さぞ容姿で差別されていたことでしょう」
「ちっ」
ぷいっと顔を横に向けて舌打ちをするカフェ。
「おお、彼女も稀少な存在か」
「それに、その容貌・・・。あなたの母親の名前は?」
「あん?知らねえよ、うちが物心つく前におっ死んじまったしな」
「そうですか」
「なにか気になることでも?ァラフ殿」
「いえ、似ているのですよ、我が一族の族長の妹君に」
「族長の妹君?」
「ええ、故郷の異世界でダークエルフと小競り合いになったことがありましてね。その時に族長の妹がダークエルフに攫われたのですよ。八方手を尽くして探しましたが、見つけることができませんでした」
「なんと」
「一族最高と言わしめた族長の妹君の美しさは今でも忘れてはいません。そこにいる彼女の顔は鏡に映したようにうり二つといって間違いないでしょう。肌と髪は明らかに違いますが」
「それが本当なら族長に会わせてみては?私も、いや、総理でさえ、あなたの一族の長には会ったことがないのですから」
この大臣はなにを期待しているのだろうか。自分が誰よりも早くエルフ族の族長と会い、名声と知名度を上げたいのかもしれない。
「そうですねえ」
「うちは嫌だぜ」
機嫌悪そうにカフェは応える。
「それはなぜ?」
「そんな顔も知らねえ、しかも嫌いなエルフになんで会わなきゃなんねえんだよ!うちはエルフが大嫌いなんだ!」
「では、なぜ、そこにいるハイエルフのパフェ様と冒険者をしているのですか。彼女はエルフの中でも最高位のハイエルフですよ?」
「だからぶっ殺し合ったんだよ、こいつとはな」
左手の親指でパフェを指さすカフェ。
「こいつ呼ばわりは侵害ですが、まあ何度も殺し合いましたから」
彼女達が語ったものは驚くものだった。
次回投稿は3月11日23時頃です




