表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王種  作者: のんびりMUCC
プティア王国編
27/104

第25話 葛藤

ドワーフ国に到着した俺は、その日の内にパーシスと会う事が出来た。


«よく来たな!いいタイミングだ。俺も近々お前に会いに行こうとしていたんだ»


「そうなのか?」


«あぁ、話が有ってな。哨戒活動は順調か?»


「その件なんだが、昨日不審船の乗組員を拘束する事に成功したよ。ただ…ちょっと問題が発生したんだ」


«問題か…実は、こっちでもその件で問題が発生してるんだ。

プティア王国がヴィエン王国に賠償を要求しているんだ。魔物の森付近で座礁した船をヴィエン王国軍に破壊されたとな…帰還した兵士が証言しているらしい»


「それって俺が粉々にした船の事かよ!?」


«そうだろうな…完全に言い掛かりだが、この世界に映像を記録する機器は無い。そういう魔法は有るが、予め発動させておかなくてはならない不便なものだ。プティア王国は30日以内に返答が無い場合は軍事行動も辞さないと一方的に通告して来たそうだ»


「…………見て欲しい物があるんだ」


俺は空間収納から回収した武器を取り出した。


«!?…おい!これは!!»


「見覚えあるよな?これは前世の世界で、まぁ日本で実物を見る機会は無かったがニュースや映画でよく目にした近代兵器(サブマシンガン)だ」


«まさか、プティア王国に俺達と同じ転生者が居るって事か!?»


「じゃないと説明付かねぇよ。しかもコレ火薬じゃないぞ」


«魔物を攫いに来る兵士でコレを持っているなら、正規軍はどんな装備なんだ…とんでもない脅威だな»


「勿論、コレ以上の武器が有ると考えるべきだろうな」


«グルナ…お前はそんな連中から森を守るつもりか?»


言いたい事は分かる。

”止めておけ”だ。

しかし、魔王種ディーテの配下は亜人だけではない。殆どが魔物なのだ。

森以外に居場所が無い。


«お前達2人だけなら他国に逃れられるのではないか?»


「今更、配下を置いて自分達だけ逃げるなんて出来ないな…ディーテもそれはしないだろう。それに、国を興そうと思ってるんだ」


«!?»


「纏まりの無かった種族が纏まりつつある。このまま無抵抗って訳にはいかないからな」


パーシスは考えていた。

我が国は永世中立国なのだ。

独立を宣言しカタフィギスを建国した時、周辺国に中立性を保証させた。

非武装非暴力の平和的中立として周辺国に保護を義務付けたのではない。武装中立…つまり自分の身は自分で守ると宣言したのだ。

故に、軍事同盟は勿論、安全保障条約も結んでいない。

隣で戦争が起きようが関与しない、その代わり我が国が侵略されたとしても周辺国は支援をしない。

自力で解決出来るだけの国力を育てたのだ。

そうやって200年以上国土と民を守って来た。

つまり、魔物の森で魔王候補が建国を宣言しても、後ろ盾になってやる事は出来ないのだ。


«後ろ盾にはなれんぞ»


「そんな事を頼みに来た訳じゃないよ、中立性が保てないだろ?

プティア王国に地球からの転生者が居るかもって事と、その転生者は危険かもって事を伝えに来ただけだ。森の事は背水の陣で頑張ってみるよ。ハハハ」


(背水の陣?馬鹿め……)


«明日、大陸の国々が集まり今回の件についての会合が行われる。俺は関与せんが、成り行きは見守るつもりだ。

内容は報告してやる»


「わかった、じゃあそろそろ戻るよ。またな!」


翌日、パーシスは会合で中立義務の放棄を宣言した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