通勤電車は夏恋物語
こんにちは〜! 聖属性エッセイスト、ひだまりのねこですにゃあ。
連日暑い日が続いております。コロナでストレスがたまっている方も多いでしょうし、体調にはくれぐれもお気を付けくださいね~。
そういう私も思い切り体調を崩しまして、数日うなされておりました~。もともとスリムなのに、もう着れる服がないんですけど……割と深刻な悩みなのです。
普段以上に夏は体力、精神力を削ってきますので、怖いですよ? 無理は絶対ダメ! 疲れたな~と思った時にはもう手遅れなんてこともありますから、思い切って全部放り投げて休むのも大事!
でもね~学生さんは大変です。宿題や課題がありますからね~。出来ればお盆までに終わらせて、夏休み後半戦は悠々自適といきたいものです。
ふふふ、その点、社会人はそういうのないですからね~……生活はかかってますけど。
さて、お盆休みを目前にして、休んでしまった私。
軽くなった身体を引きずるように今日は出社したのですが、そんな通勤電車でのお話。
また通勤電車かよ!? そう思ったあなたは私のファンですね。ありがとうございます。
ピンとこない人は、私のエッセイ集を最初から読みましょう。ふふふ。
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暑い……危険な暑さだ。
駅までの徒歩20分。パンパンのかばんを背負い、山を下り、そして高架駅まで長い坂を登る。
腹が立つのは、高架駅なのに、ホームはめっちゃ低いところにある。改札を抜けると今度は延々と下る羽目になる。上げてから落とす。まさに鬼畜の所業ここに極まれり。
病み上がりの身体には地味にこたえるのだよ。それなりに大きな駅なのに冷房効いてないし!! トイレなんかサウナみたいだし!! 内心文句を言いながら電車に乗る。
はあ……涼しい。生き返る~。
そんな私の脇を抜けて一匹のアブラゼミ(綾瀬は○か似美少女)が車内に飛び込んでくる。
ふふふ。貴女も涼みたいのですね。どうぞどうぞ、広い車内、お好きな席に。
だが、彼女はよりにもよって、座っていた女子高生のスカートにしがみ付いた。
肝心の女子高生は幸か不幸かスマホに夢中で気付いていない。
私は便宜上、セミの彼女を時雨、女子高生を桜と呼ぶことにした。もちろん蝉時雨とセミの大好きな桜の木からの引用だ。安易でスマンね。
くっ、どうする……このまま見過ごしていいのか? 声をかけるべきか、逡巡する私。
でもまあ時雨は無害なセミだし、しかもお淑やかな彼女は鳴かないからね。
放置しても問題なかろうと結論付ける。
そして、私はこの後の展開に思いをはせるのだ。
今は夏休みのはず。となれば、桜ちゃんはおそらく部活に行くのだろう。
ブラスバンド部所属の彼女は、密かに同じ部の先輩に片想い中だ。
「おはよう、桜! 今日も暑いな」
「お、おはようございます、夏樹先輩!!」
「あれ? ずいぶんリアルなブローチ付けているんだね?」
「へ? ブローチって何? きゃあ!? せ、セミっ!? いやああああ!!?」
「じっとしてろ桜、今取ってやるから」
「……先輩。ありがとうございます」
――――ババババババッ!!――――無言で突然飛び立つ時雨。
「きゃあっ!?」
驚いてバランスを崩す桜。とっさに抱き寄せる先輩。
「せ、先輩!? も、もう大丈夫ですから……」
「……悪い、もう少しだけこのままでいいか?」
うむ、ここは黙って見送ろう。桜ちゃんには夏樹先輩と幸せになってもらいたい。
電車を降りる瞬間、私は時雨にアイコンタクトをとる。
『上手くやれよ』
『大丈夫かしら……?』
『大丈夫、先輩は優しいから、万が一捕まってもそっと逃がしてくれるはず』
「セミから始まる夏恋物語発車しま~す!」
電車のアナウンスすらそんな風に聞こえなくもない。
残念だけど、私はここで途中下車。まるで私の人生そのもの。決して主人公にはなれないけれど。私らしくてそれも悪くない。
そんな微笑ましい金曜の朝のお話。
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おまけ。セミ基礎知識。
セミのメスは鳴きません。音を調整する腹弁という器官がメスにはなく、代わりに卵を産みつけるための卵管が備わっているから、正確に言えば物理的に鳴けないのです。
セミも熱中症になります。30℃を超えると徐々に鳴かなくなり、35℃でほぼ沈黙します。人間と同じように死ぬこともあるのですよ~。
怖いぜ熱中症!! ちなみに蚊も熱中症になります(笑)