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魔王種  作者: のんびりMUCC
プティア王国編
34/104

第32話 special operation【ファムファム】後編

島に上陸した兵士達は与えられた役割を果たす為、行動を開始する。


島の上空を飛行するのは、カラ率いるガーゴイルとセイレーン族。

カラは自分達の任務が最も重要な任務だと理解していた。

敵の兵站線と兵器工場の破壊。人質の捜索と救助。

どちらも失敗は許されないのだ。


此処は敵の本拠地。

持久戦になれば、先に消耗するのは自軍である。

自軍の生存率は自分達の働きに左右される、カラはグルナから敵の武器について聞いていたのだ。撃ち出す弾が無くなれば”玩具(ガラクタ)”だと。

兵器工場と兵站線を破壊し敵の補給断つ事で敵を弱体化出来るのだ。


眼下には、兵器工場。そこから各基地と軍港に続く広い道が見える。

今も物資を輸送している…


最重要は人質の救助。施設の破壊で手間取っている時間は無い。

昨日の夜。願いが叶い、グルナの役に立つ為の力の結晶が心に宿った。

それは”破壊の宝石(レッドマーキュリー)


その宝石は、所有者の意思に従い破壊のエネルギーを抽出する。

そして、抽出されたエネルギーはカラを通して極大殲滅魔法へと変換されるのだ。


猛焔翼撃(ダークネスウイング)


完璧に制御された殲滅魔法は範囲内の全てを地上から消失させた。


熒惑守心…後にネモフィラ連邦国軍飛行部隊と対峙し生き延びた幸運な兵士は語る。


赤い宝石の美しい輝きを見た時、不吉の前兆を感じたと…


兵站線を破壊したカラは速やかに、人質の救出に向かったのであった。


「何だ!?すごい爆発があったがカラ達は大丈夫か!?」


《ご主人様ー心配ないよ!カラが建物を壊しまくってる音だよ!》


「そ、そうなのか?ならいいけど」

(結構離れてるけどヤバさが伝わって来たぞ…)


一方、西の軍基地を担当しているドワーフ精鋭部隊と上杉率いる森の混成部隊は苦戦していた。

魔導機関銃(サブマシンガン)の弾幕で身動き取れなくなっていたのだ。

流石は軍の基地、弾が尽きる気配は無い。


《くっ!…一瞬だけでも攻撃が止めば…》


基地の内部に侵入出来れば、身を隠す為の障害物が多く有るだろう。

しかし、侵入どころか動く事も出来ない様、敵兵が配置されているのである。

敵が攻撃に転換するかも知れない、負傷者も出ている。


《ドワーフのみんな!俺が敵を引き付ける!動ける者は、その隙に一気に仕掛けてくれ!》


上杉の捨て身。

この作戦は皆、与えられた役割を果たす為に戦っている。

上杉は西の基地制圧を任された。それは上杉達が基地を無事制圧すると信じているからこそ、他の兵士達は自分の任務に集中出来るという事なのだ。勿論、上杉もそれは同じだった。

仲間を信じ、城で合流出来ると信じているのだ。


不甲斐ない…


グルナとの一騎討ちに敗れてから、夜な夜な密かに訓練し鍛え直した。

しかし、相手が飛び道具というだけで身動き取れなくなってしまうような程度でしか無かった事に不甲斐無さを感じていたのだ。

ましてや、今手にしている武器はグルナから貸し出されたもの、ドワーフの名工フェレット曰く、神刀【鬼丸國綱】

障害物が多い所で、そんな大太刀はダメだ!そう言われて手渡された刀。

生命力の強いオーガだ。数発撃ち込まれても死ぬ事は無い、覚悟を決め瞬動で一気に移動し、必殺の水平横薙ぎ一閃。

目の前には3名の敵兵、更に左奥には障害物を挟んで3名。

《せめて、この一角だけでも崩せれば活路はある!》


防御を完全に無視した自己最速の斬撃は切先に鎌鼬を発生させた。

発生した鎌鼬は目の前の兵士は勿論、奥の障害物と兵士を容易く切り裂き、基地の一部を切断した。

あまりの斬れ味と被害の範囲の広さに混乱したプティア王国兵に陣形を立て直す猶予は無く、文字通り一瞬にして西の基地は制圧されたのであった。


その頃、グルナとムックは城に到着していた。

城の中は優雅さの欠片も感じられない。

壁は勿論、床も天井も、まるで核シェルターの様に強固に改装され、異様な雰囲気の空間へと変貌していたのだ。


奥へ進むと広めの部屋があり、そこにミダスが待っていた。

護衛だろうか?二足歩行のロボット3体と本人は動きやすそうなフルアーマーを装備している。


「お前がミダスか?」


《……お前誰だ?》


「俺はグルナ。森の女王の配下だ」


魔物(ゴミ)の王の配下か…功を焦ったな!雑魚が1匹で来ても何も出来んぞ!

