第1話 6月10日断誕生日ー前日譚ー 作者:ますあか
作:ますあか
(サットヴァ視点)
私、サットヴァは、「ばーすでーぱーてぃー」でのお祝いに慣れてきたと思っていた。
「ばーすでーぱーてぃー」も何度も開催し、プレゼント選びも工夫を凝らし、みな喜んでいたと感じていた。
しかし、今回の「ばーすでーぱーてぃー」ほど何を贈ったらいいか分からない相手はいない。
6月10日は断の誕生日だ。
風魔に所属する忍の断は、ミステリアスという言葉を体現したかのような人だ。
いや、そもそも人なのかも怪しい。
以前、私は断の中にどのような人がいるのか探ろうとしたことがある。
しかし捉えることができたのは不可思議な波長だけで、人なのかすら分からなかったのだ。
だが、嫌な人物かというと、そうでもない。
仕事ができるし、風魔の忍び達とはうまくやれているらしい。
私がうんうんと唸りながら断のプレゼントを考えていると、天界と人界との橋渡し役である伊賀の忍カルラがやってきた。
サットヴァ「断のばーすでーぱーてぃーなんだけど、どんな祝い方をしたらいいと思う?」
カルラ「申し訳ございません、サットヴァ様。私も断とは接点がなく、どのような分かりません分かりません」
サットヴァ「相手の情報が分からないと、ここまでプレゼント選びが大変になるのね。そもそも食事を取るかも分からない、お菓子も贈れないわ……」
カルラ「そもそも断が男性なのか女性なのか、人間なのかも分かりません。なので、サットヴァ様。そのような違いで考えずに、普段使っていて役に立つ物を贈ったらいかがでしょうか」
サットヴァ「そうね、贈りたい相手が本当に役に立つ物を贈りたいわよね。よし、考えてみるわ!」
私は断の誕生日プレゼントを真剣に考え始めた。