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99 とある冒険者パーティの幸運

よろしくお願いします

 それは必然で有り、当然の出来事だった。


 ある冒険者パーティがC級ダンジョンを攻略中、モンスターに襲われて逃走。追い込まれた冒険者パーティは、モンスターの手の届かない崖まで逃げ込む。


 そこは最重度危険区域であり、ここには強大な力を持つゴーレムが襲ってくるのだという。


 ここには幾度も自衛隊や冒険者クランが挑んだが、通ることはできず、最終的に迂回して進むに至る。


 すでに冒険者パーティの体力は、皆尽きかけており、モンスターが襲ってきたら勝ち目のない状態である。せめて休んで体力を温存できる場所が必要であった。


 高層ビル群のような連なる崖の合間を抜けながら、冒険者パーティは周囲を警戒する。


「モンスターの動向はどうだ?」


 リーダーのA君(仮称)は、魔法使いの少女Cちゃん(仮称)に声を掛ける。


「はっきりとわからないけど、気配を感じるわ。私達を追ってきているのは確かね」


 魔法使いのCちゃんは、感知能力を有しており、モンスターの気配を感じることができる。


 その時、遠くからギャオオオオオンッと叫び声が聞こえた。


「なんだ?」


 全員が叫び声のあった方向を向く。


「おそらく、私達を追っていたモンスターだと思う。気配が消えたわ。逃げたか、やられたかのどちらかだと思う」


「あの、モンスターが?誰に?」


「誰にって、やっぱりここに潜むモンスターじゃねえの?忘れたのか、ここは最重度危険禁止区域だぜ」


 そういったのは、狩人Bさん(仮称)だ。


「てことは」


「やはり」


「ゴーレムか」

 この区域に潜むロックゴーレム。


岩で出来た動く人型巨人は、冒険者クランにとって難攻不落な存在だった。その岩の皮膚は強固で、並の剣や魔法では傷一つ付かず、動きは鈍重だが、その強腕は魔力でコーティングされた鋼鉄すらも打ち砕くほどだ。


 リーダーA君(仮称)は悩む。自分達を追っていたモンスターがゴーレムにやられたというのであれば、ここを通る道理はない。ここは引き返したほうがいいのではないかと。


 しかし、モンスターが全滅した確証もない。ただ引き返しただけで、自分達が戻ってくると踏んで、潜んでいる可能性もなくはないのだ。しかし、その悩む時間も長くはなかった。


「強い魔力がこちらに近づいてくるわ。おそらくゴーレムよ」



「どこからだ!」

「私達が来た方向から」


 おそらく優先順位が上がったのだろう。自分達よりも強いモンスターを倒してから、弱い自分達を狙ってきたか。


「くそっ、ゴーレムが俺達の存在に気付いたか?!このまま前に進む」


「前に進むって、この区域を抜ける気か?」


「今はこの崖を抜けるしかない。急ぐぞ!」


 冒険者パーティは、崩れそうになる足を堪えながら前に進む。しかし、死は目前に迫っていた。


 その時である。リーダーA君(仮称)が足を滑らして壁に当たった瞬間、ガキッと音がして、その場にいた全員が吸い込まれるように横穴に吸い込まれていった。


「なんだ?ここは」


「隠し通路?」


 一体どうしてこんな所に隠し通路があるのか。誰がなんのために?冒険者パーティは、わけがわからないまま魔法使いCちゃん(仮称)の光魔法で灯りを点す。


「これは?」


「嘘でしょ?」


「マジかよ・・・」


 冒険者パーティ全員が見たのは、そこは魔石と魔宝石の採石場だった。


 リーダーA君は、落ちている魔宝石を拾う。魔法使いでなくてもわかる、魔宝石に宿る強大な魔力。メンバーそれぞれが貪るように魔石と魔宝石をかき集める。


「なるほど。ゴーレムはこれを奪われないように、守護していていたのか」


 なんでも詰め込めるマジックポシェットのような便利道具はなく、彼等は持てるだけ高価そうな魔石や魔宝石を自分の荷物に詰め込んで、まさしく死ぬ気で欲望に駆られるままに危険区域から出て、疲労困憊やらをどこかに追っ払い、ダンジョンから出た。


 当時の事を元冒険者のAさん(仮称)に聞くと、どうやって最重度危険区域から出たのか、どうやってダンジョンから抜け出すことができたのか、覚えていないのだという。


「ただ、全員の目が¥か$になっていたのは覚えている」


 彼等はすぐさまアイテム買取店に行き、魔石や魔宝石を売る。


 すると、持っていた五十点の内、十七点程が数百万で売れて、残りも百数万円という高価価格で買い取りされた。しかも、その内の数点がオークションに掛けられて、千数万円で売られることになった。


 この事に冒険者パーティ全員目を白黒させて、歓喜した。


「凄い!俺達は幸運を勝ち取ったんだ!」


「これで借金を返せる!」


「アパートの未納分を払える!」


「俺、欲しかった車があったんだ!」


「酒だ!女だ!」


 彼等は一日にして大金持ちとなったのだ。大金を手にした直後、彼等は高い店で豪遊した。飲めや歌えやの大騒ぎで、我を忘れて遊びまくった。


三日経って正気に戻った後、このことはギルドにも日本ダンジョン協会にも報告しない、親友や親家族にも教えないことを冒険者パーティ全員で約束を結んだ。そして、準備が整い次第、再びあの危険区域に入る計画を立てる。


しかし、口に戸は立てられなかった。


彼等全員が自身のSNSやブログに、レアアイテムを手に入れたという匂わせる発言をし、調子に乗った彼等は次々とヒントを出してしまう。それらを答え合わせのように整合していくと、どこで高価な魔石や魔宝石が採れるのか、簡単に正解に辿り着いてしまったのだった。


中には好きなネットアイドルや、口説こうとしていた同じギルドに所属する女性冒険者に暴露する者もいた。


結果、○○市○○町○○山にあるC級ダンジョンの危険区域に、魔石や魔宝石が眠っているという正確な情報が広まる事となった。さらに、特定の壁を押すと採掘場に辿り着くという致命的なまでの情報まで知られてしまう。


 情報はあっという間に流布し、まだ新人の冒険者パーティからB級ダンジョンクリアの凄腕冒険者までが、そのC級ダンジョンに集まることとなる。


 冒険者パーティは、この最悪な事態を擦り付けあい、最終的にパーティは解散。その後は泥沼の手に入れた金の奪い合いに発展していくのだが、別の話となる。




 こうして、魔石、魔宝石のトレジャーラッシュが始まるのだった。


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