貴様を始末し他の配下(ゴミ)も血祭りに上げてやる!!行けっ!!》


次々とロボット?が襲いかかって来る。

しかし、ロボットなどどうでもいいのだ。見た目では分からないもののグルナは既に闘神化している。

ロボットなど敵ではないのだ。


見た目からは想像も出来ないスピードで超重量級の巨拳が迫る…が、そのスピードを遥かに上回る速度でグルナの拳はロボットの顔面を粉砕した。


《バカなッ!!》


ロボットの攻撃は終わらない。

2体目も拳を振り回すしか能がない様だ。

膝の可動部を破壊し転倒させる。

胴体を目掛けて、渾身の下段突きを炸裂させる。装甲を貫通し動力源の魔力石を握り潰す。

3体目は少しはマシな様だ。

腕に仕込んだ火器を使って来るのだ。

だが、照準を合わせるのが遅過ぎた。腕を掴み取り…全力の背負い投げ。

ロボットが床に叩き付けられた衝撃で、床一面に蜘蛛の巣状の亀裂が走った。


《バカな…》


本日、何度目になるか分からない程口にしたバカな…という言葉。

無理もない。

この場に居た3体の魔道歩兵はミダスの創り出した傑作だったのだ。

その装甲はレールガンの砲撃でやっと傷が付けれる程の強度を持ち、自律してミダスを護る機能を備えた唯一信頼出来る部下だったのだ。

この魔導歩兵に護られていたからこそ、ミダスは暗殺される事か無かったのだ。


そんな強度を持つ魔導歩兵が素手で壊され、投げられ押し潰されているのだ。

それだけでは無い、亀裂が入った床はどんな魔法にも耐えうる強度を持たせた逸品。

魔導歩兵は硬い。しかし一体どんな力で叩きつけたら、この床が割れるのか…


「残るは、お前だけだな。拘束させてもらうぞ」


《俺は神に選ばれた人間だッ!!お前にどうこう出来る存在じゃねぇんだよ!!》


そう叫ぶと魔力の結晶の様な光る剣で斬りかかるミダス。

(死ね!ゴミめ!この剣は、受け止める事は出来ないッ!!)

剣を振り降ろした瞬間、ミダスの手に激痛が走った。見ると剣を握る指はグルナの拳によって粉砕されていたのだ。

(躱すでも受けるでも無く、持ち手を潰すだと!?)


《うぎゃゃゃゃぁッ!!》


「ミダス…」


《……?》


「図に乗るな…」


グルナのボディブローをお見舞いされたミダスは壁をぶち破り吹き飛んだ。

ミダスは最高傑作の鎧を着用していた。

着る者の身体能力を数十倍に強化する魔導アーマーである。防御力の高さは言うまでもない。

そんな最高傑作の鎧さえも破壊する化け物と対峙していた事に、ミダスは今更ながら恐怖した。

手持ちの武器はコンバットナイフのみ。

(逃げなくては…何としても逃げなくてはならない)


《来るなッ!!刺すぞ!ゴラァ!!》


城の地下には試作機だが、航空機があるのだ。しかし、この化け物の動きを止めなくてはいけない。そんな方法が有るのか?

正解は、有る。なのだ。


グルナが2mの距離まで近付いた時、ナイフの刀身が発射されたのだ。

スペツナズナイフ。

刀身を射出する特殊なナイフだ、発射された刀身はグルナの腕を捉えた。


「!!?ぐっ!何だこれは!?」


その刀身には猛毒と麻痺の呪印が刻まれていたのだ。その痛みは耐え難い。


《俺は必ず再起するぞ…覚えておけ》


そして、ミダスはプティア王国から離脱したのだった。


《グルナ様!人質は無事に解放しました!》

《グルナはん!うち無事やでー!》

城に兵士達が到着し始めている。

ミダスは取り逃したが目標は達成出来たようだ。各地に潜伏していたプティア王国兵は、ミダスの逃亡を知ると馬鹿馬鹿しいとばかりに投降した。

その後、ドワーフ国とヴィエン王国の増援部隊が到着し治安維持をしてくれた。


上陸作戦に参加した兵士達に負傷者はいたが軽傷で全員無事。何よりだ。

重症だったのは俺だけだったそうだ。


今回の件の事後処理は、俺の回復を待って行われる事になった。


こうして、special operation【ファムファム】は無事成功したのであった。

最後ぐだぐだになってしまいました…( ´ᐞ` )

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