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魔王種  作者: のんびりMUCC
終末戦争編
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第82話 悪魔の記憶

アザゼルと食事を終え、街に帰った。

魔界の王について、色々聞きたいがアザゼルは眠そうだ…少し目を離した隙に俺のベッドで眠ってしまったアザゼル。

可愛い寝顔だ…

アザゼルは、確か魔界からやって来たはずなのだ。

そして、今回の発言から察するにアザゼルと魔界の王は無関係では無い。

明日、料理を作りながら聞いてみるとしよう。


翌朝、料理の続きだ。


《グルナしゃま!わたちは何をしたらいいでしゅか!?》

「トマトを角切りにしてくれ。ケガしないようにな」

《はい!》


何故だ…またしても不安だ。

アザゼルの包丁を持つ手がプルプルしているからだろうか…それとも大量のトマトを切り終える事が出来るか心配なのだろうか…

答えは前者だ。

アザゼルが怪我をしないか心配で仕方無い…

俺はアザゼルを見守りつつ、玉葱や人参、キノコ等をカットしていく。

魔界の王について話を聞こうと思ったがダメだ。

話し掛けると怪我をしそうなのだ。無念だ。


数時間後


《グルナしゃま!終わりました!!》

「ご苦労さま、頑張ったな!」


後は、昨日切り分けて血抜きしたテールと一緒に煮込んでいく。

漸く、話が出来そうだ。


「魔界の王の事を詳しく聞かせてくれないか?」

《うーんと、キモサタンは…》


アザゼルの話では、魔界の王はサタンという名で、兎に角キモ怖いらしい…

この世界に転移させられたアザゼルは、サタンの命令で森の国に来たそうだ。

目的は内部からの破壊。要は工作員って事だ。


「うーん…そうなのか…で、アザゼルは破壊工作はしないのか?」

《わたちはキモサタンに騙されてたのでしゅ!!あのキモサタンが邪魔者って言うぐらいだから、きっとすごい魑魅魍魎達だと思って来たら…全然違ったのでしゅ!!》


ふむふむ…


《みんな優しくて…美味しいゴハンもあって…キレイな景色があって…キモサタンは、この世界を支配したいって言ってまちた!でもキモサタンが支配したら魔界みたいにつまらない世界になるでしゅ!キモサタンの好き勝手にさせたらダメなのでしゅ!わたちはキモサタンの邪魔をすると誓いましちた!》


ふむふむ…

嘘を言ってる様には見えない…


「アザゼルはサタンを裏切ったって事か?大丈夫なのか?」

《裏切りまちた…仕返しされるかも知れないでしゅ…》

「そうか…支配するって事は戦争の準備でもしてるのか?」

《してましゅ!気を付けるのでしゅ!今は人間の姿ですのん!子分共を呼ぼうとしてまちた!》


参ったな…そのヤバい悪魔は何処に居るんだ…全然見当もつかない。恐らく、その人間ってのはミダスだ。

サタンの居所を突き止めるのも急務だが、問題はアザゼルも悪魔だという点だ。

飽くまでも前世の記憶”では”だが、悪魔は嘘を吐き、人を騙し裏切る。災いを撒き散らすイメージだ。

なので、アザゼルが本当の事を言ってるという確証は無いのだ。

幸いにも俺が知ってる限り、この世界で悪魔について知ってる者は転生者であるパーシス以外居ない。

陣内でも知らなかったのだ。もしかしたらだが、知ってる可能性があるとすれば、オルフェとアルトミア…それに巨神族のクレイオスか?

仮に知っていたとして、そのイメージが俺の前世のイメージと合致していたとしたら、アザゼルは最も信用出来ない存在となるだろう。

何れ悪魔の存在は公になるのだ。

この件について、各国の王達と早急に話し合わなくてはなるまい。

ディーテが帰って来たら相談するとして、今は料理の続きだ。


《グルナしゃま…》


アザゼルは何かを感じ取ったのか、不安な表情を浮かべている。


「アザゼル?味見してみようか」


普通のテールスープだけにしようかと思ったが、尻尾が大量にあったのでトマトバージョンも作ってみたのだ。


《……おいちぃ♪》

「美味しいな!大成功だ!」

《ディーテしゃま喜んでくれるでしょうか?》

「きっとモリモリ食べてしまうぞ」

《モリモリ…//》


コイツは可愛いヤツだな…

まるで我が子の様だ。


ディーテが帰国し、森の族長達と夕食をとる。

スープは街のみんなにも振る舞われた。


『うまっ!このスープはグルナとアザゼルが作ってくれたのか!?』

《そうですのん!頑張りまちた!//》

《コレお肌にいいかも♡》


エキドナも気に入ってくれた様だ。

食事も終わり、魔界の王の件について話を始める。


「実は魔界の王が、この世界に来てるらしい。この世界を支配すべく準備中との事だ」

《魔界の王って何者なの?》

「うーん、一言で言うと悪魔だ」

『アザゼルと同じ悪魔か?』

「そうだ。アザゼルも魔界の王が呼び寄せた悪魔だ」

《なんか害は無さそうな気がしない?》


エキドナがそう言った時、クレイオスが部屋に入って来た。

最小サイズになってはいるが、かなりデカイな…


《エキドナよ、悪魔は厄介な存在じゃ。

この世界は3回目の世界じゃ、1度目は人間が勝手に滅び終わりを告げた。

しかし、2回目は悪魔の出現によって世界は滅びたのだ》


その当時、クレイオスは何処の統治も任されてはいなかったが、一部始終は見ていたのだ。

この世界に現れた魔界の王サタンは人間に受肉し、暴れ回ったそうだ。

結局、神々が地上に降り立ち悪魔を排除したが、時既に遅し。

パンドラの箱を開けたかの様に、サタンは災禍を撒き散らし世界は滅びた。

そして、神は世界を作り直し巨神族を統治者として任命したのだ。

天空の神々と巨神族は争いにはなったが、3回目の世界は今も存在し続けている。


《この世界が滅ぶかも知れんぞ。アザゼルとやらは魔界の王が転移させた悪魔。信用ならんな》

『グルナ、アザゼルは嘘をついているのか?仲良しなフリをしてるのか?』

「………………」

「いや、アザゼルは問題無いだろう」

《グルナよ、観測的な意見はこの場に必要ないぞ。明確な根拠が無いならアザゼルは排除すべきじゃ》


『……………』

「クレイオスの言う通りだ。俺はアザゼルを信じているが、危険な存在なら排除すべきと思っている。偽っている可能性も勿論あるからな」


残念ながら悪魔のイメージは前世の記憶と似た様なものだった。

俺はアザゼルを守りたいが、敵ではないと証明しなくてはならない。

証明出来なければ…アザゼルは今日が最後の日となる。


「アザゼルを呼んで来てくれ。排除する必要は無いと証明しよう」


俺は、我が子の様なアザゼルを守りたいのだ。

アザゼル危うしです(´;ω;`)

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