第20話 森の種族達 2
俺達は引き続き森の種族を訪ねるべく移動している。
今のところ不審船に関する情報は無く、町も平和だそうだ。
次に向かったのは、エキドナという魔物が支配するラミア族のテリトリーだ。
エルミアは面識があるそうだ。
湿地帯にある洞窟が入口になっている。
勿論、入口は武装したラミア族の兵士が居るのだが。
《ちょっと行ってきますね!》
「エルミア!大丈夫なのか?」
«姫様!?お久しぶりでございます!
相変わらず、お美しい…»
《久しぶりね、エキドナは元気?》
«勿論でございます。エキドナ様もお喜びになります!さ、どうぞ»
「……………」
すんなりエキドナという魔物の所に案内された。
上半身は人間、下半身は蛇。腰から上だけ見れば美人なお姉さんだ。
ラミア族も見た目は同じだが、このエキドナという魔物は雰囲気が違うのだ。
禍々しいオーラを発している。にこやかな顔だが、凄まじい圧迫感だ。
«姫、よく来たね。会いたかったよ»ニコッ
《最近忙しくてね。今日はグルナ様がエキドナに会いに行くって言ってたから便乗して会いに来ちゃった》
「初めまして、俺はグルナ。魔王種ディーテに仕えている」
«初めまして、私がエキドナだよ。今日は何の用で来たのかな?»
…………
「という訳で、海岸線の警戒に兵士を派遣してもらいたいんだ」
«やっぱり人間の仕業かー。うちの子も何人か居なくなってるんだよね。その前に貴方…»
「ん?」
«可愛い顔してるわね♡私に仕える気は無いかしら?»
《エキドナ!誘惑したらダメですわよ》
«あはは♪半分冗談だって!で?私達を配下にしたいとかは無いの?»
(半分冗談?)
「いや、配下にしたいとかは無いよ。今回の件は森の種族全てに関係している事だ、力を合わせて解決すべき問題だと思うんだ」
馬車で寝ていたムックが入って来た。
«!?»
《エキドナ!久しぶりー》
«サラマンダーじゃない!相変わらずモフモフで可愛い♡»
どうやら、エルミアだけじゃなくムックとも知り合いの様だ。
しかしムックがサラマンダーだったとは…前世の記憶ではサラマンダーってトカゲだったハズだが。
«よし!グルナだっけ?警戒活動に協力してあげるよ♡今回は特別だよ!派遣する部隊の指揮権もあげるね♪»
「ありがとう!助かるよ」
((エルミア?すごく話が通じる種族じゃないか))
«グルナ?聞こえてるぞ?ハイエルフの姫が居なかったら君は此処まで生きて辿り着いてないんだよ?だから今回は特別♪»
にこやかだが、相変わらずの禍々しさだ。
«うちの子達は美人多いけど、見掛けによらず結構短気なんだよね»
「お、おう。とにかくありがとな!後はメデューサ族とキマイラだな」
«メデューサには私から言っとくよ!私は、あの子達の弱みを握ってるんだ♡»
「……じゃあよろしくお願いするよ…」
《エキドナ、ありがとう。今度はゆっくり会いましょうね》
残るは、キマイラ族。
前世の記憶ではキマイラと言えば3種類の生き物を混ぜた様な見た目だったが…大丈夫だろうか。
かなり不安だが、俺達はキマイラ族のテリトリーへ向かったのだった。