第22話 束の間の休息
森の種族から協力を取り付けた俺達は町に戻った。
『グルナ!怪我はないか!?』
《グルナ様!おかえりなさいませ》
「留守の間、特に変わった事はなかったか?」
『グルナ!大変だ!温泉宿が完成間近だぞ!みんな頑張ってくれたのだ!』
どうやら建設はハイペースで進んでるらしい。
不審船は今のところ目撃されていない様だが、気は抜けない。
数日中に森の各種族の代表が町を訪れる予定だ。
せっかくなので温泉宿を案内しようと思う。
『グルナ!内湯は完成しているぞ!長旅で疲れただろ?入って来たらどうだ?使用感を確かめるのも大事たぞ!』
「…それはそうだな!じゃあちょっと行って来るよ。甚内達も入ったらいいぞ」
《我々は2番風呂で。お先にゆっくり浸かって来てくだされ》
……
檜の様な木を使って造られた内湯は温かみがあり、木の香りがとても心地いい。
(高級旅館みたいだな。贅沢だ…)
この世界に来て初めての温泉は、非常事態だという事を一瞬忘れてしまう程の癒し空間だった。
『失礼します…』モジモジ
「!?」
来ると思っていた。
そう。来ないわけがないのだ。
※撮影の為、特別に許可を取りタオルを着用しています。
『ふー極楽極楽♪』
『……なぁ、今日は温泉記念日だな』モジモジ
「?」
『今日は初めて2人で温泉旅行した記念日だな』
「旅行?」
『私は魔王になったら、あまり留守にする訳にはいかないから町から出にくくなるかも知れないだろ?』
『でも、こうやって記念日作ったら、いつもの場所が特別な場所になっていくだろ?素敵だと思わないか?』ニコッ
「…そうだな」
この先、何が起こるか分からない。
『お土産は無いのか?』
「…無いぞ」
『……………』
だが、ディーテは変わらないだろう。
そんなディーテと、この町を俺は何としても守り抜くのだ。
束の間の休息ですm(_ _)m