第42話 アンテナショップ
多忙でしたm(_ _)m
いよいよアンテナショップオープンの日を迎えた。
結果から言うと、売れに売れまくった。
森の国の店という事で最初こそ警戒されたが、オルフェが来店し爆買いしたのだ。
オルフェの爆買いを皮切りにお客さんは一気に増えた。アイツにはサプライズを用意しようと思う。
店頭に並べたのはネクタル、魔物酒、鬼殺酒(日本酒モドキ)
フルーツロールにプリン、珈琲豆モドキなどなど。そして目玉はフェレットの弟子達が打ったアダマスの武具とビトラスを使った武具だ。
売店の横にはカフェを併設して、スイーツや軽食をゆっくり堪能してもらえる空間も用意したのだ。
接客の経験はあまり無いが俺も勿論、店員として売り場に立った。結構な頻度で来てくれるお客さんと仲良くなったり森の国の話をしたりと楽しかったが、接客業の大変な部分も理解出来た。
オープンから数日が経ち、店員を引き受けてくれた各種族のみんなも場馴れし素晴らしい接客をしてくれている。
一方、森の国の様子はというと
色々と増えていた。
商談に来た商人や観光客の人間、冒険者の姿も目立った。
稀に、庇護を求めて魔物や亜人もやって来ている。
《グルナはん!大変や!大忙しやでー》
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北の連邦国
«魔物の森の国が活発に動いている様です»
魔王を始末しても魔王の種がばら撒かれる…
不愉快で仕方無い。
ましてや、その森の国は魔王種が女王。
捨て置けん。
《我が国は亜人共に海外旅行を楽しむ自由を与えた覚えはない。森の国に送還するよう協力を要請せよ》
5体目の魔王となる可能性が高い魔王種は融和を模索している様だ。
早目に手を打っておくべきだろう。
送還を拒む様なら代償を払わせるのみなのだ。
《例の2体を解放する準備をしておけ。
森の国へ送り込む準備をするのだ》
送還してくれば見せしめに亜人共は皆殺し、拒否すれば地図から国が消えるのだ。
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ドワーフ国でのアンテナショップは大盛況のうちに幕を降ろした。
亜人や人間だけでなく魔物も訪れるドワーフ国でPRさせてもらえた事で森の国への訪問客は爆発的に増えたのであった。
森の国へ出店を希望する者も現れ、冒険者組合からは街に支部をおいて欲しいと打診があった。
しかし、森の国では人間の国程ギルドの需要は無いだろう。
そこで武具の修理施設と、訓練所を設置する事にした。
訓練所ではハイエルフ教官は勿論、各種族達相手に実戦形式で腕を磨けるのだ。
訓練だが、その内容はかなりハードだ。冒険者達は過酷な訓練の後、温泉で疲れを癒し焼肉を食べるという流れが定着している。
因みに、森の国の人件費などの費用は組合が一括して支払うそうだ。
そんなある日
北の連邦国から魔法の紙が届いた。
内容は、反政府勢力として活動していた亜人達に逮捕状が出ている。その者達の送還を要求するものだった。
北の連邦国から来たのは狐の亜人達だか、過激な思想は無く森の住人達とも仲良くやっている。
「北の連邦国が狐の亜人達を返せと言ってるぞ、どうする?」
『狐のみんなは北の連邦国で虐められてたんだろ?返したらどうなるんだ?』
恐らく、かなり酷い拷問が待っているだろう。
最悪、虐殺だろうな。北の連邦国から要請が来ていると知った狐の亜人達は怯えきっているのだ。
だが、この要請を断れば、森の国と北の連邦国の関係は悪くなるのは間違いない。
『コイツらは自分の意思で森の国に来たんだろ?私はコイツらが酷い目に遭うかも知れないなら断るぞ!コイツらは森の国の住人になったのだ!だったら護るのが王の役目だ』
ディーテ、人道的ないい決断だと思う。
狐の亜人達の証言や奴隷の禁止条約から北の連邦国が脱退している点でも、送還は適切ではない。
ミダスは、恐らく北の連邦国に潜伏してるだろう。
どの道、北の連邦国とはもめるのだ。
この世界でも前世でも、障害は必ず現れる。だが、今は火の粉を振り払う力が有るのだ。どう出るか見当も付かないが、俺は王と民を守るのみ。
ならば、それ以外は考えても仕方無い。俺は北の連邦国に返答し様子を伺うのである。