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魔王種  作者: のんびりMUCC
終末戦争編
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第85話 混沌

エトリア国へ移送されたミダスに森の国の回復薬を飲ませ、尋問を始める。

どうでもいい事だが、改めて森の回復薬は素晴らしいと思った。完治してしまったのだ。


「お前にも話があるが、先に魔界の王と話がしたいな」

《もう居ねぇよ…》

「どう言う事だ」


ミダスの話では、ある日突然、魔界の王は別の人間に受肉しミダスの元を去ってしまったらしい。

最悪だ。どおりで呆気なく身柄を拘束出来た訳だ。

クレイオスが見た2度目の世界の終わりでは、悪魔に取り憑かれた人間の魂は食い尽くされ完全に消滅していたとの事だったが、何でコイツは生きてるんだ?

アザゼルを呼び、魔界の王サタンがミダスの中に居ないか確認してもらったが、本当に居なかったのだ。

俺達の前に居たのは、純ミダスだった。


「もう少し詳しく話せ」

《話すから手荒なマネはするんじゃねぇぞ!! 》


いちいち癇に障るやつだ。

今、生きてるだけでも十分人道的な扱いを受けていると思ってもらいたいものだ。

北の連邦国戦で敗戦が確実になり、ミダスは無人島に逃亡。

数年間潜伏していたそうだ。

その間に魔界の王と出会い契約したらしい。

その契約というのは、サタンの存在維持の為に身体を入れ物として使わせる。代わりに、力を行使する権能をもらうという契約だ。

つまり、受肉では無いという事なのだ。

ミダスの方が多く利のある契約に思うが、それほど生命維持装置を必要としていたのだろうか。

前世の記憶では、悪魔は意外と約束を守る。

ミダスが思う存分サタンの力を行使出来たとは思えないが、魂を食い尽くされなかったのはサタンが約束を守ったからだろう。


「サタンは配下を呼んだのか?」

《あぁ、魔界からゲノスって呼ばれる魔将達を7人呼んでたぜ。エトリア国と何て国か知らねぇが新興国から人間を攫って受肉してた。とんでもない連中だった…お前ら死ぬぜ》

「そいつらは何処に行ったんだ?今何処に居る?」

《知らねぇよ!絶対に見つけ出せねぇぞ?怪しいヤツを手当り次第皆殺しにするしかねぇだろうな。

って言うかよ。他に聞きてぇ事があるなら、先ずはメシぐらい出せよ!あ!?》

「…………………」

「心配するな、メシは出してやる。お前の処分は此方で勝手に決めるから安心してメシを食うがいい。質問は終わりだ」

《ちょっと待てよ!勝手に決めるんじゃねぇよ!!おいっ!!》


すまないが、お前の様なカスの相手をしている暇は無い。

不味いな…受肉した悪魔は、既に人間として各国に紛れている。

アザゼルは見極め出来るが、何億人居ると思ってるんだ…発見は不可能だろ。

また、緊急会合だ。


「と言う訳で、ミダスを拘束する事は出来たが肝心の魔界の王サタンは、既に人間に受肉し、人間として何処かの街に紛れている可能性が非常に高い」

《参ったな…即ち、連中の存在を把握出来た時というのは何か問題が発生した時となる訳か…》

「そうなるな…アザゼルは見分ける事が出来るが1人ではとても無理だ」


その日決まったのは国境の警備を厳重にし、人の流れを制限する事だ。

物資は鉄道があるので流通に問題は無い。

他国への渡航を自粛してもらう訳だが、名目は凶悪犯が逃亡中の為、厳戒態勢を敷いているという事でいいだろう。

悪魔の存在は伏せておく。

中世の魔女狩りの様な混乱が起きないようにする為だ。

1度気になりだすとダメなのだ。疑心暗鬼になってしまえば、それこそ内部から崩壊しかねない。それ程、人間の心は弱いのだ。


「自粛する様に御布令を出すが動く者も居るだろう。ならず者の類だ。警告を無視して越境しようとした場合は拘束する」


国境付近に簡易の収容所を建設し、拘束した者達を隔離する。

下手に街に近付けたくないからだ。

捉えた者達の情報は、適宜報告し共有する。


それとミダスの処分についてだが…


『グルナ!1発殴らせろ!!…いや、もっとだ!!』


ディーテがテンションMAXだ。どうしたのだろうか?

そもそも、1発殴って終わりではダメなのだよ。不良マンガの仲直りシーンでは無いのだ。


『あの馬鹿野郎のお陰でグルナが大怪我したんだぞ!1発では飽きたらん!やっぱり5~6発はブン殴らせてくれ!!』

「……ディーテ、気持ちは嬉しいが落ち着いてくれ」


話し合いの結果、ミダスは禁錮1000年となった。プティア王国に鉄格子等の無い専用の建物を建て、そこで1人で過ごしてもらう。

何故、鉄格子無しかというと金属が身近にあるとミダスは加工してしまうからだ。

野望を達成出来ない事が確定した状況で、する事も無く、誰かに会う事も無く人生が終わる。

日々が苦痛だろう。

因みに逃走侵入防止結界の魔法陣の上に建物を建てるので監視等で人手を割く必要は無い。

結界は、プティア王国在住の魔王デメテルが維持するそうだ。

デメテルは全く戦闘向きではない上に引っ込み思案だ。だが、惜しみなく協力してくれる良い奴なのだ。

どうでもいい話だが、デメテルは森の国の特産品”鬼殺酒”をお気に召している。


《悪魔を炙り出す方法を考えなくてはならんな!急務じゃ!》


その通りだ。

悪魔の件が公になれば混乱が起きるのは間違いない。どの様な問題が起こり悪魔の存在が知れ渡ってしまうかにもよって、混乱の規模は変わるだろうが…

出来る事なら、見つけ出して排除したいものだ。


森の国に帰り、上杉に国境の警備を強化するよう指示を出す。

悪魔とは、どの様な行動をするのだろうか…身近に悪魔が1人居るが、全く悪魔っぽくない。

アザゼルの観察は何の意味も無いな。


《グルナしゃま?わたちの顔に何か付いてましゅか?》

「ん?可愛いやつだなと思って見てたんだ」

《えっ!?照れましゅる//》

(ふふっ、かわいいヤツめ…)


こんな感じで、色々考えたり街に出て観察したりしているが無駄だ。

しかし、試行錯誤の日々は間もなく終わりを告げるのであった。

この世界の人間の寿命は地球の倍ぐらいです。なのでミダスの禁錮1000年は終身刑となります⸜( ´ ꒳ ` )⸝

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