第27話 国名決定!
「ディーテ、夕食の前にみんなで会議がしたいんだが、いいか?」
『ん?何の会議をするんだ?』
「第一は国の名前を決めたい。国を作るにしても、国名が無かったら宣言出来ないからな!夕方までに考えといてくれ!」
『えー!?私が考えるのか!?』
「そりゃそうだろ?ディーテは女王様だぞ?女王様が決めないで誰が決めるんだよ」
『むー…文句言うなよ?』
渋々だが考えてくれる様だ。
その日の昼、ドワーフ王がやって来た。
«また来てやったぞ!順調そうだな!相変わらず美しい街並みだ»
『パーシス!久しぶりだな!』
«おー!ディーテ!いい街になってきたな!順調そうで何よりだ!»
「例の件で来てくれたんだろ?この後、会議があるんだ。パーシスも参加して欲しい」
«ふむ、是非参加させてもらおう»
その日の夕方。
族長達を集め、会議を始めた。
先ずは、不審船と捕虜の証言について報告した。
「と言う訳で、王族と魔王は幽閉されミダスという人物が実権を握っているそうだ。
回収した武器なんだが…これが問題だ。
武器の話をする前に、俺の話を少ししようと思う」
「俺は前世の記憶を持つ転生者だ。
元は地球という星の日本という国で生活していた人間だ」
シーーン
『で?続きは?』
«クックックッ…»←パーシス
「えっ?あぁ続きな…その星には魔力は無く、全く違うエネルギー源に頼っていたんだ。魔力が無いので魔法が無い。当然、違う攻撃手段が生まれた訳だが。その違う攻撃手段ってのが今回、この世界で回収されたんだ」
『じゃあ、プティア王国にグルナと同じ転生者が居るって事か?その武器は厄介なのか?』
「転生者が居る可能性はかなり高い…と言うか居るだろう。武器はかなり厄介だ、矢より強力で矢より遠くまで届き、連射も出来る」
«うちの兵士は盾を砕かれて致命傷を負っておる、その武器の破壊力は凄まじいぞ»
『グルナ!何とかならんのか?』
「その対策は検討しているが、具体的な解決策は今は無いんだ」
『…私もみんなを守る為に新技を会得しなくてはならない様だな!』
(ん?…新技?)
「あぁ…新技期待してるよ」
俺が転生者って事はサラッと流されたが良かったのだろうか?まったく気にしている気配は無い。今更その話を蒸返す必要は無さそうだ。忘れる事にしよう。
「俺からの報告は以上だ。
本題に入りたいと思う。国の名前を今日決めたいと思う」
«ディーテちゃん素敵な名前にしてね♡»
エキドナが一気にハードルを上げてしまったが大丈夫だろうか…
『…私なりに頑張って考えたつもりだ。
それでは諸君、心の準備はいいか?』
『…言うぞ?』
「«《ゴクリ…》»」
『ネモフィラ連邦国だ!』
…………………
«素敵な名前じゃない♡»
«ディーテと愉快な仲間達とかになるかと思ってソワソワしてたぜ!»
«良い国名だな!»
みんなソワソワしていたが一安心だろう。
ストレートだが、シンプルでディーテらしい国名だ。
こうして俺達の国の名前は【森を愛する】という意味の、ネモフィラ連邦国に決まったのだった。
«国名も決まった所で、女王に建国を宣言してもらおうと思う。後日、我が国にコルヌコピア王国とヴィエン王国の王族を招いている。是非その場で宣言してもらいたい»
『パーシス…場を設けてくれた事、感謝するぞ』
会議も終わり、夕食の準備が出来るまで各自自由時間だ。
パーシスと温泉に行く事にした、同じ温泉民族なので喜ぶだろう。
«温泉宿まで作ってたのか!?グルナ、流石だ!»
「町のみんなが頑張ってくれてるからな。4日後の会合なんだけど、本題は何なんだ?」
«ん?お前達の建国宣言ではないか!»
「中立国がお膳立てしていいのかよ!?」
«中立義務は放棄した!時代の流れってやつだ。そのタイミングで近所に仲良くやれそうな新しい国が出来そうだから場を設けただけだ!»
「!?」
«支援してやる…お互い険しい道を進む事になるかも知れんがな…»
「ありがとな…」
パーシスは頼もしいナイスガイだった。
この素晴らしい巡り合わせに俺は心から感謝した。