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魔王種  作者: のんびりMUCC
序章
14/104

第14話 再会

ドワーフ王が帰った後、俺達は早速、工房造りに取り掛かった。


ディーテと刹那はニンフ達を連れて果物を採りに行っている。

ムックと上杉を護衛に付けているので心配無いだろう。


工房も必要だが、観光資源も必要だ。


温泉だ。


温泉民族日本人の俺的には、温泉は外せない。

今でも大浴場はあるのだが、水の精霊とムックに頑張ってもらっている状況だ。

精霊の無駄遣いは良くない。


非火山性の温泉はかなり掘らないといけないので現実的では無い。

近くに火山が有ればいいが、どちらにしても大掛かりな作業になるだろう。

建設ラッシュが落ち着いたら、開発計画について会議をしようと思う。


それから数週間が過ぎた。

完成した工房では、道具や包丁など調理器具を作り始めている。

規模としては、やっと町と呼べるものになった。


そんなある日の夕方。


«ディーテ様、客人がいらっしゃっております»


珍しいな、ドワーフ王以外で此処に住んでる事を知ってる人物は…居ないはずだ。


表に出ると見知らぬ女性が立っていた。

雀茶色の落ち着いた髪の色、蒼い瞳、羽が生えている。


《こんばんは、お久しぶりです♪》


「……………」

『……………』


「ディーテ?知り合いか?」

『…いや、知らんぞ』


《忘れちゃったんですか?ガーゴイルですよ!》


『「!?」』


「ちょっと待て!あのガーゴイルか!?」


どうやら、この女性はヴィエン王国で俺がKOしたガーゴイルらしい。

話を聞くと、あれからガーゴイルは約束通り教会の屋根から城下町を見守っていたそうだ。見守っている間、俺から言われた言葉「見た目が悪い!」が頭から離れず悩む日々が続き、夜中にこっそり礼拝堂に忍び込んでは、祈りを捧げていたとか。

(悪い事したな…)

ある日の夜、石化を解くと今の姿になっていたそうだ。


「おい、お前が居なくなって騎士団が大騒ぎしてるんじゃないのか?」


《大丈夫です!グルナさんの家に引っ越すと伝えてありますから!あ、騎士団長がよろしく言ってました♪》


「ヴィエン王国には暫く行ってないな、久しぶりに顔出すか!………っておいッ!お前は此処に住むつもりなのか!?」


《私はこの姿になってから、いい事が沢山ありました。食事をご馳走になったり、宝石を貰ったり…主に男性からですが。私の過ちを正し、この姿を与えてくれたグルナさんのお嫁さんに…》


ピクッ!


『ガーゴイルよ…グルナはダメだぞ?他を当たるがいい』


《はい、お嫁さんにと思ったのですが、ディーテさんがいらっしゃるので。せめて配下に加えていただき、お役に立ちたいと思い、やって参りました》


『グルナ…女性の顔を殴った挙句、心にまで傷を負わせたのだ。責任を取ってやれ』


「わかったよ…ガーゴイル!今日からカラと名乗り俺の直属の配下となれ!」


《グルナ様!ありがとうございます!》


こうして、The魔物から女性の姿になったガーゴイルが配下に…俺の直属の配下になったのであった。


《それと、この家にはもう1人住人がいらっしゃるようですが…ご挨拶させていただいてよろしいでしょうか?》


「ん?この家には俺とディーテしか居ないぞ?」


『カラ!怖い事言うな!』

「…念の為、確認して来よう」


怪しいのは来客用の寝室、俺が使うはずだった部屋だ。

扉を開けると、そこには猫の様な耳と尻尾、金色の髪に翠の瞳の小柄な亜人の女の子が居た。


《ふぅ、やっと呪いが解けたで!》


「………………」

『………………』


《こんばんは!あんたらが拾ってくれてホンマに助かったわ!》


「君は他人の家で何をしているのかな?」


『グルナ!こいつもしかして狐石なんじゃないか!?』


《せやで!ディーテはん、拾ってくれてありがとな!お陰で途方に暮れずに済んだで》


ディーテの予想通り、ヴィエン王国の近くの洞窟で拾った殺生石だった。

およそ200年前、商人の親と一緒にヴィエン王国に向かう道中、人間の盗賊に襲われ一家は命まで奪われてしまった。

しかし、この子は死なずに何故か石に変化したらしい。

そして、人間がその石に触ると激痛が走り、のたうち回ったそうだ。

洞窟に落ちていたのは、魔物に運ばれたからだそうだ。

人間以外には害はない。対人間殺生石という訳だ。


『ファム…私はお前を見つけた時、運命感じたぞ』

《うちもやで…ディーテはん》


既に名前が付いているのが気になるが、いい雰囲気になっているので余計な事は言わない方が良さそうだ。


『カラ!ファムファム!お腹すいてないか!もうすぐご飯の時間だぞ!一緒にどうだ?』


《《食べるー♡》》


「…………」


こうして新たな仲間が加わったのだった。

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