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魔王種  作者: のんびりMUCC
プティア王国編
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第28話 建国宣言

俺達はドワーフ国にやって来ている。

メンバーは俺、ディーテ、刹那、ムックだ。

会合は明日だが、早くもディーテは緊張している。大丈夫だろうか…

パーシス以外の王族達とは初めて会う、流石に普段着ではダメだ。

刹那が察して服を準備して来てくれていた。

ディーテは落ち着いた色合いのロングドレス、刹那は着物。

俺にはThe執事を思わせる服だ。


夕食も終わり早めに就寝…の予定だったがディーテが寝ないのだ。


「寝不足は厳禁だぞ?早く寝るんだ」


『ダメだ!緊張して眠れないぞ!』


パーシスが城の一室を使わせてくれているので遅刻の心配は皆無だが…


結局かなり遅い時間までディーテは起きていた。

気のせいか、紫の瞳が薄ら光っているように見える。寝不足になると光るのだろうか。

王族達が揃い、いよいよ建国を宣言する時が来た、部屋にはパーシス、コルヌコピア王国の女王とヴィエン王国の国王、それぞれ護衛付きだ。


«紹介しよう。

コルヌコピア王国女王ソフィア・コルヌコピア

ヴィエン王国国王ニコラオス・ヴィエンだ»


«そして、此方が…»


《パーシスよ、紹介の前に聞きたい事がある。この国に魔物が居るのは見慣れた光景じゃが…この部屋にまで魔物が居るのは、どういう事じゃ》


«それは、此方が魔物の森の盟主だからだ»


《魔物の森じゃと!?》

コルヌコピアの女王が動揺しているが無理もない。魔物の森は脅威でしかないのだ。


『初めまして、ディーテ・ネモフィラと申します。今日は森に私達の国の樹立を宣言する為に此処に来ました』

(ん?ディーテの様子がおかしい…)


《パーシスよ、建国宣言があるとは聞いていたが魔物の森とは聞いておらんぞ!プティア王国の件だけでも大変なのに更に問題を増やすつもりか!》


«プティア王国の現状は把握出来ていないだろう。グルナよ、映像を見せるがいい»


俺はムックが記録した映像を水晶に映し出した。哨戒活動の様子。

そこで捕らえたプティア王国の兵士の証言まで全てだ。


《何じゃと…》


ヴィエン王国の国王ニコラオスが初めて口を開いた。


《ディーテと申したな。その後ろに居るのはグルナ君だね?君達の事は騎士団長から報告を受けている。王国の依頼を引き受け見事に解決したそうじゃないか、感謝している》


《先ずは、建国の宣言をしたまえ。認めるかどうかは各々が決める事であって、今日はその為に集まっておる。時間は無限では無いのだ》


ドワーフの大臣が1枚の紙を持って来た。

«ディーテよ、これは魔法の紙だ。

我々は国家間の重要なやり取りを、この紙を使って行っている。燃やしても破っても復元し改竄も出来ない紙なのだ。

この紙に触れ、建国を宣言するがいい»


紙の上に手を置き、ディーテは宣言を始めた。


『全ての知的生命は、生まれながら似して平等であり、創造主によって生命、自由、幸福の追求を含む不可侵の権利が与えられている。

その権利を確保する為、森の全ての統治される民の合意を得て、森の代表となったディーテ・ネモフィラは此処に、ネモフィラ連邦国の樹立を厳粛に宣言する。

我々は国家として、他の独立国家が当然の権利として実施出来る全ての行為を実施する権利を得るにあたり、無差別な破壊行為を行わず、背信行為や侵略を行わず、平和的に森を訪れる全ての他国民の生命、財産を守る事を、我々の神聖な命と名誉をかけて此処に誓います』


魔法の紙が光を放ち、ディーテの言葉を綴っていく。


«では、ネモフィラ連邦国を国家として認める者は署名をしてくれ»


パーシスは1番に署名してくれた。


《ディーテ女王よ、儂は独立した国家として認めるぞ!ハハハッ》


ニコラオスも署名をし、残るはソフィアだけだが認めるも認めない自由。そして認めても、単なる隣国という認識でしかなく、そこから先は別問題なのだ。


《認めはするが、それは友好的な関係というわけではないぞ?》


ソフィアの署名が終わると紙は光ながら消えていった。

その紙は全ての国々に送り届けられるのだ。


《パーシスよ!お前が中立を放棄したのは、この為か?》


«バレたか!ただ、それだけでは無いぞ?安保に関する条約も結べる様になったのだ»


その通りなのだ。ニコラオスはどうだか知らないが、ソフィアは署名したのは、条約を結ぶ為の戦略的協調だろう。


『うわー!!緊張したぞ!一気に睡魔が襲ってきた!』


先程まで光っていたディーテの瞳は元に戻っていた。


《!?急に幼くなりおった!先程はいけ好かないヤツめと思っておったが、可愛いく見えてきたわ♡》


ソフィアは素に戻ったディーテをお気に召した様だ。確かにさっきは、いつもディーテではなかった…しかし考えても仕方無いだろう。本人も自覚してないのだから。


《プティア王国にも、先程の紙が届くだろう。そうなればプティア王国の矛先はネモフィラ連邦国に向くはずじゃ、我々は引き続き対話による解決を模索していくつもりだが最悪の事態も想定せねばならん、1度ヴィエン王国に来るがよい》


その後、俺達は解散したのだが1つ忘れていた事が有った。

全ての国々という事は、魔王の国にも報せが届いているという事を。

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