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105 情報屋

よろしくお願いします。

尺の都合で少し長くなってしまいました。

今回は早めに投稿します。


社マジメ・・・冒険者パーティ『ゼラ・ν・ム』のリーダー。B級ドキューダンジョン最下層に辿り着こうとしている。

 冒険者パーティ『ゼラ・ν・ム』のリーダー、社マジメはとあるバーに足を運び、そこで従業員に個室へと通される。


 ここは冒険者パーティ『ゼラ・ν・ム』を抜け、ギガスも退団した元メンバーが開いている店である。ギルド『ギガス』を抜けた後も、社マジメとは交流もあり、店を開くための資金を貸したこともあり、今は返済済みだ。


 そこでマジメは、ある人物を待った。


 待合時間きっかりに、その男は現れる。


 その男は情報屋だ。


 元冒険者で、日本ダンジョン協会の社員だが、ダンジョンで社マジメに救けられて以後、こうして情報を提供してくれる。


「またせたな」


「いや、時間通りだ」


 男は席に着いてお茶を頼む。情報を引き出す以外は、酒を控えるのが、この男の主義だ。


「それにしても、社がドキューダンジョン最下層近くまで進むとはな。やっと復活した感じか」


「そこまでじゃないですよ」


 社マジメは、別のB級ダンジョンで最下層まで辿り着き、総勢六十名で最下層ボスであるヒュドラと戦った。結果惨敗であり、二十名の仲間を失った過去がある。


 未成年が冒険者になるのは、保護者の同意が必要であるが、二十才以上は同意無しでも冒険者になれる。冒険者になる際に配られる規約書と契約書には、ダンジョンで死んだ事も書かれている。当たり前だが、ダンジョンはモンスターの狩り場ではない。モンスターが人間を餌として狩ってくる場でもあるのだ。実力と経験のある冒険者が、油断と隙からスライムに襲われて命を失うこともおかしくないのだ。


 それにはダンジョンに入れば、命の保証もなく、その責任はとれないということが明記されている。


 失った二十名の親と親族の中には、初めて自分の息子や娘が冒険者になったことを知った者までいた。


 どんなに親が日本ダンジョン協会やギルドを訴えても契約書がある限り、法律は覆らない。できることと言えば、ダンジョン廃止運動に参加することだが、国が魔石と魔宝石のエネルギー資源に頼っている今、冒険者は重要な存在である。それにダンジョンを立ち入り禁止にすると、ゴブリン以外のモンスターがダンジョンから出てくる恐れがあると噂されている。


 モンスターも日々進化しているのだ。


 ダンジョンは常に流動的であり、探索していないと大きく変動する。廃ダンジョンになることもあれば、モンスターが一気に増え出し、モンスターパレードが起きかねないとも限らないと言ったのは、国と契約を結んでいるエルフと魔術師の言葉だ。ダンジョンの脅威を防いでいるのも、また冒険者という声もあった。


 それでも、社マジメは、失った仲間のことを忘れたことはない。


 女にだらしなく、金と酒に目がない社だが、ダンジョンに掛けては真面目な男であり、今も悔恨の念に捕らわれているのも事実である。


 だからこそ、今回のドキューダンジョン攻略は成功させなくてはならないのだ。


「で、情報を教えて欲しい」


 社は、封筒を男に渡す。封筒を受け取った男は、中身を確認することなく鞄にしまった。


「いいだろう。だが、お前も付いていないな」


「?」


「いや、もしかしたら運命ってヤツなのかもしれないな」


「どういうことだ?」


「現ドキューダンジョン最下層のボスは、ヒュドラだ」

 その言葉を聞いた時、社マジメの心にトラウマが蘇る。


「なん・・・だって・・・」


「とある筋からの情報だから間違いない。しかも、全長は七十メートル超、首の数は九十九頭とのことだ」


 ヒュドラ。


(ここで、ヒュドラかよ!)


