第93話 悪夢の始まり
最悪な悪夢が始まるのです(´ºωº`)
夢であってほしいですm(_ _)m
各国が悪魔の脅威に晒されている時、1台の馬車がマカリオス王国領内を疾走していた。
オルフェと刹那だ。
オルフェに寄り掛かり瞳を閉じる刹那。
《オルフェたん…私は大変な罪を犯してしまいました。
ディーテ様を裏切り、国を裏切ってしまった…そして、今こうして貴方に国を裏切らせてしまっている…》
「刹那よ…これは俺が望んだ事なのだ。
何者にも脅かされる事の無い世界、そこにお前を連れて行くと決めたのは俺自身なのだ…」
《私は、貴方となら冥界でも…》
「ならぬ。冥界は死者の国…王である俺とケルベロス以外、生ある者は行くことは出来ぬのだ」
《オルフェたん…私は貴方と居られるなら何処でも構わない。どんな罰を受けても、何を言われても後悔はしない》
「刹那…先に仕事を終わらせてくる。続きはその後語り合おう」
オルフェ達の前に現れたのは、ドワーフ国へ向かう悪魔の軍団。
その軍団を率いるのはゲノスの1人、序列2位アスモデウス。
悪魔の軍団を避けようともせず突っ込んで来る馬車には気付いていたが、目と鼻の先に魔王パーシスという大物がいるのだ。
(恐怖で頭がおかしくなった人間に違いない…)
アスモデウスは、そう思いドワーフ国を目指す。
どうせ配下の悪魔共が勝手に群がるのだ。
飛行するアスモデウスの真下を馬車が通過しようとした時、妙な光景に気付いた。
空間の捻れが迫って来る…
その捻れは美しく大きな弧を描き悪魔の群れを呑み込む。
オルフェの専用武器”蒼き煉獄の鎌”の斬撃だ。
アスモデウスは辛うじて躱す事が出来たが、配下の悪魔達は粉々に吹き飛んでしまった。
(馬車に魔王が乗っていたというのかッ!?)
「邪魔をするな…」
背後から聞こえたのは、まだ見ぬ圧倒的強者からの一言。
(大悪魔の私が恐怖している…)
その一言に、アスモデウスの身体は凍りついた。首筋に蒼い輝きを放つ巨大な刃物が食い込む…
サタンと対峙した時の恐怖が蘇ったがアスモデウスは直ぐに、その恐怖から解放される事となる。
首を刎ねた”蒼き煉獄の鎌”は人間も悪魔も分け隔てなく、その魂を刈り取る。
意識が断たれ、恐怖からは解放されだが、それで終わりではなかった。
オルフェは冥界の王の名の元に命令を下す。
”悪魔の魂に永遠の罰を与えよ”
1万年で悪魔は復活するらしいがそれでは生温い…冥界の住人はオルフェの命令を忠実に実行する。
悪魔達の魂は冥界の最下層にて見るに堪えない拷問を永遠に受け続けるのだ。
……………………………………
グルナを追うディーテはマカリオス王国領内に入っていた。
マカリオス王城の横を通過したが悪魔達は居ない、どうやら無事の様だ。
アルトミアの無事を確信し順調に進んでいたディーテは悪魔達と交戦中の一団に遭遇する。
戦っていたのは魔王アルトミアと、その家臣である。
『アルトミア!?何してんだ!?』
《ん?ディーテよ!グルナの元に向かっているのであろう!!此処は任せるがいい!!》
『アルトミア!すまない!!』
この件について、後にアルトミアは語っている。
ん?あの時の話か、妾は最強魔王ぞ?悪魔に遅れを取る事は無い。ディーテの邪魔をする輩は生かしておかぬ!!それだけの事よ。
家臣達も珍しくやる気であったわ。
しかし、実際には少し違う様だ。
家臣の1人は証言する。
アルトミア様は、ヘルモス王国で発生した赤い閃光を目撃した途端、狂ったように喜び城を飛び出したのです…
え?あぁ仰る通りです。いつも狂っているので、いつも以上にと言った方がいいですね。
恐らく、悪魔の支配するアグロス国に殴り込みに行こうとしていたのでしょう。
勿論、我々は必死に止めましたよ?
しかし、あの人は普通じゃありませんから…
そんな事をしていたら、悪魔達がやって来まして、止むを得ず戦闘を開始したのです…
悪魔達もさぞ驚いたでしょう。
途中でネモフィラ連邦国の女王が、その現場近くを通りましたが偶然です。
兎も角、事は片付いた。
家臣達は知らない事だが、その悪魔達を指揮していたのは、ゲノスの1人。
序列3位のレヴィアタン。虐殺され1万年の眠りに就いていた。
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マカリオス王国領、アグロス国との国境に程近い街にある月への神殿。その神殿にある転移装置を通れば神々の住む月の神殿へ行く事が出来るという伝説がある。
そこにアレクシア、オルフェ、刹那の3人は無事到着していた。
《オルフェ様、ご案内致します》
アレクシアを先頭に神殿内部を進む3人。
神殿内部は部屋が多く有り複雑だ。部屋の中には特に物は無く、大きな柱が無数に有るのみ。部屋と部屋とを結ぶ通路も然り、同じ様な景色が続く。
先頭を進むアレクシアが突如吹き飛ばされ壁に激突する。
《!? アレクシア!!》
柱の影から現れたアレクシアを吹き飛ばしたと思しき人物…それはグルナだった。
《グルナッ!何故アレクシアを!》
「オルフェ…貴様、今何をしているのだ」
オルフェ達の前に立ちはだかるグルナは怒りの感情を剥き出しにする。