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魔王種  作者: のんびりMUCC
終末戦争編
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第81話 魔界の王

森の国。


《グルナしゃま、一緒にゴハン行きましょ♪》

「いいぞ。ディーテも誘ってみるか!」

《わーーい//》


最近、ディーテの様子がおかしい…

何かコソコソしているのだ。


『私はアルトミアとソフィアに用事があるから2人で行って来てくれ!刹那は連れて行くぞ!さらばだ!』

「…………………」

《…………………》


こんな感じだ。

はっきり言って、今かなり平和だ。

北の連邦国とも、近々、講和条約を締結する予定だし…特に急用は無いはずだが…

ディーテが何を企んでいるのかは知らないが、よからぬ事を企んでそうで不安だ。

不安と言えば、ミダスの件だ。

姿を眩ませてから数年、全く足取りは掴めていない。

本腰を入れて探してる訳では無いが、此処まで何も無いのも不自然だ。

森の国の部隊は勿論だが、各国の部隊も備えを怠る事は無い。

何故なら、災いは忘れた頃にやってくるのが常だからだ。

ミダスの件は俺の頭の片隅から消える事は無いのだ。


《ディーテしゃま忙しそうなのでしゅ…》

「何だろうな…そうだ!そんなディーテに晩ごはんを用意しないか?」

《用意?》


ディーテが帰ってくるのは、2日後。

その日の晩ごはんを用意しようと思う。

畑に材料を採りに行くとは言ったが、アザゼルは何故か迷彩服を着てヤル気満々だ。

今日集める材料は、ネギの様な野菜と生姜の様な野菜、そしてトマトだ。

たまには、みんなの分を用意するのも有りだろう。

倉庫には、冷凍保存してある魔牛の尻尾が大量にある…

そう、作るのはテールスープだ。


「アザゼル、店で黒胡椒と塩を買ってきてくれ」

《了解でしゅ!!》


代金を渡し、走っていくアザゼルを見送る…

何故だ…すごく不安だ。我が子に初めてのお使いを頼む親の心境とは、この様なものなのだろうか。

因みに、その後アザゼルは無事に必要な物を買って帰って来た。


材料の下拵えを終えた俺とアザゼルは、ヴィエン王国の美味しい魚料理の店に来ていた。


《グルナしゃま、ディーテしゃまは魔王種でしゅね》

「ん?うん、そうだけど…急にどうした?」

《魔王種と魔王って何でしゅか?グルナしゃまは魔王並に強そうなのに何で平社員なんでしゅか?》


アザゼルが聞きたいのは、魔王が強力な個体なのは分かる。しかし、魔物の王でも無ければ、魔界の王でも無い。なのに何故、”魔王”と呼ばれているのかという疑問だ。

確かに、魔王種の進化版が魔王な訳だが、この世界の統治を任されているというだけで魔物の王では無い。

ましてや魔界の王等でも無いのだ。


「うーん、何だろうな…魔王を初めて見た人間が魔の化身と勘違いしたんじゃないか?

俺については、ディーテを守る為に神様が力を与えただけだと思うぞ」

《ふーん。グルナしゃま、実はね、この世界に魔界の王が来てるのでしゅ!魔王ですのん!》

「魔界の王ねー……はぁ!?」



………………………………………


エトリア国山中。


「おい、ディミトリス。森の国の様子はどうだ?」

《手練は多いが…我等の敵では無いクククッ…って、雑魚のフリも大変だねぇ》

「派手にやられてるくせして…よく言うぜ。先に森の国に潜り込ませたアザゼルは見つかったか?」

《姿は見ていないが気配は有ったねぇ。封印されてしまっているかも知れないよ?》

「まぁ大悪魔とは呼ばれていたが、所詮は野良。高が知れているな」

《勘違いしちゃダメだねぇ。貴様が行使しているのはサタン様の力…お前本来の力は、その野良の足元にも及ばないよ?》

「おい!ディミトリス、てめぇ誰に向かって口聞いてんだ?」

《そろそろディミトリスと呼ぶのをやめようか。ちゃんと名前があるだろ?私はベリアル。ディミトリスの魂は美味しく頂いちゃったからねぇ。コイツは生まれ変わる事も出来なくなっちゃったんだよ?もう二度と会えないんだよ?キャハハハ!!》


«ベリアルよ…少し黙るがいい»


サタンの声が、心の絆を通してベリアルの脳内に直接響き渡る。

サタンは魔力を溜め込んでいた。魔界からゲノスと呼ばれる魔将達を呼び寄せる為だ。

古の昔、この世界の神に滅ぼされたサタンは念には念を入れるべきだと考えているのだろう。

今回この世界には魔王という存在が生まれていた。

サタンが初めて、この世界に来た時は人間や亜人という種族と魔物という種族が居るのみだった。

神々の存在は伝説として残っているのみ。地上に現れた記録もない。

しかし、現れなかったとしても問題はある。

その魔王とやらの存在だ。どうやら神々の直系…邪魔な存在には変わりないのだ。

サタンは1万年もの退屈な時間を過ごすつもりは無い。

7人の魔将達を呼び寄せ、次はその配下の軍団を呼び寄せるのだ。

魔王を排除し、この世界の王となる。


サタンは人間を滅ぼすつもりは無い。

何故なら、人間の魂は美味なのだ。

是非とも、家畜として一定数残しておきたい。

戦いを挑まれれば、勿論殺し尽くすのだが、それでは勿体無い。


戦う気概を無くさせる。


絶望と恐怖で染め上げられた魂は、さぞ美味だろう。

人間共は自分達で対処出来ない強大な存在が、為す術なく滅ぼされる様子をどんな気分で眺めるのだろうか…

転移の術式が展開され、魔界から魔将達が呼び寄せられた。


《サタン様、お久しぶりでございます》

«皆の者、久しいな。この世界を我が物にしたいのだ。力を貸すがいい»

《望みのままに…》


この日、5人の魔将が魔界からやって来たのだ。残るは後1名。


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