 社マジメに5年前の悪夢が過ぎる。


 ドクンッドクンッドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン。


 動悸が大きく早くなっていく。


 社マジメは、胸を押さえて心臓の鼓動を少しでも落ち着かせようとする。


 鼻で息を吸い、口から吐く。


「しかし、大きさはともかく、首の数が九十九頭なんて、ラードーンじゃないのか?」


 社マジメは、同じく蛇頭が多いモンスターの名を言ってみる。


 ラードーンもかなりのレアモンスターである。ヒュドラと同じ蛇系モンスターだが、ヒュドラ程の猛毒は有していないが、その口から炎を吐くやっかいなモンスターである。


「いや、録画したクランのビデオを確認したが、間違いなくヒュドラだな。といっても、これは二年前の情報だが」


「二年前・・・、相当前だな」


「以前もドキューダンジョン攻略を目指したが、挫折した連中もいるってことだ。そのクランは、なんとか撤退することができたが、おそらく現時点でもダンジョン最下層ボスは、ヒュドラで間違いないだろう」


「七十階層を越えた辺りから、モンスターの難易度が上がっている。継続困難でリタイアしているクランメンバーも増えている。今でギリギリの状態だ。それで、今回のヒュドラでは・・・」


「リタイア続出の可能性もあるな」


 九十九頭の大型ヒュドラ相手に今のクランでは難しいだろう。例え勝てたとしても犠牲者の数も計り知れないものとなる。


「くそっ、どうしたらいいんだ・・・」


「おいおい、再起を図るイケメン冒険者が、くそなんて汚い言葉を吐かない方がいいぜ」


「しかし、これ以上はどうしようもない」


「仲間を犠牲にするか、このまま撤退するか、か・・・。ダンジョンで犠牲なんてザラだぜ。『ゼラ・ν・ム』のパーティリーダーさんよ」


「わかっているが、規模が違いすぎる」


 確かにダンジョンの冒険者になるということは、モンスターと戦うこととなる。戦って勝つということは、負けることもあるということだ。そして、それがモンスターを倒すという以上、こちらも倒される意識をしなければならない。倒される=死だ。


 相手がヒュドラである以上、こちらも相当の苦戦を強いられるだろう。


「相手はヒュドラだが、お前のことだ。それなりの対策もしているのだろう?」


「ああ、解毒対策もしっかりしているし、倒し方も研究している」


 ドキューダンジョンを探索している以上、ヒュドラと戦うことも社マジメは想定していた。


 ヒュドラの毒は、異世界では幾人もの英雄と凶悪なモンスターを倒してきた猛毒だ。即死効果も高い。それを防ぐために何度もシミュレーションし、どう戦い仕留めるか、練習も重ねてきている。


 負けるつもりはない。


 それでも、B級ダンジョンの最難関、そのドキューダンジョンの最下層ボスなのだ。ただのヒュドラではないだろう。


「ギルドに援軍を要請するか?」


「いや、無理だろう。もし、そんなことをしたら、俺自身の冒険者としての評価を下げることになる。ギルド『ギガス』に俺の居場所はなくなる。それこそ今回のダンジョン探索は中止になりかねない」


 それだけは、どうしても避けなければならない。


「だったら・・・」


「だったら?」


「一つ提案がある」


「なんだ?」


「他のギルド所属の冒険者にクラン参加を募集することだ」


「他のギルドに?」


 大抵、クランは同じギルド所属で組むことが多い。ただし、同じレベルの冒険者パーティが少ない場合、他ギルドに依頼して、冒険者パーティを借りることもある。この場合、契約がしっかりしていないと、金銭面で揉めることもある。


 事実、階層ボスを倒した場合、多額の協力金額を求められることがあるのだ。


「だが、俺が所属するギルド『ギガス』は、大手ギルドだ。そこが他ギルドに力を借りたと知られれば、余計な風評被害を受けかねない。そんなこと、ギルドが許すはずないだろう」


