第17話 プティア王国
報告せよ。
「は…はい。ヴィエン王国北の魔物の森にて魔物の捕獲作戦を展開しておりましたところ、人間と思しき者から攻撃を受け、捕獲した魔物を放棄し撤退しました。
攻撃を受けた際、負傷者はありませんでしたが魔導船1隻を破壊されました」
魔物の森に人間が居るかッ!!
「……ヒィッッ!!」
まぁ良い。
ヴィエン王国から補償を引き出せ。
「はっ!」
(何者か知らんが、邪魔は許さんぞ…)
事件から2日後、俺はパーシスに会うためにドワーフ国へやって来た。
«久しぶりだな!開発の方は順調か?»
「お陰様でかなりハイペースで進んでるよ。でも今日はその話で来たんじゃないんだ」
…………
«ふむ、なるほど。
魔物の捕獲はプティア王国が噛んでいると…»
「この世界は魔物の奴隷とかあるのか?ヴィエン王国では見たことないが」
«奴隷や魔物の売買は認められていない。
北の連邦国とプティア王国は禁止条約から脱退しているが…
巷ではパーティーの見世物やコレクション、ストレス発散に虐待したりと…他の国の力のある貴族は裏ルートで密輸しているという噂がある。勿論ほんの一握りの連中だろうがな»
«それとな、プティア王国は人間が国王をやっているが、魔王が住む島国でもあるんだ。最近、鎖国してしまったがな»
パーシスの話では、プティア王国に住む魔王は豊穣の地母神のような存在で、島を豊かにし繁栄させていたそうだ。
罪人に罰を与えたりと、結構しっかり管理していたらしいのだ。
それがわかったのが50年程前、ヴィエン王国の冒険者が新大陸を目指し海を渡って発見したプティア王国は、外部との交流が無かった島国だが、高度に発展した文明があったそうだ。
(魔王が秩序を維持する国が、突然鎖国したり、魔物を捕獲したり…一体どうなってんだ?)
«まぁ、今は身動き取れんな。森は何処の国の領土でもない。
自分の主が森の主となる訳だ!せいぜい警戒を怠るなよ!国民を誘拐されてるようなもんだからな»
「そうするしかなさそうだな。また何か分かったら知らせてくれ」
森に住む魔物の種族を訪ねるべく、俺は町に戻った。
「という訳で、海岸線を警戒したいんだが人手が足りない。
森の各種族も他人事ではないだろうから、是非協力を取り付けたいんだ」
『甚内、何とかならんか?』
《森の種族で遭遇していないのは、ラミア族、ケンタウロス、メデューサ族、キマイラ族ですじゃ。話が通じやすいのはケンタウロスでしょうな》
「他の種族は話すだけ無駄って感じなのか?」
《他の種族は血の気が多いのでオススメ出来ませんのじゃ。この森のラミア族はエキドナが支配しておりますし、メデューサはテリトリーに侵入する者を石化させてコレクションする危険な連中です。キマイラは…そもそも言葉が通じるかどうか…》
この森で、まだ遭遇していないのは危険な種族だけらしいが、会いに行ってみようと思う。
森の海岸線を狩場にする訳にはいかないのだ。