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魔王種  作者: のんびりMUCC
ギガントマキア編
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第51話 ドワーフ国VS北の連邦国大艦隊

大艦隊との戦闘終了後、俺はパーシスと連絡を取っていた。

艦隊はヘルモス王国の沖合を通過し、ドワーフ国へ向かっていたのだ。


《此方に向かっているか…

海岸にも防御結界は展開しているが、この国は森の国と違って城が内陸にあるからな》


パーシスが気にしているのは海からの上陸と空から内陸への進入だ。森の国は飛行艦隊が着陸出来る場所は無かったがドワーフ国は開けた土地が多いのだ。

飛空艇も沖合から接近しているのは、単にヘルモス王国の上空通過を避けただけだろう。

相手に航空機がある以上、海岸だけに兵力を集中させる事は出来ない。

兵站の面で言えば、ドワーフ国は優位なのだが兵力を分散されてしまうのはツラい。


《グリフォンを駆る飛行部隊だけでは火力が足りないかも知れん。

止むを得んが俺が前線に出るとしよう》

「艦隊の到着は明日だ。森の国から応援を送るぞ?」

《ハハハ、俺も魔王だと言っただろ?心配は要らんぞ!

艦隊よりも巨神族の方が遥かに危険な存在だ。グルナよ、マカリオスに援軍を送るのだ。

此方が片付いたら、俺はヘルモス王国へ向かう》

「わかった。マカリオスへ派遣する部隊を編成するとしよう。

パーシス!死ぬなよ」


俺達はマカリオスに派遣する部隊の編成を始める事にした。

まず俺は確定で参戦するとして、後2~3名連れて行きたいところだ。

国の守護神を出す訳にはいかないのでセレネは引き続き国の守りに徹してもらう。

《私が行きます!》

カラが志願したが、先程の戦闘で消耗している。相手は神話級の戦いを繰り広げた巨神族、可愛い部下の1人であり国の矛である彼女を失いたくない。

断ろう。


《…グルナ様…》


凄く悲しそうだ。

もの凄く悲しそうだ。


「分かったよ!参戦を許可する!だが、現地では俺の指示には絶対に従ってもらうぞ?」

《ありがとうございます!//》


凄く嬉しそうだ…

様子を見て、危険だと判断したら撤退させるとしよう。


『グルナ!私も行くぞ!アルトミアを助けるのだ!!』


君は1番動いてはいけない。

分かっていたよ?必ず一兵卒の如く志願してくると思っていた。

お見通しなのだよ。


「ディーテは、ソフィアと連絡を取ってマカリオスへの応援と、無いと思うが万が一マカリオスが陥落した時の対応を協議してくれ」

『ふむ、分かったぞ!巨神族はグルナに任せた!アルトミアの元で励んで来い!!』


《私もマカリオスに行っちゃおうかな♪》


おや…予想外だが、エキドナが志願したのだ。テリトリーは大丈夫なのだろうか?


「有難いけど、テリトリーの方は大丈夫か?」

《大丈夫♪参戦するって言っても私は後方支援しかしないしね♪》


謎が多い精霊 エキドナ。

ラミアの様な見た目を持つ半人半蛇の美しい女性であり、最初から名前を持っていた存在。

プティア王国への上陸作戦、先程の大艦隊との戦闘。そのどちらにも自ら参加することなく種族の長として見守り続けた彼女が名乗りを挙げる意味とは…


メンバーは決まった。

俺、カラ、エキドナ、上杉がマカリオスへ向かい対巨神族戦に援軍として参戦する。

海岸線の後始末は上杉が副官に申し付けていたので問題無いだろう。

俺達はゲートを使い、一気にマカリオスへ入ったのであった。


…………………………………



翌日。


ドワーフ国の沖合には大艦隊が押し寄せていた。

(しかし、とんでもない数だな…)


海岸に陣地を敷き、防御結界を展開する。

海を見渡せる丘には複数の魔導士を班として配置してある。

この班は、1人では発動不可能な大魔法を発動させる。防御力の高い戦艦も沈めてくれるはずだ。

パーシスの横には特殊作戦部隊の若き部隊長

パーシスからの指示を待つ。


《魔法部隊は詠唱を開始せよ!発動と同時に飛行部隊は作戦行動に移れ!》


大魔法が発動した。

それは、まさに超高出力のレーザー。

直撃した戦艦1隻は大破し沈没。それと同時に飛行部隊が攻撃を開始する。

グルナから艦船に接近防御システムが搭載されているのは聞いていた。

今回、攻撃を実行するのは上空からの対地攻撃を専門に行う遠距離攻撃に特化した飛行部隊だ。空対空の戦闘も初めてでは無い。

グリフォンやペガサスを導入している敵対国がいた時代にも大いに活躍してきた部隊なのだ。


対ドワーフ国艦隊の指揮を取るのは、セルジオス中将。

北の連邦国での軍歴は40年以上。

マカリオス侵攻作戦にも参加した大ベテランだ。

(パーシス国王…凡そ400年前に独立戦争を制した英雄王であり、巧みな戦略で勝利に導いた尊敬する軍人の1人でもある。

しかし、悲しいかな貴方は魔王だった。

今回、敵対してしまったのも運命であろう。

ならば、せめて敬意を表し全力で相手をしよう!!)


「魔導高射砲用意!敵飛行部隊を殲滅せよ!」


戦艦に装備されていた対空兵器が火を吹き、次々と飛行部隊が迎撃されていく。


「飛行艦隊は前進せよ!一気に王都を落とすのだ!ドワーフ国の部隊は強力だが恐れるな!国の為に死んでくるのだ!」


一気に飛行艦隊が動き始める。


(………止むを得ん!)

《部隊長、飛行部隊を撤収し海岸から退避せよ。

これより俺が戦闘を行う》


部隊長は全部隊に退避命令を出す。

情けない…

部隊長はパーシスから言われた事を思い出していた。

《お前達の役目は国の為に死ぬことではない。国の為に死にに来た者に、望み通り死を与えてやるのがお前達の役目だ》

そうパーシスから言われた事が有ったのだ。

地上に展開した敵勢力相手なら対処出来ただろう。しかし、航空機相手だとこうも不甲斐ないとは…

パーシスが戦闘を行う。それは自分達に死を与える力が無いと判断されたと言う事なのだ。

しかし、部隊長の心は徐々に高揚していた。

初めて見れるのだ。我等が国王、魔王パーシスの戦いを。


ラブリュス。

パーシスのイコルである。

そのイコルの能力の1つ


絶対零度(アポリト ミデン)


パーシスの手に顕現した巨大なバトルアックスが焔を纏い始めた。

本来、火からは熱を感じる。熱力学の第二法則では熱は高温側から低温側にしか伝わらない。つまり火より低温の空間、物質は熱が伝わる側になる。

これは、その流れしか確認されていないと言うだけの話なのだが。

しかし、此処に例外が発生した。

パーシスの焔は、その意思により敵対者と対象の周囲から運動エネルギー、熱を奪い取る。


艦船の内部では混乱が起きていた。

乗組員全員が耐え難い寒さに襲われたのだ。

北の国の部隊だ。一応防寒装備も常備してある。しかし、着込んでも全く効果が無い。

突如発生した不自然な寒さに兵士達の意識は遠のき、やがて完全に意識は絶たれてしまう。

コントロールを失った飛行艦隊は次々に墜落し、砲撃を行っていた海上戦力も沈黙。

結果は全員凍死。

パーシスの能力が発動してから、僅か5分の出来事であった。

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