「だからさ、社マジメ個人で他ギルドの冒険者に助っ人として頼み込むのはどうだ?あくまで個人同士の契約だ。依頼金はギルドではなく、お前が払う」


「そんなの無理に決まっているだろう。大体、どこに頼むんだ?」


「津上正愛さんのところの冒険者はどうだ」


「津上さんの?・・・ギルド『エウメニデス』か・・・」


 社マジメも、津上正愛がギルド『ギガス』に所属していた時、お世話になっていた元先輩だ。


 彼がギルド『ギガス』を辞めた時は、本当に悲しんだほどだ。


「津上さんに頼みこんで、ギルドによる契約にせず、個人同士の契約にしてほしいと頼み込むんだ。


「それでも、個人でとはいえ、相手が他ギルドに所属する冒険者との契約なら、自分のギルドに報告は必須だ」


「だが、このまま全滅して、社マジメというブランドを再び地の底に落とすよりましだ」


「もし、『ギガス』が今回の件について厳罰を下すのであれば、俺的にはお前が『ギガス』を辞めてもいいと思っている」


「俺はな、お前に助けられた恩がある。あの時は、本当に死を覚悟したんだ。生まれて初めてだったぜ。死んだ親父や、新しい男を作って俺を捨てた母親が頭の中に思い浮かんだのは」


「・・・・・」


「5年前の件で、お前が引退を考えた時、俺はそれでもいいと思った。だが、今一度立ち上がる努力をして、ダンジョンに挑むというのであれば、俺は泥をすすってでも勝ち続けてほしい。それが俺の本心だ」


「わかった」


 男の言葉で、マジメは覚悟を決めた。今まで大手ギルド『ギガス』の顔色を窺って、冒険者をしている自分がいた。だが、このままでは終われないし、終わることはできなかった。どんな結末が待っていようと、最善は尽くさねばならなかった。


「でも、冒険者であり、ダンジョンに潜り戦う以上、それなりに実力のある冒険者に入って貰う必要があるぜ。数だけ揃えて信用のできない連中に、命は預けられない」


 冒険者と冒険者は信頼関係で成り立っている。凶悪なモンスターと出くわした際、契約を結んだ冒険者パーティが逃げないとは限らないのだ。できれば、背中を安心して任せられる人材が良い。


「その辺の心配はいらないかな」


「どういうことだ?」


「俺が掛け合ってみたらと思う人物は、二人。一人は山門クララだ」


「山門クララ・・・」


 元同じギルドのガールズ冒険者パーティ『ハイ・D・レンジア』の元メンバーだ。理由は知らないが、今はフリーの冒険者のはずだと社マジメは思い出す。


「彼女は、今はフリーだが、近々ギルド『エウメニデス』に内定が決まる予定だ」


「確かに彼女がいてくれると、ありがたい、けど・・・」


 特にドラゴンライダーとしての彼女の強さは、まさしく一騎当千だろう。


「けど?」


「彼女は『ハイ・D・レンジア』として、俺のクランに入っていました。その『ハイ・D・レンジア』がほぼ解散状態で、俺のクランから脱退した今、彼女一人が再びクランに戻ってくることに心思わない連中だっているはずだ」


「そこはお前の説得でなんとかするしかないんじゃないか」


「無茶いうね」


「これぐらいの無茶じゃなきゃ九十九頭のヒュドラなんて倒せないさ。しかし、彼女が一人入るだけで、ダンジョン踏破が容易くなるのは確かだろう?」


「確かにそれは否定しませんがね」


 社マジメの目に少しだけ希望の光が宿る。ヒュドラに勝つ算段を考えているのだろう。


「そして、もう一人。乙橘勇大だ」


「乙橘勇大?」


 社マジメは首を傾げる。どこかで聞いたような名だ。

「以前、ギルド『ギガス』の上層部の息子が、同級生をダンジョンに誘い込んで殺そうとした事件があっただろう。その被害者だ」


「ああ」


 それで社マジメも思い出す。子供同士のイジメが殺人事件にまで及ぼうとした陰惨な事件である。


「その被害者が、今、冒険者になって活躍しているんだよ」


「なるほど」


 イジメにあった子供が、その後、売れっ子芸人やアイドル、スポーツ選手になることがたまにある。あくまでもスポーツや芸能という人間社会での枠組みでの話しだが。


「その元いじめられっ子の冒険者を引き入れろと?」


「そうだ」


「正直わからないな。その彼が冒険者になったのは、つい一年と少しのはずだ。そんな新人冒険者を入れても邪魔にしかならない」


「そうだな。それが普通の見解だ。全てが秘匿事項だからな。日本ダンジョン協会でも、その事実を伝えられているのは、ごく僅かだけだ」


「どういうことだ?」


 わけがわからない。この情報屋はなにがいいたいのか、社マジメは首を傾げる。しかし、この情報屋が仕事で冗談を言う男ではないことは知っている。私事と仕事を使い分け、さらに幾つもの仕事を有している、有能な男だ。


