第26話 面会
俺はドワーフ王国から戻り、哨戒活動の状況を確認後、拘束してある不審船の乗組員達の元へ向かった。
『私も行くぞ!!』
いや、来なくていいのだ。
王はそんな所には行かない。
ディーテは刹那とファムに任せて、俺と甚内、ムックで会う事にした。
「初めましてだな、俺はグルナという者だ。
最初に言っておくが、お前達に危害を加えるつもりはない。問題が解決すれば直ちに解放してやる。
早速だが、お前達に幾つか聞きたい事があるんだ」
«何でも答える!だからプティア王国に引き渡さないでくれッ!»
「それをしたら面倒な事になるだろ?」
«コルヌコピア王国に亡命したいんだ!»
「それはお前達の態度次第だ。俺達が欲しいのは情報だ…それが先だろ」
(プティア王国の人間なのは確定だが…国に帰ると処刑でもされるのか?)
まず、現在プティア王国はミダスという貴族が実権を握っているそうだ。
このミダスという人物が自分の軍隊を引き連れクーデターを起こし国軍を制圧。王族と大臣、魔王を幽閉したらしい。
サブマシンガンもミダスが開発したと言う事だ。魔物を誘拐したのは、北の連邦国に売り飛ばす為。やはり資金源の1つだった。
ミダスが転生者で間違いないだろ。
王族や魔王が幽閉されているであろう場所と各施設の場所を地図に書き込んでもらった。
それと、プティア王国に帰りたくない理由は…
«俺達は国王に忠誠を誓ってる!あんな野郎に良いように使われる人生なんて御免だ!!それに、あんたの質問に俺は自分の意思で答えてる。軍法違反だ…処分されるだろう»
ご愁傷様だ。前世の世界と同じなら、プティア王国の船が此処に来て身柄の引渡しが行われるんだよ…可哀想だが仕方無い。
因みに、プティア王国の兵士は2つの建物に分けて隔離してある。
この後、もう1つの建物に居る兵士にも質問したが、同じ内容だった。
ムックは一部始終を記録し証拠として残してくれてある。とても便利だ。
「甚内、彼等を町から離れた所に隔離したい。何処か適当な場所に目立たない建物を用意してくれ」
町から数キロ離れた場所に、移送しセレネに逃走防止用の結界を張ってもらった。
捕虜にしては好待遇だと思う。それなりの広さの部屋と、朝と夜だけだが美味しい食事付きなのだ。
気掛かりなのは、送り込んだ兵士が戻らない事でミダスがどう出るかだ。今は哨戒活動を継続するしか出来ないが…
ヴィエン王国を巻き込んでしまっている状況も何とかしなくてはならないし、建国の件もある。
やる事がいっぱいだ。
ミダスの事もある。そろそろ、みんなに俺の前世の事を話さなくてはいけないだろう。
翌日の夜、俺はみんなを集め前世の事について話をするのであった。