第1話 3月27日狐白誕生日ー前日譚ー 作者:ますあか
作:ますあか
(サットヴァ視点)
私、サットヴァは、かつてないほど頭を悩ませていた。
3月27日は咲耶と狐白の誕生日だ。
同じ日に誕生日なのは、決して偶然ではない。
咲耶と狐白は双子なのだ。
もっとも咲耶は自分に双子の姉妹がいることを知らない。
狐白は咲耶のことを知っているが、それを誰にも話していないのだ。
そしてもうひとつ問題がある。
咲耶と狐白はそれぞれ所属するクランが異なるのだ。
サットヴァ「カルラ。今度のばーすでーぱーてぃーはどうしたらいいと思う?」
カルラ「咲耶と狐白の関係を知っているのは、ごくわずか。同時開催は見送るのが一番いいのではないでしょうか。特に狐白から、「ばーすでーぱーてぃー」の開催は不要と連絡がありましたし」
サットヴァ「そうね、……それしかないわよね」
狐白の要望は、咲耶を優先しろと暗に伝えているように思えた。
でも、同じ日に祝ってあげたいのよねと私は思う。
私は数々の「ばーすでーぱーてぃー」に参加し、祝い、分かったことがある。
祝うという気持ちは、とても素晴らしいこと。
祝いの形には、様々な形があること。
狐白は、特殊な環境で生きている。
「ばーすでーぱーてぃー」が開催できなくても、せめて気持ちをこめてお祝いしたい。
サットヴァ「カルラ! ふたりの誕生日祝いは、プレゼントを用意しましょう」
カルラ「そうですね。しかしプレゼントはどのようにして渡すのですか? 私は天界に行くことができるとはいえ、伊賀に属していますし……」
サットヴァ「大丈夫よ。私が届けに行くから!」
カルラ「それは?! サットヴァ様、あの大丈夫ですか……?」
サットヴァ「なにがかしら」
カルラ「サットヴァ様が急に来訪したら、風魔の忍びたちが驚くのでは?」
サットヴァ「あら、そうかしら。でも、いいんじゃない? 風魔の子達とはあまり話せてなかったからいい機会だわ」
私は狐白ちゃんの誕生日プレゼントを真剣に考え始めた。