「お前、今B級のドキューダンジョンだよな」


「そうだが」

「そのドキューダンジョンで、お前達より先に各階層ボスを倒し、先に進んでいた者がいなかったか」


「・・・いた。どこの冒険者クランかは知らないが、止まることなく次々と階層ボスを倒し、俺等の前を行くクランが。ただ、離脱したのか、なにか理由があるのか、今は消えているが」


「それは連中じゃない。彼だ」


「どういうことだ?」


「彼、乙橘勇大が、自分の召喚モンスターと共に、一人で各階層ボスを倒し回っていたんだ」


 男からもたらされた情報はおよそ信じられない内容だった。


「冗談はやめろ。いくらなんでもハッタリが過ぎるぜ。いくら召喚モンスターが強いからって、一人で倒すなんて無理だ」


「嘘じゃないから怖いんだよなあ。乙橘勇大は、感知能力を持つ召喚モンスターで、潜むモンスターから出し抜き、大型の馬や狼に乗り、誰よりも疾く走破し、召喚モンスターを使いモンスターを倒してきた。そして、彼自身も恐ろしく強い」


「そんなことが・・・」


 できないわけではない。現にダンジョン内で馬を使用して行軍しているパーティもいる。しかし乗りこなすのは至難の業だ。


 凶悪なモンスターが蔓延るダンジョン世界で、生き残る術を持つ野生馬。


 召喚士や騎手が召喚カードに封印し、操ることは可能だが、それを乗りこなすことは別の話だ。乗ったとしても、その疾さに、猛々しさに、振り落とされてしまうのがほとんどだ。競馬場のように整備されているわけではない、荒れた地面を怒濤のように掛ける馬を並の冒険者では、操ることが困難である。さらに、その馬と同等に速く走れるモンスターが潜んでおり、馬は人間という重しを乗せながら逃げなければならない。


 騎手や騎馬のジョブを持つ冒険者は、ポニーぐらいの馬から乗りこなしていくのが普通で、超大型馬を乗りこなすには、それなりに修練が必要になる。


「日本ダンジョン協会も、ダンジョン内の彼を追ってはいるものの、見失うのがほとんどだ。腕利きの千里眼持ちの魔法使いでも、乙橘勇大のダンジョン踏破のスピードについていけないのが現状だ」


「化け物だな、そいつは。本当に虐められっ子だったのか?」


「ボクシングの世界じゃ、時々虐められっ子が、世界チャンピオンになることがあるらしいぜ。世の中なにが起こるかわからないさ」


「スポーツの話しだろ」


「だが、同じ人間の話でもある。このドキューダンジョンをクリアしたかったら、彼を引き入れてみろ」


「おいおい、本気で言っているのか?そいつは同じドキューダンジョンクリアを目指すライバルだぞ!」


「そうだな」


「そうだなって。ドキューダンジョンをソロでクリアしてみろ。それこそ、マスコミやテレビだって黙っていないぞ。一気に有名人、スターダムにのし上がるぞ」


「だが、世間では乙橘勇大は難易度の高いD級ダンジョンやC級ダンジョンをクリアしたことは知られていない。それを知っているのは一部の冒険者と日本ダンジョン協会、ダンジョン省と自衛隊だけだ」


「どういうことだ?」


「実際のところ、乙橘勇大は、自身が有名になることを望んでいない。それこそダンジョン探索の足枷になると思っている節がある」


「・・・・・・」


「彼は、ほとんどの冒険者にある、モンスターを倒し、ダンジョンクリアして有名になって、大金を手に入れて、ちやほやされたい承認欲求で動いているわけではない。モンスターとの戦いに刺激を求めるバトルジャンキーでもない。彼はダンジョンの探索を楽しみたいだけだ」


