第18話 第3の転生者
引き籠もってから8年、暫く親の顔も見ていない。
俺の楽しみはネトゲと世界各国の軍隊が使っている武器や航空機、艦船の資料を読み漁るぐらい。
社会復帰は出来ないだろう。
最終学歴は中学校卒業。高校は中退
生きてる意味は無い。
いつの間にか寝てしまっていた様だ。
起きた時、そこは見覚えのない部屋だった。
見た事もない景色、魔法が存在する世界。
俺は此処が異世界だと直感し、直ぐに適応し始めた。
俺は落胆した。精霊の力を借りて行使する魔法はチープ過ぎたのだ。
世界を滅ぼせるような強力な魔法が使える者は選ばれし特別な存在のみ。
どうやらソレには該当しなかったらしい。
だが、俺にはチャンスが残されていた。
大陸の南東にある島国、その国の大貴族の跡取りに転生した俺は領主となり莫大な金と権力を手に入れた。
それだけでは無かった。転生する時、神は特別な力をギフトした。
”製作者”
この力は、物質を自在に加工する。
ガス、化石燃料、原子力?…面倒臭い。
この世界のエネルギー源は魔力。
俺はこの画期的なエネルギーの存在に歓喜した。魔法と魔力、そして物質の組み合わせで様々な効果が発生したのだ。
研究に没頭する日々が続き、ある時気付いた。
俺の地球で得た武器の知識と、この世界の魔力を組み合わせれば、チープな魔法や剣に頼るこの世界の覇権を握るのは容易い事だと。
幸いにも、この国に居る魔王は恵みをもたらすしか能が無い。
殺す事も出来たが、コイツが居なくなってしまった時の影響が分からない。
山中の神殿でひっそりと暮らす魔王を殺さず拘束し、クーデターを起こす。
平和ボケした王族の軍隊など赤子の手をひねる様に制圧出来た。
作物を輸出していたが、新たな資金源が必要だ。
魔物の売買。
北の連邦国は上客だ、ゴミ同然の魔物を高値で買い取ってくれるのだ。
傀儡の王を表に立たせ、手に入れた資金を惜しみなく投入し軍を再編、兵器を開発していく。
何と素晴らしい世界に転生したものか。
プティア王国は支配した、次はこの世界全てを支配する。
俺は日本からの転生者【ミダス・エパナスタ】!!