「ダンジョンの探索を楽しみたい?」


「ある意味で本当の冒険者だろうな。いろんなダンジョンを回り、探索してモンスターの生態系を調べて観察し、珍しい魔石や魔宝石を見つけて一喜一憂する。この場合、高価そうな魔石や魔宝石が高く売れそうだから喜ぶわけじゃない、本当に見たことのないものだから、喜ぶだけだ。そういう意味でいうなら、有名になることは、彼の自由時間を阻害にしかならない」


「だけど、ダンジョンだぞ。死に物狂いでモンスターと戦い、何ヶ月も掛かってモンスターが潜む舗装されていない道なき道を旅する。命の保証はどこにもない。そんな場所をただ楽しみたいという気持ちでドキューダンジョンに入っているっていうのか?」


「彼にしてみれば、モンスターも、危険区域も、迷宮も、罠も、自分の好奇心を満たすものでしかないわけだ。要はダンジョンオタといったところか」


「世に言うダンジョンオタでも、自分の知識を自慢したがるものだぞ」


 社マジメの知り合いにも、ダンジョンオタはいるが、ただダンジョンの知識を自慢し、ひけらかし、もしくは自分の趣味を誰かに知ってもらい、それを分かち合いたいと思っている人間が多かった。


「そうだな。だが、彼は自分の知識を誰かに教えることはないだろうな。別に仲間や知己を作りたいと思っているわけではない、ネットで繋がりたいとも思っていない。彼はダンジョンの不思議を解き明かすことに喜びを感じているわけだからな」


 よくいえば独りよがりの探求者か。誰かが見つけるまで、彼の才能は社会に活かされず、世間に知られることなく埋もれていくタイプ。


「なるほど。あくまでダンジョンは、自分の好奇心を満たすだけで、他者に教えて悦に浸るわけでも、仲間を作りたいわけではないわけだな」


 ある意味、一番自分勝手な奴なのだろう。乙橘勇大という少年は、誰かに認められたいわけでも、賞賛されたいわけでもない、ただダンジョンの冒険に没入したいだけなのだ。

 そう考えると、彼がここまで強くなった理由もわかるというものだ。


 乙橘勇大は、他の冒険者とは違う視点で、ダンジョンを見ている。視点が違えば見ている物も変わってくる。普通では見ることできない、見つけられないものが見ることができ、柔軟な発想で、ダンジョンの攻略法を手に入れることができる。


「そういうことだ」


「そんな変わり者の冒険者が、俺と手を組むのか?それに津上正愛さんのギルドの冒険者だぞ。『ギガス』のお偉方がなんていうか」


「知ったことかよ。俺はな、お前が女や金にだらしないのは知っているし、放っておけばいらんことを言って、世間で炎上することも想像できる。けどな、お前のダンジョンの冒険者としての才能は買っているんだ。このドキューダンジョンをクリアできれば、お前はもう一段皮が剥けると思っている。今のままじゃ皮被りの包茎のままだ」


「ひっでえな、お前」


「お前が自分のプライドを捨てて勝ちに向かうか、それともプライドを持ったまま、どこぞを彷徨うか、お前自身が決めるんだな」


「情報屋にしては、俺に肩入れすぎじゃないか?他にもなにか目論見があると思うんだが」


「正解だ。日本ダンジョン協会やダンジョン省は、乙橘勇大の情報が少しでも欲しい。彼がどこまでダンジョンを熟知し、手に入れているのか、少しでも構わない。お前が乙橘勇大と共に強大なモンスターと戦い、感じたことを俺に教えてくれればそれでいい」


「なるほどな」


 それなら納得できる。まさに情報に見合った肩の入れようだ。


 情報屋は席を立つ。


「ここはお前の奢りだ。ドキューダンジョンをクリアしたなら、俺に奢らせてくれ」


「ああ」


 社マジメは強く頷く。取り敢えず活路は見出すことはできた。後は、自分がどうするか、社マジメはしばらく考えに浸ることになる。


お読みいただきありがとうございます。

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